青年期男性の過敏性腸症候群と下痢
2025.11.12
過敏性腸症候群は、腹痛や便通の変化など、複数の症状を同時に伴うことを特徴とする胃腸機能障害です。検査では炎症や潰瘍が認められないにもかかわらず、下痢や便秘が慢性的に続く機能性疾患であり、器質的な病変がないことが特徴となっています。
下痢を主症状とする場合は「下痢型IBS(IBS-D)」と分類され、軟便・水様便が頻繁に生じる状態が続きます。米国における有病率は7~16%と報告されており、一般的な消化器疾患の一つです。
青年期男性に多い理由
ストレスとの関係
過敏性腸症候群は20~40歳代が多く、ストレスの多い先進国に多いとされています。青年期男性は進学、就職、職場環境など、様々なストレス要因にさらされる時期であり、これらのストレスが腸の機能に大きな影響を与えることがあります。
ストレスを受けると、腸でセロトニンが分泌され、腸の蠕動運動に問題が生じます。また、脳からストレス信号が腸に伝わることで腸の運動に影響を及ぼすという「脳腸相関」のメカニズムが関与していると考えられています。
心理的要因
不安やうつなどの心理的要因も、IBSの発症や症状の悪化に関与しています。青年期は心理的に不安定な時期でもあり、これらの要因が重なることでIBSを発症しやすくなる可能性があります。
下痢型IBSの主な症状
下痢型IBSでは、以下のような症状が見られます。
消化器症状
- 繰り返す腹痛(週1回以上、3ヶ月以上続く)
- 頻繁な軟便・水様便
- 腹部膨満感やガスの貯留
- 排便による腹痛の一時的な改善
随伴症状
IBSでは、消化器症状だけでなく、以下のような全身症状を伴うこともあります。
- めまいや頭痛
- 動悸
- 肩こり
- 睡眠障害
- 不安やイライラ
- 気分の落ち込み
これらは自律神経失調症状とも関連しており、心身両面からの対応が重要となります。
診断方法
IBSの診断は、器質的疾患を除外した上で行われます。
Rome IV診断基準
国際的に広く用いられているRome IV基準では、以下の条件を満たす場合にIBSと診断されます。
- 週1回以上の腹痛が3ヶ月以上続いている
- 排便に関連する症状の変化がある
- 便の性状(硬さ)に変化がある
- 排便頻度に変化がある
除外すべき警告症状
以下のような症状がある場合は、炎症性腸疾患や大腸がんなど、他の疾患の可能性を考慮する必要があります。
- 体重減少
- 発熱
- 血便
- 貧血
- 最近の排便習慣の急激な変化
これらの症状がある場合は、大腸内視鏡検査などの精密検査が推奨されます。
実施される検査
一般的に以下の検査が行われます。
| 検査項目 | 目的 |
|---|---|
| 血液検査 | 炎症マーカー(CRP)、貧血の有無を確認 |
| 便検査 | 潜血反応、病原菌の有無を確認 |
| 大腸内視鏡検査 | 器質的疾患の除外(必要に応じて) |
| カルプロテクチン検査 | 腸管炎症の評価 |
これらの検査により器質的な病変がないことを確認した上で、症状に基づいてIBSと診断されます。
治療と管理方法
IBSの治療は、症状の軽減と生活の質の向上を目指して行われます。
薬物療法
下痢型IBSに対しては、以下のような薬物が使用されます。
セロトニン5-HT3受容体拮抗薬
- ラモセトロンなどが下痢型IBSに有効とされています
- 腸の過剰な運動を抑制する作用があります
整腸剤・プロバイオティクス
- 腸内環境を整えることで症状の改善が期待できます
- IBSに対して一定の効果が報告されています
止瀉薬
- 急性の下痢症状に対して使用されます
- 症状に応じて適切に使用することが重要です
鎮痙薬
- 腹痛や腸の痙攣を和らげる効果があります
食事療法
食事内容の見直しは、IBS管理の重要な要素です。
避けるべき食品
- 脂肪分の多い食事
- カフェイン
- アルコール
- 辛い食べ物
- 炭酸飲料
- 人工甘味料
推奨される食事パターン
- 規則正しい食事時間
- 少量ずつ頻回に食べる
- 十分な水分摂取
- 食物繊維の適切な摂取(個人差に注意)
- 低FODMAP食(医師の指導のもと)
低FODMAP食は、発酵性オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールを制限する食事療法で、IBS症状の改善に効果があるとされています。
心理療法とストレス管理
認知行動療法
- IBSに強く推奨される治療法の一つです
- 考え方や行動パターンの修正を通じて症状の改善を図ります
ストレス管理技法
- リラクセーション法
- 瞑想やマインドフルネス
- 深呼吸法
- 適度な運動
心理的サポート
- カウンセリング
- 精神科や心療内科との連携
- うつや不安に対する適切な治療
生活習慣の改善
日常生活での工夫も重要です。
- 十分な睡眠時間の確保
- 規則正しい生活リズム
- 適度な運動習慣(ウォーキング、ヨガなど)
- ストレス源の特定と対処
- 趣味やリラックスできる時間の確保
予後と経過
IBSは慢性疾患であり、症状は長期化することが多く、時には年単位となることもあります。しかし、適切な治療と管理により、症状のコントロールは可能です。
長期的な管理のポイント
継続的な治療
- 症状が改善しても、生活習慣の改善は継続することが重要です
- 定期的な医療機関でのフォローアップが推奨されます
症状の記録
- 症状日記をつけることで、悪化要因の特定に役立ちます
- 食事内容、ストレス状況、症状の関連性を把握できます
医師との連携
- 症状の変化があれば速やかに相談することが大切です
- 治療方針は個々の症状に応じて調整されます
合併症の予防
IBSそのものは腸管に器質的な損傷を与えることはありませんが、以下の点に注意が必要です。
- 生活の質の低下
- 心理的ストレスの蓄積
- うつや不安障害の併発
- 社会生活への影響(欠勤、外出困難など)
これらを予防するためにも、早期の診断と適切な治療開始が重要です。
まとめ
青年期男性の過敏性腸症候群と下痢は、ストレスや心理的要因が大きく関与する疾患です。器質的な病変はないものの、腹痛や下痢などの症状により生活の質が大きく低下することがあります。診断には器質的疾患の除外が必要であり、治療は薬物療法、食事療法、心理療法、生活習慣の改善を組み合わせて行われます。症状は長期化することもありますが、適切な管理により症状のコントロールは可能です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、専門医の診断と治療を受けることをお勧めします。
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