下痢を繰り返さないための食生活改善
2025.11.13
下痢を繰り返す悩みを抱えている方は少なくありません。食生活の改善によって、腸内環境を整え、下痢の再発を予防できる可能性があります。本記事では、科学的根拠に基づいた食生活改善の具体的な方法をご紹介します。
下痢を繰り返さないための食生活の基本
下痢を繰り返さないためには、腸に負担をかけない食事選びと、腸内環境を整える栄養素の摂取が重要です。食物繊維の適切な摂取、プロバイオティクスを含む発酵食品の活用、刺激物の制限などが基本となります。また、食べ方も大切で、よく噛んでゆっくりと食べることで消化を助け、腸への負担を軽減できます。
下痢予防に効果的な食品と避けるべき食品
積極的に取り入れたい食品
下痢予防に役立つ食品を日常的に取り入れることで、腸内環境が改善され、症状の再発を防ぐことができます。
| 食品カテゴリー | 具体的な食品例 | 主な効果 |
|---|---|---|
| 発酵食品 | ヨーグルト、味噌、納豆、キムチ | 善玉菌を増やし腸内環境を改善 |
| 水溶性食物繊維 | オートミール、バナナ、にんじん | 便の状態を整え腸の働きをサポート |
| 低脂肪タンパク質 | 鶏むね肉、白身魚、卵 | 消化しやすく栄養補給に適している |
| 電解質を含む食品 | スープ、野菜ジュース、果物 | 水分と電解質のバランスを保つ |
発酵食品に含まれるプロバイオティクスは、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。ヨーグルトに含まれるラクトバシラス属やビフィズス菌は、腸内環境を整えることで下痢の予防に役立つと報告されています。水溶性食物繊維は便の水分を調整し、適度な硬さを保つことで、下痢と便秘の両方を予防する効果が期待できます。
避けるべき食品と刺激物
下痢を繰り返しやすい方は、腸に刺激を与える食品を控えることが大切です。
- 消化に時間がかかり腸に負担をかける
- 代替案:蒸し料理、焼き料理
- 腸の動きを過剰に刺激する
- 代替案:麦茶、ハーブティー
- 腸粘膜を刺激し炎症を引き起こす
- 代替案:少量の塩、出汁で風味付け
- 腸内環境を乱し水分吸収を妨げる
- 代替案:常温の水、経口補水液
- 腸を冷やし機能を低下させる
- 代替案:温かい飲み物、常温の水
脂質の多い食事は消化に時間がかかり、腸に負担をかけるため、下痢を繰り返しやすい方は控えることをおすすめします。カフェインやアルコールは腸の運動を過剰に促進し、水分吸収を妨げる可能性があります。香辛料は腸粘膜を直接刺激するため、症状を悪化させることがあります。
腸内環境を改善する食事のポイント
プロバイオティクスとプレバイオティクスの活用
腸内環境を改善するには、善玉菌そのものを摂取するプロバイオティクスと、善玉菌のエサとなるプレバイオティクスの両方を取り入れることが効果的です。
プロバイオティクスは生きた善玉菌を含む食品で、ヨーグルト、キムチ、味噌、納豆などの発酵食品に豊富に含まれています。研究では、ラクトバシラス・ラムノサスGGやサッカロマイセス・ブラウディといった特定の菌株が、下痢の期間を約1日短縮する効果があることが示されています。
プレバイオティクスは善玉菌の増殖を促進する食物成分で、悪玉菌は利用できない性質を持っています。オリゴ糖や食物繊維が代表的で、玉ねぎ、にんにく、バナナ、オートミール、海藻類などに含まれています。これらを日常的に摂取することで、腸内の善玉菌を自然に増やすことができます。
食物繊維のバランスを考える
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれ異なる働きをします。
- 便の水分を調整し適度な硬さを保つ
- 腸内細菌のエサとなり善玉菌を増やす
- 血糖値の急上昇を抑える
水溶性食物繊維が豊富な食品には、オートミール、大麦、りんご、にんじん、海藻類、こんにゃくなどがあります。
- 便のかさを増やし腸の動きを促進
- 過剰摂取は下痢を悪化させる可能性がある
- 下痢の症状がある時は控えめにする
不溶性食物繊維は、玄米、全粒粉パン、ごぼう、ブロッコリー、豆類などに多く含まれています。下痢を繰り返しやすい方は、まず水溶性食物繊維を中心に摂取し、症状が安定してから不溶性食物繊維を少しずつ増やすことをおすすめします。
FODMAP食事法の活用
FODMAPとは、発酵性オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールの総称で、これらは小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖類です。過敏性腸症候群や繰り返す下痢の症状がある方にとって、低FODMAP食事法が効果的な場合があります。
- 小麦、ライ麦などの穀物
- 玉ねぎ、にんにく、ブロッコリー、きのこ類
- りんご、梨、マンゴー、ドライフルーツ
- 豆類、レンズ豆、ひよこ豆
- 牛乳、ヨーグルト、ソフトチーズ
- はちみつ、アガベシロップ
- 米、キヌア、オートミール、コーン
- にんじん、ほうれん草、ピーマン、じゃがいも
- ブルーベリー、いちご、キウイ、バナナ
- 鶏肉、魚、卵などのタンパク質
- 乳糖不使用ミルク、アーモンドミルク
- ハードチーズ
低FODMAP食事法は、約6週間高FODMAP食品を避けた後、一つずつ再導入して自分に合わない食品を特定する方法です。この食事法を実践する際は、栄養不足を防ぐため、医療専門家や管理栄養士の指導のもとで行うことが大切です。
食事のタイミングと食べ方の工夫
規則正しい食事リズムの確立
食事のタイミングを一定に保つことは、腸のリズムを整えるために重要です。
- 毎日同じ時間帯に食事をとる
- 1日3食を基本とし、必要に応じて少量の間食を追加
- 朝食を抜かず、1日のリズムを作る
- 寝る2〜3時間前までに夕食を済ませる
規則正しい食事は、消化酵素の分泌リズムを整え、腸の動きを安定させます。食事の時間が不規則だと、腸の働きが乱れ、下痢や便秘を引き起こしやすくなります。
適切な食事量と食べ方
一度に大量の食事を摂ると、腸に負担がかかり下痢を引き起こす可能性があります。
- 1回の食事量を控えめにし、回数を増やす
- よく噛んでゆっくりと食べる(1口30回程度)
- 食事中の水分は適量にとどめる
- 温かい料理を中心に選ぶ
- 食後すぐに激しい運動を避ける
よく噛むことで唾液の分泌が促進され、消化酵素が食べ物と混ざることで消化が助けられます。また、食べ物が細かくなることで、腸での吸収がスムーズになり、負担が軽減されます。食事中に大量の水分を摂ると消化液が薄まり、消化能力が低下する可能性があるため、水分は食事の前後に適度に摂取することをおすすめします。
水分補給と電解質のバランス
下痢を予防するだけでなく、万が一下痢になった場合の脱水症状を防ぐためにも、日頃から適切な水分補給を心がけることが大切です。
適切な水分補給の方法
- 成人の場合、1日1.5〜2リットルを目標
- 気温や活動量に応じて調整
- 一度に大量に飲まず、こまめに摂取
- 常温または温かい飲み物を選ぶ
水分は一度に大量に摂取するのではなく、1回コップ1杯程度を1日8〜10回に分けて飲むことが理想的です。冷たい飲み物は腸を刺激するため、常温または温かい飲み物を選ぶことをおすすめします。
電解質を補給する食事
下痢を繰り返すと、水分だけでなく電解質も失われます。日頃から電解質を含む食事を意識することで、体内のバランスを保つことができます。
- カリウム:バナナ、じゃがいも、ほうれん草、アボカド
- ナトリウム:味噌汁、スープ、梅干し
- マグネシウム:海藻、ナッツ類、大豆製品
- カルシウム:乳製品、小魚、緑黄色野菜
スープや味噌汁は、水分と電解質を同時に補給できる優れた食事です。特に下痢の症状があるときは、塩分を適度に含むスープを温かい状態で摂取することで、体の回復を助けます。
食中毒予防と衛生管理
下痢の原因の一つに食中毒があります。食品の適切な取り扱いと衛生管理によって、食中毒による下痢を予防できます。
食品の安全な取り扱い
- 調理前と食事前に手をよく洗う
- まな板や包丁は肉・魚用と野菜用を分ける
- 冷蔵庫は4℃以下、冷凍庫は-17℃以下に保つ
手洗いは石鹸を使って20秒以上行い、指の間や爪の下まで丁寧に洗うことが大切です。調理器具は使用後すぐに洗浄し、定期的に熱湯消毒や漂白剤での消毒を行いましょう。
- 肉類は中心部が71℃以上になるまで加熱
- 魚類は60℃以上で加熱
- 鶏肉は82℃以上で十分に加熱
- 調理後2時間以内に冷蔵保存
- 賞味期限を確認し、期限切れの食品は避ける
- 生卵や半熟卵(特に新鮮でないもの)
- 加熱していない乳製品
- 生の豆類や発芽野菜
- 十分に加熱されていない肉や魚
外食時は、冷たい料理が冷たく、温かい料理が温かく保たれているか確認しましょう。ビュッフェやサラダバーでは、特に衛生管理に注意が必要です。
生活習慣全体の見直し
食生活だけでなく、生活習慣全体を見直すことで、下痢を繰り返さない体作りができます。
ストレス管理の重要性
ストレスは腸の働きに大きな影響を与えます。過度なストレスは腸の運動を過剰にし、下痢を引き起こす原因となります。
- 十分な睡眠時間を確保する(7〜8時間)
- 適度な運動を習慣化する
- リラックスできる時間を作る
- 深呼吸や瞑想を取り入れる
運動習慣の確立
適度な運動は腸の動きを整え、腸内環境を改善する効果があります。
- ウォーキング(1日30分程度)
- ヨガやストレッチ
- 軽いジョギング
- 水泳
激しい運動は逆に腸に負担をかける可能性があるため、無理のない範囲で続けられる運動を選ぶことが大切です。
医療機関を受診すべきタイミング
食生活の改善を行っても症状が続く場合は、医療機関での診察が必要です。
- 下痢が2週間以上続いている
- 便に血が混じる
- 激しい腹痛を伴う
- 発熱がある(38℃以上)
- 体重が急激に減少している
- 脱水症状がみられる
これらの症状がある場合は、炎症性腸疾患や感染症など、専門的な治療が必要な疾患の可能性があります。自己判断せず、医療専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
下痢を繰り返さないための食生活改善には、腸に優しい食品の選択、プロバイオティクスとプレバイオティクスの活用、規則正しい食事リズムの確立が重要です。食物繊維のバランスを考え、刺激物を避け、適切な水分補給を心がけることで、腸内環境を整えることができます。食事の改善と合わせて、ストレス管理や適度な運動も取り入れることで、より効果的に下痢の再発を予防できます。症状が続く場合は、医療専門家に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
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出典
- 下痢 - Wikipedia
- 過敏性腸症候群 - Wikipedia
- プロバイオティクス - Wikipedia
- 腸内細菌 - Wikipedia
- 食生活指針 - Wikipedia
- When you have diarrhea - MedlinePlus
- Low FODMAP diet - MedlinePlus
- Healthy food trends - beans and legumes - MedlinePlus
- Food poisoning prevention - MedlinePlus
- Diet and Management of Diarrhea - PubMed
- Gut Microbiota and Diarrhea: An Updated Review - PubMed
- Probiotics for Prevention and Treatment of Diarrhea - PubMed
- Probiotics for treating acute infectious diarrhoea - Cochrane Library
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