高齢者の下痢薬選びで注意すべきこと
2025.11.12
高齢になると体の変化により、若い頃とは異なる薬の選び方が必要になります。特に下痢薬の選択は、体への負担や他の病気への影響を考慮しなければなりません。この記事では、高齢者が下痢薬を選ぶ際に知っておくべき重要なポイントと安全な使用方法について詳しく解説します。
高齢者の下痢薬選びで最も重要なこと
高齢者が下痢薬を選ぶ際には、まず脱水症状のリスクを最優先に考える必要があります。高齢になると喉の渇きを感じにくくなるため、水分補給が不十分になりがちです。また、複数の薬を服用している場合は薬物相互作用のリスクも考慮しなければなりません。下痢止めを使う前に、まず医療機関で下痢の原因を確認することが推奨されます。
高齢者の体の変化と薬の影響
加齢による薬物代謝の変化
高齢者の体では肝臓や腎臓の機能が低下することで、薬の代謝や排泄が遅くなる傾向があります。一般的に「代謝・排泄が低く、体液量が少なく、キャリア蛋白量が少ないことから医薬品の効果・副作用が共に大きくなりやすい」と報告されています。このため同じ量の薬でも体内に長く留まり、効果が強く出たり副作用が現れやすくなったりする可能性があります。
| 体の変化 | 薬への影響 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 肝機能の低下 | 薬の分解が遅れる | 効果が長く続く可能性 |
| 腎機能の低下 | 薬の排泄が遅れる | 体内蓄積のリスク |
| 体液量の減少 | 薬の濃度が高まる | 副作用が出やすい |
| 消化機能の変化 | 吸収速度の変化 | 効果の現れ方が異なる |
この表は、高齢者の体の変化が薬の働きにどのように影響するかを示しています。これらの変化により、若い頃と同じ用量では適切でない場合があるため、医師との相談が重要になります。
脱水症状への特別な注意
MedlinePlusによると、高齢者は「Some people lose their sense of thirst as they age, so they don't drink enough fluids(加齢により喉の渇きを感じにくくなり、十分な水分を摂取しない場合がある)」とされています。下痢が続くと体から大量の水分と電解質が失われますが、高齢者は喉の渇きを感じにくいため、気づかないうちに脱水状態が進行する危険性があります。
脱水の初期症状として以下が挙げられます。
- 口の中が乾燥する
- 尿の量が減り、色が濃くなる
- めまいや立ちくらみがする
- 疲れやすくなる
高齢者に適した下痢薬の種類と選び方
止瀉薬の種類と特徴
下痢止めには大きく分けて複数の種類があり、それぞれ作用の仕方が異なります。
ロペラミドなどの薬は腸の動きを抑えて下痢を止めます。日本のウィキペディアによると、主な副作用として「便秘(1.7%〜5.3%)、眩暈(1.4%以下)、嘔気(0.7%〜3.2%)」が報告されています。高齢者の場合、便秘になりやすいため使用量に注意が必要です。
整腸剤やプロバイオティクスは腸内細菌のバランスを整えることで症状を改善します。副作用が比較的少ないため、高齢者にも使いやすい選択肢です。
腸内の毒素や水分を吸着して便を固める薬です。穏やかな作用で体への負担が少ない傾向があります。
以下の表は各タイプの特徴をまとめたものです。
| 薬のタイプ | 作用の仕方 | 高齢者への適性 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 腸運動抑制薬 | 腸の動きを遅らせる | 短期使用のみ推奨 | 便秘のリスク |
| 整腸剤 | 腸内環境を改善 | 比較的安全 | 効果が穏やか |
| 吸着薬 | 毒素や水分を吸着 | 安全性が高い | 他の薬の吸収を妨げる可能性 |
| 漢方薬 | 体質改善を図る | 個人差が大きい | 長期服用前に相談が必要 |
この比較表は、各タイプの下痢薬の特徴と高齢者にとっての適性を示しています。症状や体質に合わせて適切なタイプを選ぶことが大切です。
市販薬を選ぶ際のポイント
市販の下痢止めを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
-
成分を確認する
: パッケージに記載されている有効成分を確認し、自分が服用している他の薬との相互作用がないか薬剤師に相談します。
-
用量を守る
: 高齢者向けの用量が記載されている場合は、それに従います。記載がない場合は医師や薬剤師に相談してください。
-
短期間の使用にとどめる
: 市販薬は症状を一時的に抑えるためのものです。2日以上下痢が続く場合は医療機関を受診しましょう。
-
他の症状に注意する
: 発熱、激しい腹痛、血便などの症状がある場合は、下痢止めを使わずにすぐに医療機関を受診してください。
併用薬との相互作用に注意
複数の薬を飲んでいる場合
高齢者の多くは複数の慢性疾患を抱えており、同時に複数の薬を服用していることがあります。下痢薬を追加する際には、既に服用している薬との相互作用に注意が必要です。
- 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬): 下痢により薬の吸収が変化する可能性があります
- 糖尿病治療薬: 食事量の減少と下痢により血糖値が不安定になる危険性があります
- 心臓の薬: 脱水により薬の血中濃度が変化する可能性があります
- 利尿薬: 脱水のリスクがさらに高まります
下痢薬を使用する前に、現在服用しているすべての薬(市販薬やサプリメントを含む)を医師や薬剤師に伝えることが重要です。
抗生物質による下痢の場合
MedlinePlusによると、抗生物質の副作用として下痢が起こることがあり、「C. diff infections, which cause diarrhea that can lead to severe colon damage(重篤な大腸損傷を引き起こす下痢)」を引き起こす可能性も報告されています。抗生物質を服用中に下痢が始まった場合は、自己判断で下痢止めを使わず、処方した医師に必ず相談してください。
下痢止めを使ってはいけない場合
危険なサイン
以下のような症状がある場合は、下痢止めを使用せずに直ちに医療機関を受診する必要があります。
- 高熱がある場合: 38度以上の発熱を伴う下痢は感染症の可能性があります
- 血便が出る場合: 便に血が混じっている場合は重篤な疾患のサインかもしれません
- 激しい腹痛がある場合: 腸の重大な問題を示している可能性があります
- 1週間以上続く下痢: 慢性的な下痢は別の病気が原因かもしれません
- 脱水症状が進んでいる場合: めまい、意識の混濁、尿が出ないなどの症状
これらの症状がある場合に下痢止めを使用すると、体内に病原体や毒素を閉じ込めてしまい、かえって症状を悪化させる危険性があります。
感染性の下痢の可能性
食中毒やウイルス性の胃腸炎など、感染が原因の下痢の場合、体は病原体を排出しようとして下痢を起こしています。このような場合に下痢止めを使うと病原体が体内に留まり、回復が遅れたり症状が悪化したりする可能性があります。
下痢が始まる前の食事や周囲の人の症状などから、感染性の下痢が疑われる場合は、下痢止めを使わずに水分補給を中心とした対処を行い、医療機関を受診しましょう。
下痢の時の水分補給の重要性
適切な水分補給の方法
MedlinePlusのガイダンスによると、下痢の際には「Drink 8 to 10 glasses of clear fluids every day. Water is best(1日8〜10杯の透明な水分を飲む。水が最適)」とされています。また、「at least 1 cup of liquid every time you have a loose bowel movement(軟便のたびに少なくともコップ1杯の水分を摂取する)」ことも推奨されています。
高齢者が特に注意すべき水分補給のポイントは以下の通りです。
- 水
- 経口補水液
- 薄めたスポーツドリンク(糖分が高すぎないもの)
- 塩分を含むスープやブイヨン
- 常温または温かい飲み物
- カフェインを含む飲み物(コーヒー、緑茶など)
- アルコール
- 炭酸飲料
- 冷たすぎる飲み物
- 果汁100%のジュース(糖分が多く下痢を悪化させる可能性)
食事の工夫
下痢の時は消化に良い食事を心がけることも大切です。MedlinePlusでは「Eat small meals throughout the day, instead of 3 large meals(1日3回の大きな食事ではなく、少量の食事を何度も摂る)」ことが推奨されています。
下痢が落ち着くまでの食事のポイントは以下の通りです。
- おかゆや柔らかく煮たうどんなど消化に良いもの
- バナナやじゃがいもなどカリウムを含む食品
- 脂っこい食べ物は避ける
- 繊維質の多い食品は一時的に控える
- 少しずつ普通の食事に戻していく
医療機関を受診すべきタイミング
早めの受診が必要な症状
高齢者の場合、若い人よりも早めに医療機関を受診することが推奨されます。MedlinePlusによると、「older adults, and people with weakened immune systems(高齢者や免疫力が弱い人)」は特に注意が必要とされています。
以下の場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
- 激しい腹痛や持続する痛み
- 高熱(38度以上)
- 便に血が混じる
- めまいや立ちくらみが強い
- 意識がもうろうとする
- 半日以上尿が出ない
- 2日以上下痢が続いている
- 食事や水分がほとんど摂れない
- 体重が急激に減少している
- 既往症の薬が飲めない状態が続いている
医師に伝えるべき情報
医療機関を受診する際には、以下の情報を正確に伝えることが診断の助けになります。
- いつから下痢が始まったか
- 1日に何回くらいトイレに行くか
- 便の色や性状(水様、軟便、血液や粘液の有無など)
- 他にどんな症状があるか(発熱、腹痛、嘔吐など)
- 最近食べたもので気になるもの
- 現在服用している薬(市販薬やサプリメントも含む)
- 既往症や持病
まとめ
高齢者が下痢薬を選ぶ際には、加齢による体の変化を考慮し、脱水予防と他の薬との相互作用に特に注意が必要です。市販の下痢止めは症状を一時的に抑えるものであり、2日以上症状が続く場合や発熱・血便などの警告サインがある場合は、薬を使わずに医療機関を受診することが大切です。下痢の際は何よりも適切な水分補給を心がけ、喉の渇きを感じなくても意識的に水分を摂取するようにしましょう。
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