花粉症の舌下免疫療法(シダキュア)の効果と期間
2025.12.05
毎年春が来ると、止まらない鼻水やくしゃみ、目のかゆみに悩まされていませんか? "薬を飲んでも一時しのぎにしかならない""この辛い症状から一生解放されたい"と願う方は少なくありません。 そんな方にとって、根本的な体質改善を目指せる"舌下免疫療法(シダキュア)"は大きな希望となる治療法です。 この記事では、シダキュアの効果が出るまでの期間、具体的な治療の流れ、そしてメリット・デメリットについて詳しく解説します。
舌下免疫療法(シダキュア)の効果と治療期間
シダキュアによる舌下免疫療法は、スギ花粉症の症状を根本から改善する効果が期待できますが、即効性のある治療ではありません。 一般的に、
治療期間は3年から5年と長期にわたる継続が必要です。 個人差はありますが、治療を開始した最初のスギ花粉飛散シーズンから症状の軽減を実感できる方も多く、
全体の約80%の方に有効であるとされています。
シダキュアの具体的な効果とメカニズム
根本的な体質改善を目指す仕組み
舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量から体内に取り入れ、徐々に体を慣らしていく治療法です。 シダキュアは、スギ花粉のエキスを含む錠剤を舌の下に置き、粘膜から吸収させることで免疫システムに働きかけます。
具体的には、アレルギー反応を引き起こす"Th2細胞"の働きを抑え、アレルギー反応を抑制する"制御性T細胞"を活性化させると考えられています。 また、アレルギー反応をブロックする"IgG4抗体"や"IgA抗体"の産生を促すことで、スギ花粉が入ってきても過剰な反応(くしゃみや鼻水など)が起こりにくい体質へと変化させていきます。
期待できる3つの主要な効果
シダキュアを継続することで、主に以下の3つの効果が期待できます。
- 症状の消失または軽減
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみといった辛い症状が、治療前と比べて軽くなります。人によっては症状が全く出なくなる"寛解(かんかい)"の状態に至ることもあります。
- 薬の減量
- シーズン中に服用する抗ヒスタミン薬や点鼻薬、点眼薬の量や回数を減らすことができます。これにより、薬の副作用(眠気など)に悩まされることも少なくなります。
- QOL(生活の質)の向上
- 勉強や仕事への集中力の低下、睡眠不足など、花粉症による日常生活への支障が減り、快適に過ごせるようになります。
これまでの研究報告によると、3年以上の治療を行った場合、治療終了後も数年間にわたって効果が持続することが確認されています。
従来の薬物療法との違い
一般的な花粉症の薬(対症療法)と、舌下免疫療法(根治療法)には大きな違いがあります。
| 項目 | 対症療法(抗ヒスタミン薬など) | 舌下免疫療法(シダキュア) |
|---|---|---|
| 目的 | 起きている症状を一時的に抑える | アレルギー体質そのものを改善する |
| 効果の持続 | 薬を飲んでいる間のみ | 治療終了後も数年から長期間続く |
| 治療期間 | 症状がある時期のみ | 年中(3〜5年間毎日) |
| 即効性 | 服用後すぐに効果が現れる | 効果が現れるまで数ヶ月〜年単位 |
| 根治の可能性 | なし | あり(症状が出なくなる可能性がある) |
表:対症療法と舌下免疫療法の比較 ※この表は一般的な特徴を比較したものであり、効果には個人差があります。
治療のスケジュールと正しい服用方法
治療開始のタイミング
シダキュアによる治療は、スギ花粉が飛散していない時期(主に6月から12月の間)に開始する必要があります。 花粉が飛んでいる時期に新たに治療を始めると、アレルゲンに対する過敏反応が強く出てしまい、アナフィラキシーなどの副作用のリスクが高まるためです。 思い立ったその日にすぐ始められるわけではないため、計画的な受診が必要です。
服用の流れとステップ
治療は以下のステップで進行します。
- 初回投与(医療機関)
- 最初の1回目は、必ず医師の監督下で医療機関にて服用します。
- 副作用が出ないかを確認するため、服用後30分程度は院内で待機し、経過を観察します。
- 最初の1週間は、濃度の低い"シダキュア2,000JAU"を使用し、体を慣らします。
- 維持期(自宅)
- 大きな副作用がなければ、2週目(8日目)からは高濃度の"シダキュア5,000JAU"に切り替えます。
- 以降、この用量を毎日1回、3年から5年間継続して服用します。
- 定期的に(通常は1ヶ月に1回程度)通院し、効果や副作用の確認を行います。
日々の正しい服用方法
シダキュアの効果を最大限に引き出し、安全に治療を続けるためには、正しい服用方法を守ることが重要です。
- 舌の下に置く
- 錠剤を舌の下(舌の裏側)に置きます。唾液で自然に溶けますが、1分間は飲み込まずにそのまま保持してください。
- 飲み込む
- 1分経ったら、唾液と一緒に飲み込みます。
- 服用後の注意
- 服用後5分間は、うがいや飲食を避けてください。薬の成分が流れてしまい、効果が弱まる可能性があります。
- 服用前後2時間程度は、激しい運動やアルコールの摂取、入浴などは避けることが推奨されています。血行が良くなりすぎると、副作用が出やすくなるためです。
継続の重要性
"症状が軽くなったから"といって自己判断で1〜2年で治療をやめてしまうと、すぐに元の状態に戻ってしまう可能性が高いです。 免疫システムをしっかりと書き換えて、長期的な効果(治療終了後も症状が出ない状態)を得るためには、
最低でも3年、推奨は4〜5年の継続が不可欠です。 根気が必要な治療ですが、毎日のルーティン(歯磨きの前など)に組み込むことで、習慣化しやすくなります。
副作用と注意点、治療を受けられない人
起こりうる副作用
シダキュアはアレルゲンそのものを体に入れる治療法であるため、アレルギー反応による副作用が起こる可能性があります。 多くの副作用は軽度で、治療を続けるうちに治まっていくことが多いですが、知っておくことが大切です。
- 主な副作用
- 口の中の浮腫(むくみ)、腫れ、かゆみ
- 喉のイガイガ感、不快感
- 耳のかゆみ
- 唇の腫れ
- 胃の不快感、吐き気
- 重大な副作用(稀)
- アナフィラキシーショック:血圧低下、呼吸困難、全身の蕁麻疹、意識消失など。極めて稀ですが、命に関わる可能性があるため、万が一症状が出た場合は直ちに救急対応が必要です。
- これらに備えるため、医師から緊急時の対応薬(エピペンなど)や対処法について説明を受ける場合があります。
治療を受けられない方、注意が必要な方
全ての方がシダキュアによる治療を受けられるわけではありません。 以下に該当する方は、治療ができない、または慎重な判断が必要です。
- 治療を受けられない方
- 重度の気管支喘息の方
- スギ花粉症ではない方(検査でスギ花粉への感作が確認できない方)
- 過去にシダキュアでショック症状を起こしたことがある方
- 悪性腫瘍(がん)や免疫系の病気で治療中の方
- 注意が必要な方(医師に相談が必要)
- 妊娠中、授乳中の方、または妊娠を希望されている方
- 抜歯など、口の中の処置や手術を受けた直後の方
- 重い心臓病の薬(β遮断薬など)を服用中の方
- 高齢の方(一般的に65歳以上は効果や安全性の面で慎重に検討されます)
- 全身性ステロイド薬を服用している方
治療中に体調の変化があった場合や、他の病気で薬を処方された場合は、必ず担当医に相談してください。
長期的な視点で花粉症と向き合う
シダキュアによる舌下免疫療法は、数年単位の時間がかかる治療法ですが、"毎年春の憂鬱から解放されたい""薬に頼らない生活を送りたい"という方にとっては、非常に価値のある選択肢です。 治療開始から最初のシーズンで効果を感じられなくても、2年目、3年目と続けることで徐々に症状が改善していくケースも多くあります。
また、完全に症状がなくならなかったとしても、これまで"重症"だった症状が"軽症"に変わるだけで、生活の質は大きく向上します。 "いつか治したい"と考えているなら、スギ花粉が飛んでいない6月〜12月の間に、一度医療機関で相談してみることをお勧めします。 ご自身のライフスタイルや健康状態に合わせて、最適な治療計画を医師と一緒に立てていきましょう。
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