アトピー悪化を防ぐ食事の注意点について

アトピー性皮膚炎の症状悪化を防ぐためには、基本的な栄養バランスを整えることが重要です。多くのアトピー患者さんの血液検査では、亜鉛やオメガ3脂肪酸の不足が確認されており、これらの栄養素の補充が症状改善に役立つことが報告されています。

亜鉛は皮膚のターンオーバーやコラーゲンの合成、細胞の生成に関与しており、免疫細胞の機能を高めて炎症物質の産生を抑制する働きがあります。成人男性では1日約11mg、成人女性では8mgの摂取が推奨されています。

オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があり、アトピーのかゆみや皮膚の赤みを軽減する可能性があります。ビタミンDは炎症を引き起こすサイトカインの産生を抑制し、免疫バランスを調整する役割があります。

推奨される食品として、緑黄色野菜・果物、青魚・えごま油、発酵食品・海藻類があります。一方で、過度に精製された砂糖、高脂質・高タンパク食品の過剰摂取、ヒスタミンを多く含む食品は避けることが望ましいとされています。

バランスの取れた食事を基本とし、極端な制限よりも全体的な栄養状態の改善を重視することが大切です。

食物アレルギーの疑いがない場合、基本的に食事制限は必要ありません。不必要な食事制限は特に子どもの成長に影響を与える可能性があり、栄養バランスを崩すリスクの方が高いとされています。食物アレルギーが疑われる場合のみ、医師の指導のもとで制限を行います。

地中海式食事や日本食のパターンに加えて、野菜・海藻・豆類から食物繊維を豊富に摂取することで腸内環境を整えることが、アトピー改善にとって望ましいとされています。

かぼちゃ、ねぎ、ピーマン、トマト、ほうれん草、大豆、青魚、しそ、白菜、キャベツ、大根、みそ、果物、海藻類などのα-リノレン酸を豊富に含む食品が推奨されます。ヨーグルトや納豆などのプロバイオティクス食品も腸内環境の改善が期待できます。

ヒスタミンやヒスタミン様物質を含む食品は、かゆみを誘発してアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる可能性があります。症状との関連を観察しながら摂取することが大切です。

アトピー性皮膚炎患者さんは消化管粘膜が弱く、精製糖の摂取による血糖値の変動から、炭水化物の摂取コントロールが重要です。しかし、極端な糖質制限は栄養バランスを崩すリスクがあるため、適度な調整にとどめることが推奨されます。

食品摂取とかゆみの強度を1-2週間記録し、疑わしい食品の摂取頻度を完全除去ではなく減らすという方法が推奨されます。特定の食品を避けることよりも、まずは食事バランスの見直しから始めることが大切です。

食事制限を検討する場合は、医師や栄養士に相談し、適切な指導のもとで行うことが重要です。

特定の食品摂取後に症状が急激に悪化する場合や、食事制限により体重減少や栄養失調の兆候が見られる場合は、即座に医師に相談することが必要です。

食事療法だけでアトピー性皮膚炎を完治させることはできませんが、適切な栄養管理により皮膚のバリア機能をサポートし、症状の軽減につながる可能性があります。アトピー性皮膚炎の食事管理においては、極端な制限よりも栄養バランスの改善が最も重要です。気になる症状や食事内容については、医療機関で相談することをお勧めします。

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