
レチノールの効果と使い方|副作用・トラネキサム酸/NMNとの比較
レチノールの効果、正しい使い方、副作用について詳しく解説。トラネキサム酸やNMNとの違い、初心者向けの安全な導入方法、製品選びのポイントまで専門的に紹介します。
ドクターナウ編集部
2025.08.22
シワやたるみ、毛穴の悩みに効果的とされるレチノールですが、正しい使い方を知らないと肌トラブルを引き起こす可能性があります。この記事では、レチノールの基本的な効果から、トラネキサム酸やNMNとの違い、安全な使用法まで詳しく解説します。
レチノールとは?どのような成分ですか?

レチノールはビタミンAの一種で、皮膚の健康維持に欠かせない脂溶性ビタミンです。体内ではレチノールからレチナール、そして最終的にレチノイン酸に変換され、肌細胞の分化や新陳代謝を促進する働きがあります。
レチノールの種類と特徴
成分名 | 刺激の強さ | 安定性 | 効果の実感 | 使いやすさ |
---|---|---|---|---|
純粋レチノール | 強 | 低 | 高 | 中 |
パルミチン酸レチノール | 弱 | 高 | 緩やか | 高 |
酢酸レチノール | 弱 | 高 | 緩やか | 高 |
レチノイン酸レチニル | 中 | 高 | 中 | 中 |
レチノールには主に4つのタイプがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。
純粋レチノールは最も効果が高い反面、刺激も強く不安定という特徴があります。一方で、
パルミチン酸レチノールや酢酸レチノールなどの誘導体は安定性が高く、初心者でも使いやすいのが利点です。最近注目されているレチノイン酸レチニルは、効果と安全性のバランスが取れた新しいタイプといえるでしょう。
純粋レチノールは2017年に厚生労働省から医薬部外品成分として「シワ改善」の効果が認められました。一方、レチノール誘導体は肌への刺激が少なく、敏感肌の方や初心者でも使いやすいという特徴があります。レチノールは光や熱、酸素に不安定な性質を持つため、適切な保存方法と使用タイミングが重要です。化粧品に配合される際は、安定性を高めるための特殊な技術が用いられることが多く、カプセル化や誘導体化により効果を保ちながら刺激を軽減しています。
レチノールの効果にはどのようなものがありますか?
レチノールは表皮でのターンオーバー促進と真皮でのコラーゲン合成促進という2つの主要な働きにより、様々な美肌効果をもたらします。
レチノールの主な美肌効果
- シワ・たるみの改善: コラーゲンとエラスチンの生成を促進し、肌にハリと弾力を与えます
- 毛穴の改善: 皮脂分泌を正常化し、毛穴の詰まりや開きを軽減します
- シミ・くすみの改善: ターンオーバーを促進し、メラニンの排出をサポートします
- ニキビの予防・改善: 皮脂分泌を抑制し、毛穴の詰まりを防ぎます
- 肌のキメ改善: 古い角質を取り除き、なめらかな肌触りに導きます
レチノールの美肌効果は多岐にわたり、特に
エイジングケアの分野で注目されています。シワやたるみの改善効果は、コラーゲンとエラスチンという肌の土台となるタンパク質の生成を促進することで実現されます。また、
皮脂分泌の正常化により毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの予防にも効果的です。ターンオーバー促進効果により、古い角質とともにメラニンも排出されるため、
シミやくすみの改善も期待できます。
これらの効果は一つの成分で複数の肌悩みにアプローチできる点が大きな魅力です。
レチノールの効果は即効性があるものではありません。効果を実感するまでには最低でも4-8週間程度の継続使用が必要で、個人差もあります。臨床研究では、0.4%レチノールを24週間使用した結果、細かなシワが有意に改善し、コラーゲン産生も増加したことが報告されています。また、レチノールは毛細血管の新生を促すため、肌に血色感が生まれ、黄ぐすみの解消や肌のトーンアップ効果も期待できます。
レチノールと他の美容成分との違いは何ですか?

レチノールとよく比較される美容成分には、トラネキサム酸とNMNがあります。それぞれ異なる作用機序を持つため、肌悩みに応じて使い分けることが重要です。
レチノール vs トラネキサム酸
項目 | レチノール | トラネキサム酸 |
---|---|---|
主な効果 | シワ・たるみ改善、毛穴ケア | シミ・肝斑予防、美白効果 |
作用機序 | コラーゲン生成促進、ターンオーバー促進 | メラニン生成抑制、抗炎症 |
刺激の強さ | 中〜強 | 弱 |
使用タイミング | 主に夜間 | 朝晩使用可能 |
妊娠中の使用 | 避ける | 使用可能 |
レチノール vs NMN
項目 | レチノール | NMN |
---|---|---|
分類 | ビタミンA誘導体 | NAD+前駆体 |
主な効果 | シワ改善、毛穴ケア | 細胞エネルギー向上、抗酸化 |
作用の深さ | 表皮〜真皮 | 細胞レベル |
即効性 | 中程度(4-8週間) | 緩やか(数ヶ月) |
副作用 | A反応(赤み、皮むけ) | ほとんどなし |
レチノールとトラネキサム酸は作用機序が全く異なるため、
相性の良い組み合わせといえます。レチノールが「攻めのエイジングケア」を担う一方で、トラネキサム酸は「守りの美白ケア」を提供します。特に
妊娠中はレチノール使用を避ける必要がありますが、トラネキサム酸は安全に使用できるため、この期間の代替成分としても有効です。
使用タイミングを分けることで、両方の恩恵を受けることが可能になります。
レチノール vs NMN
NMNとレチノールの最大の違いは、
アプローチの深さにあります。レチノールが主に表皮から真皮レベルで作用するのに対し、NMNは細胞のミトコンドリアレベルで働きかけます。
NMNは比較的新しい美容成分で、長期的な細胞の健康維持を目的とした「予防的アンチエイジング」の考え方に基づいています。
レチノールのような明確な効果実感は得にくいものの、
根本的な細胞機能の改善を目指す点で注目されています。
トラネキサム酸は抗プラスミン作用によりメラニン生成を根本から抑制し、特に肝斑に効果的です。レチノールとは作用機序が異なるため、朝にトラネキサム酸、夜にレチノールという使い分けも可能です。NMNは細胞のエネルギー代謝を改善し、加齢による肌機能の低下を防ぐ新しいアプローチの美容成分です。レチノールのような表面的な効果ではなく、細胞レベルでの若返りを目指す点が特徴的です。
レチノールの正しい使い方を教えてください

レチノールを安全かつ効果的に使用するためには、段階的な導入と適切な使用方法が重要です。
レチノール使用の基本手順
- パッチテストの実施: 初回使用前に腕の内側などで24-48時間テストを行います
- 低濃度から開始: 0.01-0.03%程度の低濃度製品から始めます
- 使用頻度の調整: 週1-2回から開始し、肌の状態を見ながら徐々に増やします
- 夜間使用の徹底: レチノールは紫外線に不安定なため、夜のみ使用します
- 保湿の強化: 使用後は必ず保湿を行い、肌のバリア機能をサポートします
推奨使用順序
- 洗顔
- 化粧水
- 保湿クリーム(軽く塗布)
- レチノール製品
- 追加の保湿クリーム
レチノール使用を成功させるためには、
段階的な導入が最も重要です。いきなり高濃度のものを使用すると、強いA反応を起こしてしまう可能性があります。
「慣らし期間」を設けることで、肌への負担を最小限に抑えながら効果を得ることができます。
また、化粧水や軽い保湿の後にレチノールを使用する「サンドイッチ法」は、
刺激を和らげながら浸透を促進する効果的なテクニックです。
使用頻度についても、最初は週1-2回から始めて、肌の様子を見ながら徐々に毎日使用まで増やしていくことが大切です。
推奨使用順序
スキンケアの順序は成分の浸透と効果に大きく影響します。
レチノールは油溶性成分のため、水溶性の化粧水の後に使用することで最適な浸透が得られます。また、
事前に軽い保湿を行うことで、刺激を緩和できます。
使用後の追加保湿は、レチノールによる乾燥を防ぐために必須のステップです。
セラミドやヒアルロン酸配合の保湿剤を選ぶことで、バリア機能をサポートできます。
レチノールは油分を含むため、化粧水や軽い保湿の後に使用することで、刺激を軽減できます。使用量は米粒大程度で十分で、顔全体に薄く伸ばします。目や口の周りなど皮膚が薄い部分は避けるか、極少量の使用に留めます。また、レチノール使用中は紫外線対策を徹底し、SPF30以上の日焼け止めを毎日使用することが重要です。
レチノールの注意点と副作用について教えてください
レチノールは効果的な美容成分ですが、使用に際しては注意すべき点があります。
A反応(レチノイド反応)とは
レチノール使用初期に現れる一時的な反応で、以下の症状が見られることがあります:
- 皮膚の赤み: 軽度から中度の赤みが数日間続くことがあります
- 乾燥・皮むけ: 角質層が薄くなることで乾燥しやすくなります
- ヒリヒリ感: 軽い刺激感や熱感を感じることがあります
- 一時的なニキビ増加: ターンオーバー促進により一時的にニキビが増えることがあります
使用を避けるべき状況
状況 | 理由 | 対処法 |
---|---|---|
妊娠・授乳中 | 胎児への影響の可能性 | 医師に相談 |
敏感肌・炎症中 | 刺激によるさらなる悪化 | 肌状態改善後に開始 |
他のピーリング成分併用時 | 過度な刺激 | 使用間隔を空ける |
日中の外出前 | 紫外線感受性の増加 | 夜間使用のみ |
A反応は「レチノールが効いている証拠」とも言われますが、
適切な対処を行わないと肌トラブルが長期化してしまいます。特に初回使用時は軽度な反応でも驚く方が多いため、
事前に起こりうる症状を知っておくことが重要です。
多くの場合、A反応は肌がレチノールに慣れることで自然に改善しますが、
症状が強い場合は使用を一時中断することも必要です。
使用を避けるべき状況
これらの状況でのレチノール使用は、
安全性の観点から避けるべきとされています。特に妊娠中の使用については、
胎児への影響を考慮して控えるのが一般的な医学的見解です。
また、
既に肌に炎症がある状態での使用は症状を悪化させる可能性があるため、まず肌状態を安定させることが優先されます。
他のピーリング成分との併用については、
過度な角質除去により深刻な肌トラブルを引き起こす危険性があります。
A反応は通常1-2週間で改善し、肌がレチノールに慣れることで症状は軽減されます。症状が強い場合は使用頻度を減らし、2-3日に1回程度から再開します。症状が長期間続く場合や悪化する場合は、使用を中止し皮膚科医に相談することをおすすめします。また、レチノール使用中は角質層が薄くなるため、普段以上に保湿と紫外線対策を徹底することが重要です。
レチノール配合化粧品の選び方のポイントは?

効果的なレチノール製品を選ぶためには、いくつかの重要なポイントがあります。
成分表示の確認方法
- 成分表示に「レチノール」または「レチノール油液」と記載
- 誘導体の場合は「パルミチン酸レチノール」「酢酸レチノール」と記載
濃度と効果の関係
濃度 | 適用対象 | 期待効果 | 刺激レベル |
---|---|---|---|
0.01-0.03% | レチノール初心者 | 肌質改善 | 低 |
0.05-0.1% | 経験者 | シワ予防・改善 | 中 |
0.25-0.5% | 上級者 | 顕著なシワ改善 | 高 |
1.0%以上 | 医師指導下 | 集中治療 | 非常に高 |
選択時のチェックポイント
- 包装の工夫: 遮光性の高い容器や密閉性の確保
- 安定化技術: カプセル化やナノ化などの技術採用
- 保湿成分の配合: セラミド、ヒアルロン酸などの同時配合
- 医薬部外品の表示: 効果が認められた製品の証明
- メーカーの信頼性: 研究開発力や実績のある企業
成分表示の確認は、
レチノール製品選びの最も基本的なスキルです。「レチノール」と記載されているものが純粋レチノールで、
最も効果が高い反面、刺激も強いという特徴があります。
一方、誘導体は名称に「パルミチン酸」「酢酸」などの修飾語が付くため、
初心者は誘導体から始めることをおすすめします。
濃度と効果の関係
レチノールの濃度選択は、
使用経験と肌質に応じて慎重に行う必要があります。
低濃度から始めて段階的に上げていくことで、肌への負担を最小限に抑えながら効果を最大化できます。
特に0.25%以上の高濃度製品は、
明確な効果が期待できる反面、副作用のリスクも高まるため、経験者向けといえるでしょう。
選択時のチェックポイント
良質なレチノール製品を見分けるためには、
成分以外の要素も重要です。特に
遮光性の高い包装は、レチノールの安定性を保つために必須の条件といえます。
また、
保湿成分の同時配合により、レチノールによる乾燥を軽減できるため、総合的な使いやすさが向上します。医薬部外品の表示がある製品は、
厚生労働省が効果を認めた証拠でもあります。
レチノール製品は価格帯が幅広く、1,000円程度のプチプラから10,000円を超える高級品まで様々です。価格だけでなく、配合濃度、安定化技術、追加配合成分を総合的に判断することが重要です。初心者の場合は、まず誘導体から始めて肌の反応を確認し、慣れてから純粋レチノールに移行することをおすすめします。また、トライアルサイズがある場合は、まず小さいサイズで試すことで肌との相性を確認できます。
FAQ
Q1: レチノールとビタミンCは一緒に使えますか?
A1: レチノールとビタミンCは同時使用による効果の打ち消し合いが懸念されるため、朝にビタミンC、夜にレチノールという使い分けをおすすめします。どちらも酸化しやすい成分のため、同じタイミングでの使用は避けた方が安全です。
Q2: レチノールを使い始めてニキビが増えたのですが、やめるべきですか?
A2: ターンオーバー促進により一時的にニキビが増えることがあります。これは「パージング現象」と呼ばれる正常な反応です。2-3週間様子を見て、改善しない場合は使用頻度を減らすか、一度中止して皮膚科医に相談してください。
Q3: レチノールの効果はいつ頃から実感できますか?
A3: 個人差がありますが、一般的に4-8週間の継続使用で効果を実感し始める方が多いです。シワの改善など大きな変化には3-6ヶ月程度かかることもあります。即効性を求めず、継続的な使用を心がけてください。
Q4: 敏感肌でもレチノールは使えますか?
A4: 敏感肌の方は、パルミチン酸レチノールなどの誘導体から始めることをおすすめします。また、使用前のパッチテストを必ず行い、週1回程度の低頻度から開始してください。肌状態が良くない時は使用を控えることも大切です。
Q5: レチノールとトラネキサム酸は併用できますか?
A5: はい、併用可能です。トラネキサム酸は抗炎症作用があるため、レチノールによる刺激を和らげる効果も期待できます。使用順序は、先にトラネキサム酸、その後にレチノールが推奨されます。
Q6: レチノールの保存方法で注意すべき点はありますか?
A6: レチノールは光、熱、酸素に不安定なため、冷暗所での保存が基本です。直射日光を避け、できれば冷蔵庫での保存をおすすめします。開封後は早めに使い切り、密閉を徹底してください。
参考文献
- Improvement of naturally aged skin with vitamin A (retinol) - PubMed
- A long term study of the difference in efficacy and effect rate of various concentrations of retinol (1500-6600 IU) in middle aged women - PubMed
- Oral Tranexamic Acid for the Treatment of Melasma: A Review - PubMed
- The Safety and Antiaging Effects of Nicotinamide Mononucleotide in Human Clinical Trials: an Update - PubMed
- ビタミンA - Wikipedia
- レチノイド - Wikipedia
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