鼻炎による慢性咳嗽の治療法について
2025.08.26
鼻炎で長期間咳が続いてお困りの方も多いのではないでしょうか。鼻炎による慢性的な咳は「上気道咳嗽症候群」と呼ばれ、適切な治療により改善が期待できます。この記事では鼻炎による慢性咳嗽の原因、症状、効果的な治療法について詳しく解説いたします。
鼻炎による慢性咳嗽とは
この病態は以前「後鼻漏症候群」と呼ばれていましたが、現在では「上気道咳嗽症候群」として知られています。
鼻炎による慢性咳嗽の原因とメカニズム
後鼻漏による刺激
鼻炎により鼻粘膜の炎症が起こると、過剰な鼻汁が産生されます。この鼻汁が鼻腔後部から咽頭へ流れ込む現象を後鼻漏といいます。
炎症の種類 | 鼻汁の特徴 | 咳への影響 |
---|---|---|
アレルギー性鼻炎 | 透明で粘度が低い | 軽度から中等度の刺激 |
慢性鼻炎 | 粘稠で白色~黄色 | 中等度から強い刺激 |
副鼻腔炎合併 | 膿性で粘稠 | 強い刺激と持続性咳嗽 |
後鼻漏が咽頭後壁や声帯周辺を持続的に刺激することで、咳受容体が過敏になり慢性的な咳が誘発されます。特に夜間就寝時や朝起床時に症状が強くなる傾向があります。
気道の慢性炎症
慢性的な後鼻漏により、咽頭から気管支にかけて炎症が波及することがあります。
- 初期段階: 後鼻漏による機械的刺激
- 進行期: 炎症性メディエーターの放出
- 慢性期: 気道過敏性の亢進と咳受容体の感作
この炎症の連鎖により、軽微な刺激でも咳が誘発されやすい状態が形成されます。
感覚神経過敏
最近の研究では、上気道咳嗽症候群における感覚神経過敏理論も注目されています。慢性的な炎症により咳に関わる感覚神経が過敏になり、通常では咳を誘発しない刺激でも咳反射が起こるようになると考えられています。
鼻炎による慢性咳嗽の症状と診断
特徴的な症状
鼻炎による慢性咳嗽には以下のような特徴があります。
咳の性状
- 乾性咳嗽(痰を伴わない咳)が多い
- 夜間や早朝に悪化する傾向
- 体位変換(仰臥位から起座位)で一時的に改善
- 会話や笑うことで誘発されやすい
随伴症状
- 咽頭の異物感や不快感
- 頻回な咽頭清拭音(咳払い)
- 声のかすれ(嗄声)
- 咽頭痛や違和感
診断の要点
診断項目 | 評価ポイント |
---|---|
病歴聴取 | 8週間以上持続する咳、鼻炎症状の既往 |
身体所見 | 後鼻漏の確認、咽頭後壁の発赤・浮腫 |
鼻鏡検査 | 鼻粘膜の炎症、鼻汁の性状確認 |
胸部X線 | 肺疾患の除外診断 |
鼻炎による慢性咳嗽の診断では、特異的な検査法がないため、臨床症状と治療反応性による診断が重要となります。
鼻炎による慢性咳嗽の治療法
第一選択薬:抗ヒスタミン薬
第一世代抗ヒスタミン薬は鼻炎による慢性咳嗽の標準的治療薬です。
主な薬剤と用法
-
クロルフェニラミン
: 4mg 1日3回
- 抗ヒスタミン作用と抗コリン作用
- 鼻汁分泌抑制効果が高い
-
ヒドロキシジン
: 25mg 1日2-3回
- 長時間作用型で夜間症状に有効
- 鎮静作用により咳受容体を抑制
これらの薬剤は2-4週間の継続投与により効果を判定します。効果が認められた場合は、さらに4-8週間継続投与を行います。
鼻腔内ステロイド薬
アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎による咳嗽に対しては、鼻腔内ステロイド薬が有効です。主な薬剤にはフルチカゾン(各鼻腔に1-2噴射 1日1回)、モメタゾン(各鼻腔に2噴射 1日1回)、ベクロメタゾン(各鼻腔に1-2噴射 1日2回)があります。
鼻腔内ステロイド薬は局所の炎症を強力に抑制し、後鼻漏の量と粘稠度を改善します。通常2-4週間で効果が現れます。
複合療法
症状が重度の場合や単剤で効果不十分な場合は、以下の複合療法を検討します。
抗ヒスタミン薬+鼻腔内ステロイド薬
- 最も一般的な組み合わせ
- 相乗効果により高い治療効果を期待
- 副作用の軽減も可能
鼻洗浄との併用
-
生理食塩水での鼻洗浄
- 1日2-3回実施
- 後鼻漏の物理的除去
- 炎症性物質の洗浄効果
-
鼻洗浄の手技
- 37℃程度の生理食塩水を使用
- 片側の鼻腔から注入し反対側から排出
- 洗浄後は十分に鼻をかむ
鼻洗浄により薬物療法の効果を増強し、症状の改善を早める効果が期待できます。
治療効果の判定と予後
治療反応の評価
治療開始後の効果判定は段階的に行います。2週間後には咳頻度が50%以上減少することを目安とし、4週間後にはベースラインから3点以上の症状改善を評価します。8週間後に総合的な治療効果として著効・有効・無効を判定します。
長期予後
適切な治療により80-90%の患者で症状の改善が期待できます。
治療成功の要因
- 早期診断と適切な薬物選択
- 患者の服薬コンプライアンス
- アレルゲン回避などの環境整備
- 定期的なフォローアップ
治療抵抗例の対応
治療に反応しない場合は、以下を検討します。
- 他の慢性咳嗽原因の精査
- 薬剤の変更や増量
- 専門医への紹介
日常生活での注意点と予防法
生活習慣の改善
-
室内環境の整備
- 適切な湿度維持(50-60%)
- アレルゲンの除去
- 空気清浄機の使用
-
生活リズムの調整
- 十分な睡眠時間の確保
- ストレス管理
- 規則的な食事
-
症状誘発因子の回避
- 喫煙・副流煙の回避
- 冷たい空気への急激な暴露を避ける
- 香水や芳香剤などの刺激物質を控える
セルフケアの方法
日常的に実践できるセルフケア方法を以下に示します。
水分補給
- 1日1.5-2リットルの水分摂取
- 温かい飲み物を中心に
- カフェインやアルコールは控えめに
水分補給により鼻汁の粘稠度が下がり、後鼻漏による刺激が軽減されます。
蒸気吸入
- 40-50℃の蒸気を5-10分間吸入
- 1日2-3回実施
- やけどに注意して安全に行う
蒸気吸入は鼻腔・副鼻腔の血行を改善し、分泌物の排出を促進します。
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