
花粉症シーズン到来!症状・原因植物・対策を徹底解説
2025年は大量飛散予測!花粉症患者数は国民の6割に達し、もはや国民病。スギ・ヒノキ花粉の飛散時期、症状の見分け方、効果的な対策法から最新治療まで医療専門家が徹底解説。オンライン診療情報も掲載。
ドクターナウ編集部
2025.08.25
毎年春になると多くの人を悩ませる花粉症。2025年は例年以上の大量飛散が予測されており、早めの対策が重要です。花粉症の基礎知識から最新の治療法まで、専門的で信頼できる情報をわかりやすく解説します。
花粉症患者の現状はどうなっていますか?

日本の花粉症患者数の推移
日本では花粉症患者数が年々増加しており、現在では
国民の約半数以上が花粉症に悩まされています。
調査年 | 患者数推定 | 主な調査機関 |
---|---|---|
1998年 | 全国平均15.6% | 日本アレルギー協会 |
2019年 | スギ花粉症38.8% | 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 |
2025年 | 全国平均58% | ウェザーニュース調査 |
この表が示すように、
花粉症患者数は過去27年間で約4倍に急増しています。特に注目すべきは、1998年から2019年の21年間でスギ花粉症患者が約2.5倍に増加していることです。この背景には、戦後の大規模植林政策により植えられたスギが成熟期を迎え、大量の花粉を飛散させるようになったことが挙げられます。また、都市化の進展による住環境の変化、大気汚染の影響、ライフスタイルの変化なども患者数増加の要因とされています。現在では
国民の約6割が花粉症に悩んでいるという状況は、まさに「国民病」と呼ぶにふさわしい深刻な健康問題となっています。
- 山梨県:72%(全国1位)
- 三重県:69%(全国2位)
- 静岡県:68%(全国3位)
- 東京都:7位
- 関東甲信・東海地方で特に高い発症率
この地域別データを見ると、
本州の太平洋側、特に関東甲信と東海地方で発症率が高い傾向が明確に現れています。山梨県が全国1位の72%という驚異的な数値を示している理由は、盆地という地形的特徴により花粉が滞留しやすいこと、周囲を山に囲まれているためスギ林が多いこと、さらに首都圏からの季節風によって他地域の花粉も運ばれてくることが考えられます。また、これらの高発症率地域では、
ウェザーニュース独自の花粉観測機「ポールンロボ」による観測でも実際に花粉飛散量が多いことが確認されており、発症率と実際の花粉飛散量に強い相関関係があることがわかります。
この急増の背景には、戦後の大規模なスギ植林政策、住環境の気密性向上、大気汚染の影響などが挙げられます。特に都市部では、ヒートアイランド現象や大気中の汚染物質が花粉の刺激性を高めているとされています。
花粉症とは何ですか?
花粉症の定義と発症メカニズム
です。医学的には「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。
- 感作段階
- 花粉が鼻や目の粘膜に付着
- 体が花粉を異物と認識
- IgE抗体が肥満細胞表面に付着
- 発症段階
- 再度花粉が侵入
- 肥満細胞からヒスタミン等が放出
- アレルギー症状が出現
花粉症の主な症状
症状部位 | 主な症状 | 特徴 |
---|---|---|
鼻 | くしゃみ・鼻水・鼻づまり | 連続性のくしゃみ、透明でサラサラの鼻水 |
目 | かゆみ・充血・涙 | 強いかゆみ、異物感 |
その他 | のどの痛み・皮膚のかゆみ・頭痛 | 全身倦怠感、集中力低下 |
この症状分類表から分かるように、
花粉症は単なる鼻の病気ではなく、全身に影響を与える疾患です。特に「鼻の三大症状」と呼ばれるくしゃみ、鼻水、鼻づまりは、ヒスタミンという炎症物質が神経や血管を刺激することで起こります。くしゃみは5回、10回と連続して出ることが多く、これは体が花粉という異物を排出しようとする防御反応です。また、透明でサラサラした鼻水は風邪の時の粘性のある黄色い鼻水とは明らかに異なり、
花粉症診断の重要な手がかりとなります。目の症状では、特に強いかゆみが特徴的で、こすればこするほど悪化するため注意が必要です。さらに、のどの痛みや皮膚のかゆみなどの全身症状は、QOL(生活の質)を大きく低下させる要因となっています。
- 花粉症:発熱なし、透明な鼻水、症状が2週間以上継続
- 風邪:発熱あり、黄色い鼻水、通常1週間程度で改善
出典:
厚生労働省花粉症対策日本の主な原因植物と発生時期を教えてください?

スギ花粉症(2月~4月)
- 日本で最も多い花粉症の原因
- 人工林面積の44%を占める
- 飛散距離:数十キロメートル
- 2025年飛散予測:例年より多い
地域 | 飛散開始時期 | ピーク期間 |
---|---|---|
九州 | 2月上旬~ | 2月中旬~3月上旬 |
関東 | 2月中旬~ | 2月下旬~3月下旬 |
東北 | 3月上旬~ | 3月中旬~4月上旬 |
この地域別スギ花粉飛散スケジュールを見ると、
南から北へ段階的に花粉シーズンが移行していることがわかります。九州地方では早いところで1月下旬から飛散が始まることもあり、
2025年は特に暖冬の影響で飛散開始が早まる傾向にあります。関東地方では2月のバレンタインデー頃から本格的な飛散が始まり、3月にピークを迎えます。この時期の関東では1日の飛散量が数千個に達することもあり、重症患者にとっては最も辛い時期となります。東北地方は他の地域より約1ヶ月遅れてシーズンが始まりますが、
寒暖差が激しいため一気に大量飛散することが多く、油断は禁物です。各地域の気象条件や地形的特徴により、実際の飛散パターンは年によって変動するため、気象庁や民間気象会社の花粉予報を定期的にチェックすることが重要です。
ヒノキ花粉症(3月~5月)
- スギ花粉症患者の8割が合併
- スギより約1ヶ月遅れて飛散
- 症状の重症化リスク高
- 広範囲への飛散
その他の重要な花粉
- ハンノキ属:2月~4月、湿地や川沿いに分布
- シラカンバ:4月~6月、主に北海道で猛威
- イネ科(カモガヤなど):5月~10月、身近な場所に繁殖
- ブタクサ:8月~10月、空き地の減少で患者数減少傾向
- ヨモギ:8月~10月、ブタクサより半月遅れ
月 | 主な花粉 | 飛散レベル |
---|---|---|
1月 | スギ(飛散前) | 少量 |
2月 | スギ | 多い |
3月 | スギ・ヒノキ | 非常に多い |
4月 | ヒノキ・ハンノキ | 多い |
5月 | イネ科・ヒノキ | やや多い |
6月 | イネ科 | やや多い |
この年間花粉カレンダーが示すように、
関東地方では実質的に1年の半分近くが何らかの花粉シーズンとなっています。特に注目すべきは3月で、スギとヒノキの花粉が同時期に飛散するため「非常に多い」レベルとなり、
多くの花粉症患者にとって最も過酷な月となります。また、一般的に花粉症は春だけの病気と思われがちですが、実際には5月以降もイネ科植物による花粉症があり、症状が長期化する患者も少なくありません。このカレンダーを参考に、
自分がどの時期に症状が出るかをしっかりと把握し、それぞれの花粉に応じた対策を講じることが重要です。例えば、スギ花粉症の人は1月から予防を開始し、イネ科花粉症も合併している場合は初夏まで継続的な対策が必要となります。
このように、花粉症は春だけの問題ではなく、実際には
ほぼ一年中何らかの花粉が飛散しています。自分がどの花粉にアレルギーを持っているかを把握することが、効果的な対策の第一歩となります。
出典:
環境省花粉情報サイト効果的な花粉症対策にはどのようなものがありますか?

セルフケア対策
- マスクの着用
- 通常マスク:約70%の花粉を除去
- 花粉症用マスク:約84%の花粉を除去
- 顔にフィットするものを選択
- 使い捨てタイプを毎日交換
- メガネの使用
- 通常のメガネ:約40%減少
- 花粉症用メガネ:約65%減少
- コンタクトレンズより推奨
- 服装の工夫
素材 | 花粉付着度 | 推奨度 |
---|---|---|
ウール | 高い | ❌ 避ける |
綿・ポリエステル | 低い | ⭕ 推奨 |
つるつる素材 | 最低 | ⭕⭕ 最適 |
この服装素材比較表は、花粉症対策において
衣類選びが想像以上に重要であることを示しています。ウール素材は繊維の構造上、花粉が絡みつきやすく、一度付着すると除去が困難です。そのため、花粉シーズンには
ウール製のコートやセーターは避けることが賢明です。一方、綿やポリエステルなどの化学繊維は表面が滑らかで花粉が付着しにくく、付着してもブラッシングで容易に除去できます。特に「つるつる素材」として分類される
ナイロンやポリエステルの防風ジャケットは、花粉症患者にとって理想的な外出着といえます。また、同様の理由で帽子の素材選びも重要で、
つばの広いナイロン製の帽子を着用することで、頭部や顔面への花粉付着を大幅に減少させることができます。これらの工夫により、室内への花粉持ち込み量を効果的に削減できます。
- 花粉飛散の多い時間帯(午前10時~午後2時、夕方)の外出を控える
- 帰宅時は玄関前で衣類を払う
- 手洗い・うがい・洗顔の徹底
- 洗濯物の室内干し
薬物療法
- 作用:ヒスタミンの働きを抑制
- 効果:くしゃみ・鼻水に特に有効
- 副作用:第2世代は眠気が少ない
- 服用タイミング:症状出現前の早期開始が効果的
- 抗ロイコトリエン薬:鼻づまりに有効
- 点鼻ステロイド薬:局所的な炎症を抑制
- 点眼薬:目のかゆみ・充血に使用
花粉飛散開始の約2週間前から予防的に薬物療法を開始することで、症状の軽減と治療期間の短縮が期待できます。
根治的治療法
- 対象:スギ花粉症、ダニアレルギー
- 方法:アレルゲンを舌の下に滴下
- 期間:3年以上の継続治療
- 効果:約7割の患者で症状改善
- 利点:自宅での治療が可能
- レーザー手術:鼻粘膜をレーザーで焼灼
- 下鼻甲介切除術:重症な鼻づまりに対応
- 適応:薬物療法で効果不十分な場合
これらの対策法は個人の症状や生活スタイルに応じて組み合わせることが重要です。特に薬物療法については、市販薬での自己判断ではなく、医療機関での適切な診断と処方を受けることをお勧めします。
出典:
日本医科大学耳鼻咽喉科症状が重い場合の注意点と医師への相談について

重症化のサインと危険な症状
- 呼吸困難や喘鳴(ぜんめい)
- 全身の発疹や腫れ
- 意識がもうろうとする
- 血圧低下や頻脈
- 市販薬を2週間使用しても改善しない
- 日常生活に支障をきたす程度の症状
- 合併症(副鼻腔炎、気管支喘息)の疑い
- 初回の花粉症症状出現
合併症とリスク
合併症 | 症状 | 対処法 |
---|---|---|
副鼻腔炎 | 頭痛・頬の痛み・黄色い鼻水 | 抗生物質治療 |
気管支喘息 | 咳・息苦しさ・胸の圧迫感 | 気管支拡張薬 |
アトピー性皮膚炎 | 皮膚のかゆみ・発疹の悪化 | 保湿・外用薬 |
睡眠障害 | 不眠・日中の眠気・集中力低下 | 睡眠環境改善 |
オンライン診療という選択肢
近年、花粉症治療においてもオンライン診療の利用が拡大しています。
生活習慣による症状管理
- 十分な睡眠(7-8時間)
- バランスの取れた食事
- 適度な運動(花粉対策をした上で)
- ストレス管理
- 禁煙・節酒
- 睡眠不足
- 過度のストレス
- 喫煙・受動喫煙
- アルコールの過剰摂取
- 風邪などの感染症
花粉症は適切な治療により症状のコントロールが可能な疾患です。症状が重い場合や日常生活に支障をきたす場合は、早期に医療機関を受診し、専門医による適切な診断と治療を受けることが重要です。
出典:
政府広報オンライン花粉症対策FAQ
Q1: 花粉症は突然発症することがありますか?
A1: はい。花粉症は年齢に関係なく突然発症する可能性があります。特に毎年大量の花粉に曝露されることで、ある日突然症状が現れることがあります。2025年の調査では4%の人が新たに花粉症を発症したと報告されています。
Q2: 子供の花粉症は増えていますか?
A2: 近年、花粉症の低年齢化が進んでいます。厚生労働省の調査では、15歳までの発症率が以前の約2倍に増加しており、幼稚園や小学校での対策も重要になっています。
Q3: 北海道や沖縄では花粉症が少ないのは本当ですか?
A3: はい。北海道(特に道央以北・以東)や沖縄では、スギ花粉の飛散が非常に少なく、花粉症患者数も全国で最も少ない水準にあります。ただし、北海道ではシラカンバ花粉症に注意が必要です。
Q4: 花粉症の症状は一生続きますか?
A4: 花粉症の症状は個人差がありますが、適切な治療により症状のコントロールが可能です。舌下免疫療法などの根治的治療では、約7割の患者で症状の改善が報告されています。
Q5: 妊娠中でも花粉症の薬は使用できますか?
A5: 妊娠中の薬物使用については、必ず医師に相談してください。一般的に点鼻薬や点眼薬は全身への影響が少ないとされていますが、個別の判断が必要です。
Q6: マスクの種類によって花粉除去効果に差はありますか?
A6: はい。通常のマスクでも約70%の花粉を除去できますが、花粉症専用マスクでは約84%まで除去効果が向上します。重要なのは顔にしっかりフィットすることです。
参考文献
- ドクターナウは特定の薬品の推薦および勧誘を目的としてコンテンツを制作していません。ドクターナウ会員の健康な生活をサポートすることを主な目的としています。 * コンテンツの内容は、ドクターナウ内の医師および看護師の医学的知識を参考にしています。
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