便秘治療のための手術が必要な場合とは
2025.11.05
便秘で手術が必要になる場合
便秘に対する手術は、内科的な治療では改善しない重度の便秘や、直腸脱などの器質的な異常がある場合に検討されます。一般的には、薬物療法や生活習慣の改善では解決できない場合に限定されます。
手術が必要と判断される主な条件
器質的異常がある場合
直腸脱、直腸瘤、腸閉塞などの器質的な異常がある場合は、外科的療法が適応になります。これらは便秘の原因となる物理的な障害であり、薬物療法では解決できません。直腸脱の場合、特に成人では手術以外に有効な治療がないと報告されています。
難治性便秘(結腸無力症)
結腸無力症と呼ばれる重度の便秘があります。これは大腸の蠕動運動が著しく低下している状態で、薬物療法や保存的治療に反応しない場合に手術が検討されます。この場合、全結腸切除術が適応になることがあります。
| 手術の適応条件 | 説明 | 治療効果の期待度 |
|---|---|---|
| 直腸脱 | 直腸が肛門から脱出する状態 | 高(外科手術が標準治療) |
| 直腸瘤 | 直腸が膣側に突出する状態 | 中~高(症状に応じて検討) |
| 結腸無力症 | 大腸の蠕動運動が極度に低下 | 中~高(全結腸切除術が考慮) |
| 腸閉塞 | 腸が物理的に閉塞している状態 | 高(緊急手術対象) |
表中に示された条件は、いずれも薬物療法や保存的治療では改善しない症例で、患者の生活の質を著しく低下させるため、外科的介入が正当化されるケースです。
便秘手術の主な種類
直腸脱修復術
直腸脱の治療には主に3つの外科的アプローチがあります。健康な成人には経腹的アプローチが推奨され、最も成功率が高いと報告されています。この方法では、大腸の一部を切除し、直腸を縫合やメッシュで固定します。
高齢者や健康状態が良くない患者には、経会陰的アプローチが選択される場合があります。この方法は回復が早く、痛みが少ないという利点がありますが、再発率がやや高い傾向にあります。
全結腸切除術
結腸無力症に対しては全結腸切除術が行われることがあります。この手術では大腸全体を摘出し、小腸の末端を直腸に直接吻合します。腹腔鏡を使用した低侵襲手術により、回復時間が短縮され、痛みが軽減されるメリットがあります。
術後の経過
全結腸切除術後、患者の大多数は完全に回復し、日常生活に復帰できると報告されています。ただし、術後は1日4~6回の排便が見られることが一般的です。手術後の入院期間は通常3~7日間で、4~6週間で完全な回復が期待できます。
- 入院期間: 3~7日間
- 術後の回復期間: 4~6週間
- 術後の排便頻度: 1日4~6回
手術後に追加的な手術が必要になる可能性もあります。
STARR手術
排便困難症候群に伴う難治性便秘に対しては、STARR(Stapled Transanal Rectal Resection)手術が行われることがあります。これは肛門から経肛門的にアプローチする最小侵襲手術で、直腸の下部に器械を挿入して縫合する方法です。
手術に伴うリスクと合併症
可能な合併症
便秘に関する手術には、いくつかのリスクと合併症の可能性があります。感染症、吻合部からの漏出による腹膜炎や瘻孔形成、創部の合併症、腹部瘢痕組織(癒着)による腸閉塞などが報告されています。
術後の注意事項
手術後は、医療者の指示に従うことが重要です。便秘の状態によっては、追加の治療が必要になることもあります。また、手術後に新たに便秘が生じることや、逆に便失禁がみられることもあり、定期的な医学的フォローアップが必要とされています。
| 主要な合併症 | 発生率 | 対処方法 |
|---|---|---|
| 感染症 | 比較的低い | 抗生物質療法 |
| 吻合部漏出 | 数パーセント | 追加手術が必要な場合がある |
| 癒着による腸閉塞 | 数~10パーセント | 再手術となることがある |
| 便失禁の悪化 | 稀 | 追加手術や管理療法 |
手術前に医療者と十分な相談を行い、リスクとメリットを理解することが大切です。
手術前に行うべき検査と準備
診断的検査
便秘に対する手術を検討する場合、正確な診断が重要です。大腸内視鏡検査、画像検査(CT、MRIなど)により、腸閉塞や腫瘍などの器質的な病変がないか確認します。また、肛門直腸機能検査により、肛門括約筋の機能を評価することもあります。
術前の腸内準備
手術前には、腸内を清潔にするための機械的腸管準備が行われます。これにより、感染症の予防と手術時の視認性向上が期待できます。
手術以外の治療選択肢
保存的治療の重要性
便秘の治療は通常、食物繊維の摂取増加、十分な水分補給、運動、定期的な排便習慣の確立など、生活習慣の改善から始まります。これらで改善しない場合、浸透圧性下剤や刺激性下剤などの薬物療法が検討されます。
薬物療法
プロバイオティクス、乳酸菌製剤、漢方薬など、様々な薬物治療の選択肢があります。これらの多くの患者にとって、手術前に試すべき治療です。
便秘治療の最新情報と医学的アプローチ
便秘治療の分野では、より低侵襲で患者の負担が少ない手術方法が開発されています。腹腔鏡手術により、回復時間の短縮と痛みの軽減が実現されています。また、新しい薬物療法の開発により、手術が必要な患者の割合は減少傾向にあります。
重要なのは、手術が必要な便秘の症例は全体的に少数であり、ほとんどの便秘は保存的治療で改善されるということです。手術を検討する場合は、複数の医療者に相談し、十分な情報を得た上で判断することが推奨されます。
便秘治療における医療相談の重要性
便秘が3週間以上続いている場合、血便を伴う場合、または薬物療法で改善しない場合は、医療者に相談することが重要です。特に急激な症状の変化、腹痛が激しい場合、排便困難が進行している場合などは、専門医の診察が必要です。
医療者は患者の症状、病歴、生活習慣などを総合的に評価し、適切な治療方針を提案します。手術が必要な場合でも、その適応基準は明確であり、十分なインフォームドコンセントの上で行われます。
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出典
- Wikipedia:便秘 (https://ja.wikipedia.org/wiki/便秘)
- MedlinePlus:Total abdominal colectomy (https://medlineplus.gov/ency/article/007379.htm)
- MedlinePlus:Rectal prolapse repair (https://medlineplus.gov/ency/article/002932.htm)
- Cochrane Library:Interventions for treating postpartum constipation (https://www.cochranelibrary.com/)
- ClinicalTrials.gov:STARR Surgery in Refractory Constipation (https://clinicaltrials.gov/)
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