花粉症で鼻血が出やすくなるのはなぜですか?
2025.12.05
花粉症のシーズンになると、くしゃみや鼻水だけでなく、「鼻血」に悩まされる方が意外と多くいらっしゃいます。 「ただでさえ花粉症でつらいのに、鼻血まで出るなんて……」と不安に思ったり、驚いたりすることはありませんか? 実は、花粉症と鼻血には密接な関係があり、適切な対策をとることで予防が可能です。 この記事では、花粉症で鼻血が出やすくなるメカニズムと、家庭でできる予防・対処法について詳しく解説します。
花粉症で鼻血が出る理由とは?
花粉症で鼻血が出やすくなるのは、
鼻の粘膜が炎症を起こして弱くなっていることと、
物理的な刺激が主な原因です。花粉症自体が直接出血させるわけではありませんが、アレルギー反応によって鼻の中は非常にデリケートな状態になっています。 特に子供や粘膜が弱い方は、少しの刺激でも出血しやすくなるため注意が必要です。
花粉症が鼻血を引き起こす3つの原因
花粉症の時期に鼻血が頻発する背景には、大きく分けて3つの原因が考えられます。これらが複合的に重なることで、鼻血が出やすい環境が作られてしまいます。
1. 粘膜の炎症と充血
花粉症(アレルギー性鼻炎)になると、鼻の粘膜が常に炎症を起こしている状態になります。 炎症を起こした粘膜は「充血」して血管が膨らみ、ちょっとした刺激でも破れやすい状態になっています。 特に鼻の入り口付近にある「キーゼルバッハ部位」という場所は、毛細血管が網の目のように集まっており、粘膜も非常に薄いため、アレルギー炎症の影響を強く受けます。
- 粘膜の浮腫(むくみ): 血管が拡張し、表面が傷つきやすくなる
- 過敏性の亢進: わずかな刺激(花粉や乾燥など)にも敏感に反応する
- 血管の拡張: 血流量が増え、出血した際の量も多くなりやすい
このように、花粉症の鼻は「いつ出血してもおかしくない準備状態」にあると言えます。
2. 物理的な刺激(鼻をかむ・こする)
花粉症の代表的な症状である「鼻水」や「鼻のかゆみ」は、鼻への物理的なダメージを誘発します。 1日に何度も鼻をかんだり、かゆくて無意識に鼻をこすったりする行為が、弱った粘膜に決定的なダメージを与えます。
- 頻繁な鼻かみ: 強い圧力がかかり、粘膜が擦れる
- 鼻いじり: かゆみを和らげようとして指を入れたり、こすったりする
- くしゃみ: 激しいくしゃみの衝撃で血管が切れることがある
特に小さなお子様の場合、かゆみを我慢できずに強く鼻をほじってしまい、それが引き金となって鼻血を繰り返すケースが非常に多く見られます。
3. 粘膜の乾燥
意外と見落とされがちなのが「乾燥」です。 花粉症で鼻が詰まると、どうしても「口呼吸」になりがちですが、鼻呼吸ができないことで鼻の中の湿度が保てなくなります。 また、春先は空気が乾燥している日も多く、さらに花粉症の薬(抗ヒスタミン薬など)の副作用で、粘膜が乾燥しやすくなることもあります。
- 粘膜が乾くと、ドライフルーツのように硬くひび割れやすくなる
- かさぶたができやすくなり、それが違和感となってさらに鼻を触ってしまう
- 薬の影響で唾液や鼻汁の分泌が減り、保護機能が低下する
乾燥した粘膜は柔軟性を失うため、鼻をかむという動作の伸縮に耐えられず、ピリッと裂けて出血してしまうのです。
花粉症の薬と鼻血の関係
「花粉症の薬を使っていたら鼻血が出た」という経験がある方もいるかもしれません。 薬そのものが悪いわけではありませんが、使い方や性質によっては鼻血のリスクを高めることがあります。
| 薬の種類 | 鼻血との関係性 | 対策のポイント |
|---|---|---|
| 点鼻薬(ステロイド) | 容器の先端が粘膜に当たったり、噴霧の勢いで傷つくことがある | ノズルの向きを鼻の外側に向け、粘膜(特に真ん中の壁)に直接当てない |
| 抗ヒスタミン薬(内服) | 副作用として粘膜を乾燥させる「抗コリン作用」がある場合がある | 水分摂取をこまめに行い、部屋の加湿を心がける |
| 血管収縮剤入り点鼻薬 | 一時的に血管を縮めるが、使いすぎるとリバウンドで粘膜が荒れる | 長期間の使用を避け、医師の指示通りに使用回数を守る |
特にステロイド点鼻薬(ナゾネックス、アラミストなど)は、炎症を抑える優れた薬ですが、正しい使い方をしないとキーゼルバッハ部位を刺激してしまうことがあります。 「鼻の真ん中の仕切り(鼻中隔)」に向かって噴霧するのではなく、「耳の方向(外側)」に向けて噴霧するのが正しい使い方です。
点鼻薬を使用する際は、以下の手順を意識してみてください。
- 軽く鼻をかんで通りを良くする
- 容器をよく振る(製品による)
- ノズルを鼻の穴に入れるが、奥まで突っ込まない
- ノズルの先を鼻の外側(耳の方)に向ける
- 噴霧しながら軽く息を吸う
- 使用後はノズルを拭いて清潔に保つ
これだけで、薬による物理的な刺激を大幅に減らすことができます。
鼻血が出た時の正しい止め方
もし鼻血が出てしまっても、慌てる必要はありません。 正しい処置を行えば、ほとんどの鼻血は数分から10分程度で止まります。 昔ながらの「上を向く」「首の後ろをトントンする」といった方法は、実は
間違いです。
正しい止血ステップ
-
座って少しうつむく
- 椅子に座り、頭を軽く下げます。
- 上を向くと血液が喉に流れ込み、飲み込んで気持ち悪くなったり、嘔吐したりする原因になります。
-
小鼻(こばな)をつまむ
- 鼻の硬い骨の部分ではなく、膨らんでいる柔らかい部分(小鼻) を親指と人差し指でしっかりつまみます。
- キーゼルバッハ部位を圧迫することで、物理的に出血を止めます。
-
10分間圧迫し続ける
- チラチラと止まったか確認したくなりますが、最低5分~10分は指を離さずに圧迫し続けてください。
- 途中で緩めると、せっかく固まりかけた血液が流れてしまい、最初からやり直しになります。
-
口に流れた血は吐き出す
- 喉に流れてきた血は飲み込まず、洗面器やティッシュに静かに吐き出してください。
-
冷やす(補助的)
- 鼻の付け根(眉間のあたり)を冷たいタオルや保冷剤で冷やすと、血管が収縮して止まりやすくなることがあります。
もし20分以上圧迫しても止まらない場合や、洗面器がいっぱいになるほどの大量出血がある場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。
鼻血を予防するための生活習慣
花粉症シーズンの鼻血を防ぐには、「粘膜を保護する」ことと「刺激を与えない」ことが重要です。 今日からできる具体的な対策を紹介します。
1. 鼻の中を保湿する(ワセリン活用術)
乾燥して荒れた粘膜を保護するために、
ワセリンが非常に効果的です。 綿棒の先に少量の白色ワセリンを取り、鼻の入り口付近(キーゼルバッハ部位)に薄く塗ってください。
- 効果: 粘膜を油膜でコーティングし、花粉の直接付着を防ぐとともに、乾燥や摩擦から守ります。
- タイミング: 朝起きた時、外出前、お風呂上がり、寝る前などがおすすめです。
- 注意点: 奥まで塗る必要はありません。入り口から1cm程度で十分です。清潔な綿棒を使いましょう。
2. 鼻のかみ方を見直す
鼻をかむ時は、「優しく」「片方ずつ」が鉄則です。
- 片方ずつかむ: 両方の鼻を一度にかむと、圧力が分散せずに鼓膜や粘膜に強い負荷がかかります。
- ゆっくりと: 一気に「フンッ!」とかむのではなく、少しずつ空気を出して鼻水を押し出すイメージです。
- 回数を減らす: 鼻水が気になっても、頻繁にかみすぎるのは良くありません。どうしても辛い時は、柔らかいティッシュや保湿成分入りのティッシュを使いましょう。
3. 部屋の湿度を保つ
室内、特に寝室の湿度は
50%~60%を目安に保ちましょう。 加湿器を使うのが一番ですが、濡れタオルを干したり、お湯を張ったコップを置いたりするだけでも効果があります。 湿度が上がると花粉の舞い上がりも抑えられるため、一石二鳥です。
4. マスクの着用
外出時だけでなく、乾燥が気になる時は室内や就寝時にもマスクを着用すると、自分の呼気で鼻周りの湿度が保たれます。 ただし、マスクと肌が擦れて肌荒れを起こさないよう、素材の柔らかいものを選んだり、サイズが合ったものを使うことが大切です。
病院に行くべき危険なサイン
花粉症による鼻血はほとんどが心配ないものですが、中には他の病気が隠れている場合もあります。 以下のような症状がある場合は、自己判断せずに医療機関(耳鼻咽喉科)を受診してください。
- 正しい圧迫止血を20分以上行っても血が止まらない
- 洗面器がいっぱいになるほど出血量が多い
- 鼻血だけでなく、歯茎からの出血や、手足に身に覚えのないアザができている(血液の病気の可能性)
- 顔面を強く打った後に鼻血が出た
- 血液サラサラの薬(抗凝固薬など)を服用している
特に高齢者の方で、高血圧や動脈硬化がある場合は、鼻の奥の方(動脈)からの出血である可能性があり、その場合は家庭での止血が難しいため、早めの受診が必要です。
まとめ
花粉症で鼻血が出やすくなるのは、アレルギーによる粘膜の
「炎症」「充血」「乾燥」に加え、鼻をかむなどの
「物理的刺激」が重なることが主な原因です。 決して珍しいことではありませんが、繰り返すと生活の質(QOL)が下がってしまいます。
- 花粉症の鼻は傷つきやすい状態にあると心得る
- 鼻をかむときは「片方ずつ」「優しく」
- ワセリンや加湿器で鼻の粘膜を「保湿」する
- 点鼻薬の向きは「外側(耳の方)」へ
- 鼻血が出たら「小鼻をつまんで」「うつむいて」「10分待つ」
花粉症の症状自体をコントロールすることが、結果として鼻血の予防にも繋がります。 市販薬で改善しない場合は、無理せず医師に相談し、自分に合った薬や治療法を見つけることが大切です。
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