慢性便秘が引き起こす健康への悪影響
2025.11.13
慢性的な便秘でお困りの方は、単なる不快な症状だけでなく、長期的な健康への影響も気になっているのではないでしょうか。便秘を放置すると、体全体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。この記事では、慢性便秘が引き起こす健康リスクと合併症について、医学的根拠に基づいて詳しく解説します。
慢性便秘の健康リスク
慢性便秘は単なる排便の問題ではなく、全身の健康に深刻な影響を与える可能性があります。研究によると、慢性的な便秘がある方は、そうでない方と比較して15年後生存率が18%低下することが報告されています。特に週2回以下の排便頻度の方は、心疾患や脳卒中のリスクが大幅に増加します。
慢性便秘による主な健康への悪影響
心血管系疾患のリスク増加
慢性便秘は心臓や血管の健康に悪影響を及ぼす可能性が研究で示されています。排便頻度が週2回以下の方は、1日1回以上排便する方と比較して、狭心症や心筋梗塞による死亡危険性が1.45倍に上昇します。さらに注目すべきは、脳卒中による死亡危険性が2.19倍にまで増加することです。
これらのリスク増加の背景には、腸内環境の悪化による全身の炎症反応や、排便時の過度ないきみが血圧を上昇させることなどが関係していると考えられています。特に高齢者や既に心血管疾患のリスクがある方は、便秘の管理が重要です。
消化器系の合併症
慢性便秘は消化器系に様々な合併症を引き起こします。
| 合併症の種類 | 発症メカニズム | 主な症状 |
|---|---|---|
| 痔核(痔) | 排便時の過度ないきみによる肛門周囲の静脈への圧力 | 出血、痛み、腫れ |
| 便塞栓 | 長期間の便秘により大きく固い便が直腸に停滞 | 激しい腹痛、嘔吐、排便不能 |
| 肛門裂傷 | 硬い便の通過による肛門粘膜の損傷 | 出血、排便時の激痛 |
| 直腸脱 | 慢性的ないきみによる直腸の脱出 | 不快感、排便困難 |
便塞栓は特に高齢者や長期臥床の方に多く見られ、放置すると腸閉塞を引き起こす危険性があります。便塞栓が疑われる場合は、浣腸治療や医療従事者による用手的な除去が必要となります。
痔については、便秘や下痢などの排便異常を繰り返すことで肛門部に強い力が幾度もかかることが主な原因です。予防には食物繊維の多いバランスのとれた食事、こまめな水分補給、トイレでの長居やいきみ過ぎを避けることが推奨されます。
精神的・心理的な悪影響
慢性便秘は身体的な症状だけでなく、精神的健康にも大きな影響を与えます。腹痛、吐き気、腹部膨満感などの身体症状に加えて、眠気や緊張感、疲労感、注意力散漫といった心理的症状が現れることが知られています。
脳と腸は密接に関連しており、脳腸相関と呼ばれる双方向のコミュニケーションが存在します。慢性便秘による腸内環境の悪化は、この脳腸相関を通じてうつ病などの精神健康問題にも関連しています。実際に、過敏性腸症候群の便秘型では、ストレスが視床下部-下垂体-副腎系を通じて腸の機能に影響を与え、セロトニンという神経伝達物質の働きが変化することで腸の蠕動運動に問題が生じます。
慢性便秘による生活の質の低下は深刻で、日常生活や社会活動に支障をきたすこともあります。これらの心理的影響は便秘症状をさらに悪化させる悪循環を生み出す可能性があります。
腎機能への影響
最近の研究では、慢性便秘と腎臓の健康との関連も報告されています。便秘がある患者は慢性腎臓病や末期腎不全になりやすいとの報告があり、便秘の管理が腎機能の保護にも重要である可能性が示唆されています。
この関連性のメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、腸内環境の悪化による毒素の蓄積や全身性の炎症反応が腎臓に負担をかける可能性が考えられています。特に慢性腎臓病の既往がある方は、便秘の予防と早期対処が推奨されます。
皮膚や全身への影響
慢性便秘は皮膚の健康にも悪影響を及ぼします。腸内環境が悪化すると、体内の老廃物や毒素が適切に排出されず、肌荒れやニキビなどの皮膚トラブルが生じやすくなります。また、口臭や体臭の原因となることもあります。
さらに、便秘による腹部膨満感や不快感は食欲不振を引き起こし、栄養摂取が不十分になることで全身の健康状態が悪化する可能性があります。頭痛やめまいを訴える方も少なくありません。
大腸がんとの関係について
便秘と大腸がんの関係については、多くの方が心配されるテーマです。興味深いことに、現在の医学研究では、便通の頻度と大腸がんのリスクの間に明確な因果関係は認められていません。排便回数がより少ない人群でも、大腸がんリスクの増加は確認されていないのです。
ただし、これは便秘を放置して良いという意味ではありません。便秘に伴う他の健康リスクは依然として存在しますし、便秘が大腸がんの症状の一つである可能性もあります。特に急に便秘がひどくなった、血便が出る、体重が減少するなどの症状がある場合は、大腸がんを含む重篤な疾患の可能性を考慮し、速やかに医療機関を受診することが重要です。
慢性便秘による生活の質への影響
慢性便秘は日々の生活に様々な支障をきたします。
- 腹部の不快感や痛みにより、仕事や学業に集中できない
- 外出時にトイレの心配をすることで行動が制限される
- 睡眠の質が低下し、疲労感が蓄積する
- 食事を楽しめなくなり、社交活動が減少する
- 自己イメージの低下や精神的ストレスの増加
これらの影響は長期化すると深刻になり、時には年単位で症状が続くこともあります。早期の対処と適切な治療が生活の質を維持するために不可欠です。
慢性便秘の予防と管理
慢性便秘による健康への悪影響を防ぐためには、予防と適切な管理が重要です。
生活習慣の改善として以下が推奨されます。
- 食物繊維が豊富な食事を心がける(果物、野菜、全粒穀物)
- 十分な水分摂取(1日1.5〜2リットル程度)
- 規則的な運動習慣
- 排便を我慢せず、便意があったらすぐにトイレに行く
- トイレでの過度ないきみや長時間の滞在を避ける
- ストレス管理と十分な睡眠
これらの生活習慣の改善で効果が見られない場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。便軟化薬や食物繊維サプリメント、場合によっては処方薬による治療が必要になることもあります。
過敏性腸症候群の便秘型の場合は、薬物療法(粘膜上皮機能変容薬や下剤)、食事療法、生活改善に加えて、ストレス管理と認知行動療法などの心理療法も有効とされています。
まとめ
慢性便秘は単なる不快な症状ではなく、心血管疾患、消化器系合併症、精神的健康問題、腎機能への影響など、全身の健康に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。特に心筋梗塞や脳卒中のリスク増加は見過ごせない問題です。
便秘が続いている方は、生活習慣の改善を試みるとともに、症状が改善しない場合や悪化する場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。適切な診断と治療により、多くの場合、症状の改善と健康リスクの低減が期待できます。
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