花粉症の薬と風邪薬の飲み合わせ・併用は大丈夫?
2025.12.05
「鼻水が止まらないから花粉症の薬を飲んでいるけれど、熱っぽいから風邪薬も飲みたい」「両方飲んで早く治したい」と考える方は非常に多いです。しかし、自己判断での併用は思わぬ副作用を招く危険性があります。 この記事では、花粉症の薬と風邪薬を一緒に飲んでも良いのか、併用する際のリスクや正しい対処法について、詳しく解説していきます。
【核心回答】自己判断での併用は原則NG!成分重複の危険性大
多くの市販の風邪薬には、鼻水を止める成分として「抗ヒスタミン成分」が含まれています。これは花粉症の薬の主成分と同じものです。 知らずに両方を服用すると、成分が重複して過剰摂取(オーバードーズ)の状態となり、強い眠気やだるさ、口の渇きなどの副作用が強く出る可能性があります。 ただし、飲み合わせが可能な組み合わせも一部存在するため、医師や薬剤師への相談が重要です。
なぜ危険?「抗ヒスタミン成分」の重複によるリスク
花粉症の薬と風邪薬の併用が危険とされる最大の理由は、
作用機序が同じ成分が重なってしまうことにあります。
1. 抗ヒスタミン成分とは?
抗ヒスタミン成分は、アレルギー反応の原因物質であるヒスタミンの働きを抑え、くしゃみや鼻水を鎮める効果があります。花粉症治療薬の主役ですが、実は多くの「総合感冒薬(風邪薬)」にも、鼻水症状を抑えるために配合されています。
2. 重複による過剰摂取
例えば、花粉症で「アレグラ」や「アレジオン」などを服用している時に、鼻水止め成分を含む「ルル」や「パブロン」などの総合感冒薬を飲むと、体内で抗ヒスタミン作用が倍増してしまいます。
3. 成分重複の具体例
以下の表は、よくある成分の重複例です。
| 薬の種類 | 代表的な成分名(抗ヒスタミン作用) | 主な作用 |
|---|---|---|
| 花粉症薬 | フェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチン | アレルギー性鼻炎の抑制 |
| 風邪薬 | クレマスチン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン | 鼻水・くしゃみの緩和 |
| 併用結果 | 成分の二重取り(過剰摂取) | 副作用リスクの増大 |
このように、名前は違っても同じ「抗ヒスタミン作用」を持つ成分が含まれていることが多いため、注意が必要です。
併用によって起こりうる副作用と危険性
成分が重複し、過剰摂取状態になると、どのような不調が現れるのでしょうか。主な副作用とリスクについて解説します。
強い眠気と集中力の低下(インペアード・パフォーマンス)
抗ヒスタミン薬の副作用として最も代表的なのが「眠気」です。 併用により血中濃度が高くなると、耐え難い眠気に襲われることがあります。また、自覚症状がなくても脳の働きが鈍くなる「インペアード・パフォーマンス(能力ダウン)」が起こり、仕事や勉強の効率が著しく低下したり、車の運転中に重大な事故につながる危険性があります。
抗コリン作用による不快症状
抗ヒスタミン成分の多くは「抗コリン作用」という働きも持っています。これが過剰になると、以下のような症状が現れやすくなります。
- 口の渇き(口渇): 唾液が出にくくなり、口の中がカラカラになる。
- 排尿障害: 尿が出にくくなる(特に前立腺肥大のある高齢者は尿閉のリスクがある)。
- 便秘: 腸の動きが鈍くなる。
- 眼圧上昇: 緑内障の方は症状が悪化する可能性がある。
肝臓への負担
薬の成分は肝臓で分解・代謝されます。複数の薬を同時に、あるいは多量に摂取することは、肝臓に過度な負担をかけることになります。
花粉症シーズンに風邪を引いた時の正しい対処法
では、花粉症の時期に風邪を引いてしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?状況別の対処法をご紹介します。
パターン1:風邪の症状が「鼻水・鼻づまり」中心の場合
多くの総合感冒薬には、鼻水を抑える成分が含まれています。そのため、風邪薬を飲んでいれば、花粉症による鼻水症状もある程度抑えられることが期待できます。両方飲む必要はなく、風邪が治るまでは風邪薬一本に絞るのが無難です。
パターン2:風邪で「熱・のどの痛み」がつらい場合
鼻水は花粉症薬で抑えつつ、熱や痛みの対処だけしたい場合は、総合感冒薬ではなく「解熱鎮痛剤(カロナール、ロキソニンなど)」を選びましょう。これらには通常、抗ヒスタミン成分は含まれていないため、花粉症薬との併用が可能です。
- OKな組み合わせ例: 花粉症薬 + 解熱鎮痛剤(イブプロフェン、アセトアミノフェンなど)
- OKな組み合わせ例: 花粉症薬 + トラネキサム酸(のどの痛みを抑える成分)
パターン3:どうしても判断がつかない場合
自分の飲んでいる薬の成分がよく分からない、あるいは持病がある場合は、自己判断せずに必ず専門家に相談してください。お薬手帳を持参して薬局に行くか、オンライン診療を利用して相談することをおすすめします。
併用しても大丈夫なケース・注意点
すべての組み合わせがNGというわけではありません。条件によっては併用可能なケースもありますが、確認が必要です。
漢方薬との併用
風邪のひきはじめに「葛根湯(カッコントウ)」などを飲む方も多いでしょう。 一般的に、漢方薬と西洋薬(花粉症薬)の併用は比較的安全とされていますが、漢方薬の中には「麻黄(マオウ)」などの交感神経を刺激する成分が含まれているものがあります。花粉症薬の中にも血管収縮作用のあるものがあるため、飲み合わせには注意が必要です。 小青竜湯(ショウセイリュウトウ)などは花粉症にも風邪にも使われますが、成分が重複する可能性があるため、やはり専門家への確認が推奨されます。
点鼻薬・点眼薬との併用
「飲み薬(風邪薬)」と「外用薬(花粉症の点鼻薬・目薬)」の併用は、全身への影響が少ないため、比較的併用しやすい組み合わせです。 ただし、点鼻薬にも血管収縮剤が含まれている場合があり、風邪薬の成分と相互作用することゼロではありません。用法用量を守って使用してください。
併用OKリスト・NGリスト(目安)
| 風邪の症状 | 花粉症薬との併用 | 備考 |
|---|---|---|
| 熱・頭痛 | 〇(可) | 解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)は併用しやすい。 |
| のどの痛み | 〇(可) | トラネキサム酸などは併用しやすい。 |
| 咳(せき) | △(注意) | 咳止め薬にも抗ヒスタミン成分が入っている場合がある。 |
| 鼻水・鼻づまり | ×(不可) | 総合感冒薬は成分重複の可能性大。 |
| 全ての症状 | ×(不可) | 総合感冒薬との併用は避ける。 |
※これはあくまで一般的な目安です。市販薬の商品によって配合成分は異なりますので、必ず「成分表」を確認してください。
【注意喚起】もし誤って併用してしまったら?
うっかり花粉症の薬と風邪薬を一緒に飲んでしまった場合、どうすれば良いでしょうか。
1. 体調の変化を観察する
まずは落ち着いて、自分の体調をよく観察してください。 強い眠気、ふらつき、口の渇き、動悸などが現れる可能性があります。
2. 運転や危険な作業は絶対に避ける
眠気や集中力低下が遅れてやってくることもあります。車の運転、機械の操作、高所での作業などは絶対に控えてください。事故につながる恐れがあります。
3. 異常を感じたら医療機関へ
呼吸が苦しい、尿が全く出ない、意識がもうろうとするなどの重い症状が出た場合は、直ちに医療機関を受診してください。その際、飲んだ薬のパッケージや説明書を持参しましょう。
専門家のアドバイス:安全にシーズンを乗り切るために
花粉症の時期は体調管理が難しく、免疫力も低下しがちです。 「薬を飲めばなんとかなる」と安易に複数の薬に頼るのではなく、まずは休養を第一に考えましょう。 また、花粉症の症状が重い場合は、市販薬で対処するのではなく、耳鼻科や内科で適切な治療を受けることが、結果的に風邪の予防や早期回復にもつながります。
- 花粉症薬と風邪薬(総合感冒薬)の自己判断での併用は避ける。
- 抗ヒスタミン成分の重複により、眠気や副作用が強く出るリスクがある。
- 風邪薬を飲むなら花粉症薬は休むか、成分の重ならない解熱鎮痛剤などを選ぶ。
- 不安な時は医師や薬剤師に相談する。
正しい知識で薬を使い分け、つらい花粉症シーズンと風邪を安全に乗り切りましょう。
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