下痢の時に抗生物質を飲むべきでしょうか?
2025.11.05
下痢になると、つい抗生物質を飲んで早く治そうと考えてしまいますよね。しかし、すべての下痢に抗生物質が必要とは限りません。この記事では、下痢の時に抗生物質を使用すべき場合と、そうでない場合を詳しく説明します。
下痢と抗生物質の関係
抗生物質は細菌感染症の治療には有効です。しかし、下痢のすべてが細菌によるものではありません。ウイルス性の下痢や単なる消化不良による下痢に対して抗生物質は効果がなく、むしろ有害な場合もあります。
抗生物質が必要な下痢
医療専門家が抗生物質を推奨するのは、以下のような特定の場合に限られます。
細菌感染が確認または疑われる場合
赤痢菌やサルモネラ菌などの特定の細菌による感染が疑われる場合、医師は抗生物質の使用を検討します。血性下痢(血便)や発熱を伴う下痢が見られる場合、細菌感染の可能性が高くなります。このような症状がある場合、医師の診察を受けて原因を特定することが重要です。
抗生物質が検討される主な細菌感染には以下のようなものがあります。赤痢菌は血性下痢と腹痛を特徴としており、医師の判断で抗生物質が使用されます。サルモネラ菌は高熱と激しい腹痛を伴うため、症状に応じて抗生物質の使用が検討されます。ジアルジア属による感染は脂肪便や長期にわたる下痢を引き起こし、特定の薬剤で治療されます。症状の程度や個人の健康状態に応じて、医師が最適な治療方針を決定することが重要です。
症状が特に重度の場合
高熱が続く、脱水症状が見られる、腹痛が激しいなど、症状が重度である場合は、医師が抗生物質の使用を検討することがあります。これは、症状が単なる一過性のものではなく、より深刻な感染の可能性があるためです。
抗生物質が不要な下痢
ほとんどの下痢は、抗生物質なしで自然に治ります。
ウイルス性下痢
ノロウイルスやロタウイルスによる下痢は、ウイルスが原因のため抗生物質は効果がありません。むしろ、体が病原体を排出しようとしているため、下痢止めを無理に使用することも避けるべきです。一般的には、水分補給と十分な休息によって、数日から1週間で自然に回復します。
食中毒による下痢
食べ物が原因の下痢の場合、体が自然に有害な物質を排出しようとしています。この防衛作用を止めてしまうと、かえって症状が悪化する危険があります。適切な水分補給と電解質の補給に集中することが最善の対処法です。
消化不良やストレスによる下痢
暴飲暴食やストレスが原因の下痢に対しては、抗生物質は効果がありません。これらの場合は、食事内容の改善やストレス管理が主な対処方法となります。
下痢の時に行うべき対処法
下痢になった時は、抗生物質よりもまず以下の対処を優先してください。
水分補給が最優先
経口補水液(スポーツドリンクやアイオン飲料)を使用して、失われた水分と電解質を補給することが重要です。普通の水だけでなく、塩分や糖分を含む飲料が効果的です。少量ずつ、こまめに摂取することで、脱水症状を防ぐことができます。
推奨される飲料には複数の選択肢があります。経口補水液は電解質のバランスが最適で、少量ずつこまめに摂取するのが効果的です。スポーツドリンクは糖分と塩分を含んでおり、規則的に摂取することで脱水を防げます。温かいお茶は消化器に優しいため、ゆっくり飲むことをお勧めします。各飲料は脱水症状の程度や個人の好みに応じて選択できます。重要なのは、継続的に水分を摂取することです。
食事内容の工夫
下痢の最中は、消化に優しい食べ物を選ぶことが大切です。油っぽい食べ物や刺激の強い食べ物は避け、おかゆや白米、バナナなどの消化しやすい食べ物を選びましょう。症状が落ち着いてから、徐々に通常の食事に戻していくことをお勧めします。
安静と睡眠
十分な睡眠と安静は、体の回復力を高めます。下痢の間は、激しい運動や外出を控え、体を休める時間を設けることが重要です。
医師に相談すべき場合
以下の症状がある場合は、速やかに医師の診察を受けてください。
- 2日以上続く下痢
- 血性下痢(便に血が混じっている)
- 高熱(38℃以上)を伴う下痢
- 激しい腹痛
- 脱水症状(口の乾き、尿の量が少ないなど)
- 1週間以上続く下痢
これらの症状がある場合、単なる一過性の下痢ではなく、より深刻な状態の可能性があります。医師の診察によって、適切な治療法が決定されます。
抗生物質の副作用について
抗生物質を不必要に使用することは、いくつかの問題を引き起こす可能性があります。
腸内環境の悪化
抗生物質は病原菌だけでなく、腸内の有益な菌も殺してしまいます。これにより、腸内環境が乱れ、下痢が長引いたり、別の問題が発生したりすることがあります。特に、クロストリディオイデス・ディフィシルという菌による下痢は、抗生物質の使用後に発症することが知られています。
耐性菌の出現
抗生物質を不適切に使用していると、それに耐性を持つ細菌が出現する可能性があります。これは、将来的に本当に必要な時に抗生物質が効かなくなるという、深刻な問題につながります。
まとめ
下痢の時に抗生物質を使用すべきかどうかは、その原因によって異なります。細菌感染が確認または強く疑われる場合を除き、通常は必要ありません。むしろ、水分補給と消化に優しい食事、十分な休息に注力することが、下痢からの回復を早める方法です。症状が改善しない場合や、血性下痢や高熱などの危険な兆候がある場合は、医師の診察を受けることをお勧めします。自己判断で抗生物質を使用することは避け、医療専門家のアドバイスに従うことが重要です。
出典
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