
間違った呼吸が顔を変える?口呼吸の問題と健康への影響
口呼吸は顔の形や健康に深刻な影響を与えます。アデノイド顔貌、歯並び悪化、感染症リスク増加など様々な問題を引き起こす口呼吸の原因と改善方法、専門医への相談について詳しく解説します。
ドクターナウ編集部
2025.09.03
無意識のうちに口で呼吸していませんか?実は、正しい呼吸法は鼻呼吸であり、口呼吸を続けることで顔の形や健康に深刻な影響を与える可能性があります。特に成長期のお子さんでは、アデノイド顔貌と呼ばれる特徴的な顔つきになることもあります。この記事では、口呼吸がもたらす問題と改善方法について詳しく解説します。
呼吸と顔の発達にはどんな関係があるの?

正常な呼吸パターンとは?
人間の本来の呼吸は
鼻呼吸です。鼻呼吸では、鼻腔を通る空気が温められ、加湿され、フィルターを通して浄化されます。この際、口は自然に閉じられ、舌は上顎のスポットポジションと呼ばれる位置に置かれます。
呼吸が顔の発達に与える影響
呼吸パターンは顔の骨格形成に直接影響を与えます。鼻呼吸を行う際の舌の位置や口周りの筋肉の使い方が、顎の成長や歯列の形成に重要な役割を果たしているのです。
鼻呼吸時の状態 | 口呼吸時の状態 |
---|---|
口は自然に閉じている | 口が開いたまま |
舌は上顎に接触 | 舌が下顎に落ちる |
口周りの筋肉が適切に働く | 口周りの筋肉が緩む |
顎の正常な発達を促進 | 顎の発達に影響 |
正常な呼吸パターンでは、舌が上顎を内側から支え、口周りの筋肉が外側からバランスを取ることで、健全な顔面の発達が促されます。しかし口呼吸では、このバランスが崩れてしまい、様々な問題が生じてしまいます。
出典:
日本病巣疾患研究会間違った呼吸とは何?口呼吸の基本的な問題
口呼吸とはどのような状態?
口呼吸とは、
吸う息、吐く息のどちらか一方でも口から行う呼吸法のことです。常時口が開いている状態(ポカン口)も含まれます。日本では約8割の人が口呼吸をしていると言われており、現代人の大きな健康問題となっています。
口呼吸になる主な原因
口呼吸になる原因は多岐にわたります:
- 鼻の問題:アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、鼻中隔彎曲症
- アデノイド肥大:咽頭扁桃の肥大による鼻道の閉塞
- 歯並びの問題:上顎前突(出っ歯)、開咬など
- 口周りの筋力低下:口輪筋の衰え
- 生活習慣:長時間のスマートフォン使用、猫背
- 精神的要因:ストレス、緊張
口呼吸は一つの原因だけでなく、複数の要因が絡み合って生じることが多いのです。携帯ゲーム機やスマートフォンの操作に集中している時も口呼吸になりがちですから要注意です。
口呼吸の簡単セルフチェック

以下の項目に当てはまるものが多いほど、口呼吸の可能性が高くなります:
- 無意識に口が開いている
- 朝起きた時に喉が痛い
- いびきをよくかく
- 口の中がよく乾燥する
- 風邪をひきやすい
- 集中力が続かない
- 口臭が気になる
- 歯並びが悪い
これらの症状が複数当てはまる場合は、専門医への相談をおすすめします。特にお子さんの場合は、早期の対策が重要です。
出典:
オムロン ヘルスケア口呼吸が健康と外見に与える深刻な影響

口腔内への影響
口呼吸により口の中が乾燥すると、様々な口腔トラブルが発生します:
- 唾液の分泌量減少により細菌が繁殖しやすくなる
- 唾液の自浄作用・抗菌作用が低下
- 特に睡眠中は唾液分泌がさらに減少するため危険
- 口腔内細菌の異常繁殖
- 虫歯や歯周病による細菌臭や膿の臭い
- 唾液による洗浄作用の低下
全身への健康影響
鼻呼吸では鼻毛や粘膜がフィルターの役割を果たしますが、口呼吸ではウイルスや細菌が直接体内に侵入しやすくなります。
鼻呼吸の防御機能 | 口呼吸の問題点 |
---|---|
鼻毛によるフィルタリング | フィルター機能なし |
粘膜による病原菌捕捉 | 病原菌が直接侵入 |
空気の加温・加湿(35-37度、湿度90%以上) | 冷たく乾燥した空気が直接肺へ |
一酸化窒素による殺菌作用 | 殺菌作用なし |
- いびきや睡眠時無呼吸症候群のリスク増加
- 酸素供給不足による睡眠の質低下
- 成長ホルモン分泌の阻害
顔貌・外見への深刻な影響
長期間の口呼吸により、以下のような特徴的な顔つきに変化することがあります:
- 面長で細い顔(ロングフェイス)
- 下顎の後退
- 上唇のめくれ上がり
- 鼻の発達不全
- 口元の突出(口ゴボ)
- 表情に乏しい印象
- 上顎前突(出っ歯)
- 開咬(前歯が咬み合わない)
- 叢生(歯のデコボコ)
- V字型の狭い歯列弓
これらの変化は特に成長期の子どもで顕著に現れ、一度形成された骨格は大人になってからの改善が困難になります。
出典:
加古川アップル歯科正しい呼吸習慣を身につける方法

鼻呼吸への改善ステップ
- 日中は意識して鼻呼吸を心がける
- 深呼吸時は鼻からゆっくり吸い、鼻から吐く
- 瞑想やヨガなどの呼吸法トレーニングを取り入れる
口周りの筋肉を鍛える「あいうべ体操」が効果的です:
- 「あー」:口を大きく開く(1秒間)
- 「いー」:口を横に大きく広げる(1秒間)
- 「うー」:口を強く前に突き出す(1秒間)
- 「べー」:舌を下に向かって出す(1秒間)
1日30セット(食後10回×3回)を目標に継続しましょう。
舌を上顎の正しい位置(スポットポジション)に置く習慣を身につけます。舌先を上の前歯の少し後ろの歯茎に軽く触れさせ、舌全体を上顎に吸い付けるような感覚で保持します。
生活習慣の改善
- 猫背を避け、背筋を伸ばした正しい姿勢を保つ
- デスクワーク時は定期的に姿勢をチェック
- スマートフォン使用時の前かがみ姿勢に注意
- 鼻呼吸テープの活用(口に貼って口呼吸を防ぐ)
- 横向き寝で気道を確保
- 寝室の湿度管理(50-60%を目安)
- 室内の湿度調整
- 空気清浄機の使用
- アレルゲンの除去
継続的な習慣改善により、多くの場合で口呼吸から鼻呼吸への転換が可能です。ただし、根本的な原因(鼻炎、歯並び等)がある場合は専門的な治療が必要になります。
出典:
今井一彰医師開発のあいうべ体操ドクターナウオンライン診療で専門医に相談しよう
口呼吸の専門的な治療が必要なケース
以下のような症状がある場合は、セルフケアだけでは限界があり、専門医による診断と治療が必要です:
- 慢性的な鼻炎やアレルギー症状
- アデノイド肥大
- 鼻中隔彎曲症
- 慢性副鼻腔炎
- 歯並びの問題(出っ歯、開咬等)
- 口腔機能の改善が必要な場合
- アデノイド顔貌の矯正治療
ドクターナウなら気軽にオンライン相談

- 年中無休、いつでも医師に相談可能
- 自宅から気軽にオンライン診療を受診
- 小児科・耳鼻科・歯科など専門医が在籍
- 初回相談で適切な診療科を案内
です。
年中無休対応により、子どもの夜間の症状や、仕事で日中受診できない方でも気軽に専門医に相談できます。
でき、特に感染症が気になる時期でも安心して相談できます。
複数の診療科の専門医が在籍しているため、口呼吸という複合的な問題に対して、最適な専門医を案内してもらえるのも大きなメリットです。
オンライン相談で状況を把握した後、
必要に応じて地域の信頼できる医療機関を紹介してもらえるため、継続的な治療にもスムーズに移行できます。特に口呼吸のように、長期的な管理が必要な症状には理想的なシステムです。
特に成長期のお子さんの口呼吸は、将来の顔の形や健康に大きく影響するため、早期の専門的な判断が重要です。「様子を見る」のではなく、まずは気軽にオンライン相談で専門医の意見を聞いてみましょう。
口呼吸は放置すると深刻な問題に発展する可能性がありますが、適切な対策により改善可能な症状です。ドクターナウのオンライン診療で、あなたとご家族の健康な呼吸習慣をサポートします。
FAQ
Q1: 子どもの口呼吸はいつまでに治せばよいですか?
A1: できるだけ早期の改善が重要です。特に6歳までは顎や鼻周りの構造が成長・変形していく時期のため、この間に鼻呼吸ができるよう矯正することが大切です。身長の伸びが止まる頃には顔の骨の成長も止まってしまうため、高校生以降の改善は難しくなります。
Q2: 大人になってから口呼吸を治すことはできますか?
A2: 大人でも改善は可能ですが、子どもに比べて時間がかかります。口の体操やマッサージ、呼吸法トレーニングにより口呼吸から鼻呼吸への改善ができる場合があります。ただし、既に形成された骨格の変化は、歯科矯正や場合によっては外科的治療が必要になることもあります。
Q3: 鼻呼吸テープは安全ですか?
A3: 鼻呼吸テープは一般的に安全な改善方法ですが、鼻づまりがある状態で使用すると危険です。使用前に鼻が通っていることを確認し、薬を服用中の方や呼吸器に問題がある方は事前に医師に相談してください。
Q4: あいうべ体操はどのくらい続ければ効果が出ますか?
A4: 個人差がありますが、継続的に行うことで1-3ヶ月程度で効果を実感する方が多いです。1日30セットを目安に、食後に10回ずつ行うのが理想的です。口周りの筋肉強化には時間がかかるため、継続することが重要です。
Q5: 口呼吸と睡眠時無呼吸症候群は関係ありますか?
A5: 密接な関係があります。口呼吸により下顎や舌が重力で奥に下がり、気道を圧迫・閉塞することで睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。いびきや日中の眠気がある場合は、専門医による睡眠検査を受けることをおすすめします。
Q6: 口呼吸が原因で歯並びが悪くなることはありますか?
A6: はい、口呼吸は歯並びに大きく影響します。口が開いた状態が続くと、舌の位置が下がり、歯列に内側からの圧力がかからなくなります。また、口周りの筋肉のバランスが崩れることで、出っ歯や開咬などの不正咬合の原因となります。
参考文献
- ドクターナウは特定の薬品の推薦および勧誘を目的としてコンテンツを制作していません。ドクターナウ会員の健康な生活をサポートすることを主な目的としています。 * コンテンツの内容は、ドクターナウ内の医師および看護師の医学的知識を参考にしています。
風邪や目の乾きなど、自宅でお薬を受け取れる