便秘予防のための正しい姿勢について
2025.11.13
便秘でお悩みの方にとって、排便時の姿勢が重要な役割を果たすことをご存じでしょうか。日常の座り方や排便時の姿勢を見直すことで、便秘症状の改善が期待できる場合があります。この記事では、医学的根拠に基づいた便秘予防のための正しい姿勢について詳しく解説します。
排便時の基本姿勢
排便をスムーズにするためには、直腸肛門角を適切に開く姿勢が大切です。研究によると、股関節の屈曲角度が大きいほど直腸肛門管がまっすぐになり、排便に必要な力が少なくて済むことが明らかになっています。
便秘予防に効果的な排便姿勢
考える人の姿勢
彫刻家ロダンの「考える人」のような前傾姿勢が、排便時に有効とされています。2016年の研究では、前傾姿勢をとることで以下の変化が確認されました。
| 測定項目 | 通常座位 | 前傾姿勢 | 改善度 |
|---|---|---|---|
| 直腸肛門角 | 113度 | 134度 | 21度開大 |
| 会陰部距離 | 7.1cm | 9.3cm | 2.2cm増加 |
| 恥骨直腸筋長 | 12.9cm | 15.2cm | 2.3cm延長 |
この姿勢により、通常の座位では排便できなかった22名の患者のうち11名が完全に排便できるようになったと報告されています。
前傾姿勢は、直腸と肛門の角度を広げることで骨盤底筋の緊張を緩和し、スムーズな排便を促します。座った状態で上体を前に倒し、肘を膝の上に置くような姿勢をイメージすると良いでしょう。
しゃがみ姿勢の効果
2003年の比較研究では、28名の健康な成人を対象に3つの姿勢での排便を比較しました。その結果、しゃがみ姿勢は座位に比べて排便時間と負担が大幅に減少することが分かりました。
しゃがみ姿勢では直腸肛門角が最大126度まで開き、通常の座位の100度と比較して26度も広がります。この角度の違いにより、排便に必要な腹圧が低くなり、体への負担が軽減されます。
和式トイレでの蹲踞姿勢のように、股関節を深く曲げた姿勢は生理学的に最も自然な排便姿勢といわれています。現代の洋式トイレでも、足元に台を置いて膝を高くすることで、同様の効果が得られる可能性があります。
洋式トイレでの実践方法
足台の活用
洋式トイレで股関節の屈曲を深めるには、足元に10〜20cm程度の台を置く方法が効果的です。市販のトイレ用足台や、古新聞を重ねたものでも代用できます。
2019年の研究では、52名の参加者が排便姿勢補正器具を使用したところ、以下の改善が見られました。
- 排便後の満足感:3.64倍向上
- いきみの軽減:有意に減少
- 排便時間:装置なしと比べて25%短縮
足台を使用することで、自然と前傾姿勢になり、直腸肛門角が開きやすくなります。
正しい座り方のポイント
- 便器に深く腰掛ける
- 足台に両足を乗せて膝を高くする
- 上体を前に傾け、肘を膝に置く
- かかとを上げて腹筋に力を入れやすくする
- 両手で脇腹を押さえて腹圧をかける
この姿勢をとることで、直腸肛門角が開き、恥骨直腸筋が弛緩して排便しやすい状態になります。無理にいきまず、自然な腹圧で排便することが大切です。
日常生活での姿勢管理
長時間座位の影響
デスクワークなど長時間同じ姿勢で座り続けることは、腸の蠕動運動を低下させる可能性があります。身体活動と直立姿勢は腸の通過時間を短縮する効果があることが研究で示されています。
定期的に立ち上がって歩く、ストレッチをするなど、座りっぱなしを避ける工夫が便秘予防に役立ちます。
腹部への圧迫を避ける
猫背や前かがみの姿勢は、腹部を圧迫して腸の動きを妨げる場合があります。背筋を伸ばし、骨盤を立てた正しい座位を意識することで、内臓への負担が軽減されます。
椅子に座る際は以下を心がけましょう。
- 背もたれに軽く背中をつける
- 骨盤を立てて座る
- 足裏全体を床につける
- 膝と股関節が90度程度になる高さに調整する
正しい座位姿勢は、腹部の圧迫を避け、横隔膜の動きを妨げないため、呼吸も深くなり自律神経のバランスにも良い影響を与えます。
運動と姿勢の関係
適度な運動は便秘予防に効果的です。特に体幹の安定性を高める運動やバランストレーニングは、トイレでの正しい姿勢を維持しやすくする効果があります。
高齢者や認知症の方を対象とした研究では、排便訓練と適切な排便姿勢の指導により、慢性便秘が改善し、患者の精神的健康と介護者の負担軽減につながったと報告されています。
特別な配慮が必要な場合
高齢者の姿勢管理
高齢者の場合、筋力低下や関節の可動域制限により、理想的な排便姿勢をとることが難しい場合があります。無理のない範囲で足台を使用したり、手すりを利用して前傾姿勢を保つなどの工夫が有効です。
理学療法による姿勢訓練やストレッチは、便秘症状の改善に役立つ可能性があります。下肢と体幹の受動的可動域運動やストレッチは、副交感神経活動を高め、腸の蠕動運動を促進する効果があると考えられています。
妊娠中の女性
妊娠中は子宮の増大により腹部への圧迫が強まり、便秘になりやすい状態です。排便時に過度にいきむことは避け、足台を使用して無理なく排便できる姿勢を見つけることが大切です。
座位姿勢では、背もたれのある椅子を使い、骨盤への負担を軽減しながら正しい姿勢を保つよう心がけましょう。
神経疾患のある方
脳性麻痺や脊髄損傷など神経疾患がある方では、姿勢と便秘の関係がより重要になります。臨床試験では、理学療法による姿勢管理が便秘症状の緩和に有効であることが示されています。
内臓マニピュレーションやオステオパシー的手技療法なども、適切な専門家の指導のもとで行うことで、便通の改善に寄与する可能性があります。
姿勢改善で効果が見られない場合
排便姿勢を改善しても便秘症状が続く場合は、他の原因が考えられます。以下のような症状がある場合は、医療機関への相談をおすすめします。
- 1週間以上排便がない
- 激しい腹痛を伴う
- 血便や黒色便が出る
- 体重減少や食欲不振がある
- 便秘と下痢を繰り返す
便秘の原因は姿勢だけでなく、食事内容、水分摂取量、運動不足、ストレス、薬の副作用など多岐にわたります。適切な医療機関での診察を受け、原因に応じた治療を行うことが大切です。
便秘予防のための総合的なアプローチ
食事と水分補給
排便姿勢の改善と併せて、食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物を摂取し、1日1.5〜2リットル程度の水分を補給することが推奨されています。
規則的な排便習慣
食後20〜40分後は腸の蠕動運動が活発になるため、この時間帯にトイレに行く習慣をつけると良いでしょう。便意を感じたら我慢せず、すぐにトイレに行くことも重要です。
ストレス管理
ストレスは自律神経に影響し、腸の動きを低下させることがあります。十分な睡眠、適度な運動、リラクゼーション法などでストレスを管理することも便秘予防に役立ちます。
まとめ
便秘予防には排便時の正しい姿勢が重要な役割を果たします。前傾姿勢や足台の使用により直腸肛門角が開き、排便がスムーズになる可能性があります。日常生活では長時間の座位を避け、正しい姿勢を意識することが大切です。姿勢改善と併せて食事、運動、生活習慣の見直しを行うことで、より効果的な便秘予防が期待できます。症状が改善しない場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
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出典
- 便秘 - Wikipedia
- Influence of Body Position on Defecation in Humans - PubMed
- Comparison of straining during defecation in three positions - PubMed
- Implementation of a Defecation Posture Modification Device - PubMed
- Influence of body posture on defecation: The Thinker position - PubMed
- Effects of Bowel Training and Defecation Posture on Chronic Constipation - PubMed
- Bowel retraining - MedlinePlus
- Daily bowel care program - MedlinePlus
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