
テカリを抑えて潤いチャージ!夏のオイリー肌対策まとめ
夏のオイリー肌の原因から水分油分バランスの重要性、効果的なスキンケア方法、イソトレチノイン治療まで。テカリやベタつきを根本から改善する包括的ガイドで美肌を目指しましょう。
ドクターナウ編集部
2025.08.05
夏になると顔のテカリやベタつきが気になり、メイク崩れに悩まされる方も多いのではないでしょうか。実は、夏のオイリー肌の多くは水分油分バランスの崩れが原因です。正しいケア方法を身につけることで、テカリを抑えながらしっかりと潤いをキープできます。
この記事では、夏特有のオイリー肌の悩みから水分油分バランスの重要性、そして効果的な管理方法まで詳しく解説します。
夏に悩まされるオイリー肌の特徴とは?

夏のオイリー肌にはどのような症状が現れますか?
夏のオイリー肌は、高温多湿な環境によって皮脂分泌が活発になることで起こります。主な症状として以下のようなものがあります。
症状 | 特徴 | 時間帯 |
---|---|---|
テカリ | Tゾーンを中心とした光沢 | 朝から夕方まで持続 |
ベタつき | 触ると手に皮脂が付着 | 特に午後以降 |
毛穴の目立ち | 皮脂で毛穴が開いて見える | 一日中 |
メイク崩れ | ファンデーションの浮き | 数時間後から |
ニキビ | 皮脂詰まりによる炎症 | 継続的 |
夏のオイリー肌症状は、高温多湿な環境下で皮脂腺の活動が活発になることによって引き起こされます。特に注目すべきは、これらの症状が単独で現れるのではなく、相互に関連し合いながら悪循環を形成する点です。テカリは皮脂の過剰分泌により朝のスキンケア直後から始まり、時間の経過とともにベタつきへと変化します。
毛穴の目立ちは皮脂が毛穴を押し広げることで起こり、この状態が続くとファンデーションが毛穴に入り込んでメイク崩れの原因となります。さらに詰まった皮脂が酸化し、細菌の繁殖環境を作ることでニキビの発生につながります。これらすべての症状を根本から改善するには、単なる皮脂除去ではなく、肌の水分油分バランスを整える包括的なアプローチが必要です。
夏のオイリー肌は単純な皮脂過多ではなく、多くの場合、肌の内側が乾燥している「インナードライ肌」の状態です。汗や皮脂で表面は潤っているように見えても、実際は角質層の水分が不足しているため、肌がさらに皮脂を分泌しようとする悪循環に陥っています。
水分油分バランスとは?

肌の水分油分バランスはどのような仕組みですか?
水分油分バランスとは、肌の角質層に含まれる水分と皮脂膜の油分が適切な比率で保たれている状態を指します。健康な肌では、このバランスが保たれることで外部刺激から肌を守り、なめらかで透明感のある肌質を維持できます。
- 水分:角質層の水分含有量15-20%
- 油分:皮脂膜による適度な保護膜形成
- pH値:弱酸性(pH4.5-6.5)
健康な肌の水分油分バランスは、単純な数値だけでなく、これらの要素が相互に作用し合うことで維持されています。角質層の水分含有量15-20%は、セラミドやNMF(天然保湿因子)によって保持され、肌の柔軟性と透明感を生み出します。
皮脂膜は皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺からの汗が適切な比率で混合されることで形成され、外部刺激からの保護と内部水分の蒸発防止という二重の役割を果たします。pH値が弱酸性に保たれることで、有害な細菌の繁殖を抑制し、肌に有益な常在菌の活動を促進します。このバランスが崩れると、乾燥やオイリー肌、敏感肌などの様々な肌トラブルを引き起こすため、日々のスキンケアでこの理想状態を維持することが美肌の基本となります。
水分油分バランスが整った肌では、皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から出る汗が混ざり合って「皮脂膜」を形成します。この皮脂膜が天然のクリームとして働き、外部からの刺激を防ぎながら内部の水分蒸発を抑制します。
水分油分バランスの重要性
なぜ水分油分バランスが肌の健康に重要なのですか?
水分油分バランスは、肌のバリア機能を正常に保つために不可欠です。このバランスが崩れると、様々な肌トラブルの原因となります。
- 外部刺激に対する抵抗力が高い
- 肌のターンオーバーが正常
- キメが整い、透明感がある
- 季節による変化に対応できる
- バリア機能の低下
- 過剰な皮脂分泌
- 乾燥と脂っぽさの同時発生
- 肌荒れやニキビの発生
水分油分バランスが保たれた健康な肌は、まるで天然のバリアシールドのような働きをします。外部刺激に対する抵抗力が高いため、花粉や大気汚染、急激な温度変化などにも動じることなく、安定した状態を維持できます。正常なターンオーバーにより古い角質が適切に剥がれ落ち、新しい健康な細胞が表面に現れることで、自然な透明感となめらかな質感を保ちます。
一方、バランスが崩れた肌では、バリア機能の低下により外部刺激に敏感になり、肌が自らを守ろうとして過剰な皮脂分泌を起こします。この結果、Tゾーンは脂っぽいのに頬は乾燥するという混合肌状態が生まれ、ニキビや肌荒れなどの複合的なトラブルを引き起こします。特に夏場は環境要因によりこの不安定さが増幅されるため、意識的なケアによるバランス調整が不可欠です。
特に夏場は、紫外線やエアコンによる乾燥、汗や皮脂の過剰分泌など、水分油分バランスを崩す要因が多く存在します。そのため、意識的にバランスを整えるケアが必要となります。
水分油分バランス崩壊の原因と症状
水分油分バランスが崩れる主な原因は何ですか?
水分油分バランスが崩れる原因は多岐にわたりますが、特に夏場に注意すべき要因をまとめました。
- 紫外線: 肌のバリア機能を破壊し、水分蒸発を促進
- 高温多湿: 皮脂分泌を過剰に刺激
- エアコン: 室内の乾燥による急激な水分蒸発
- 大気汚染: 毛穴詰まりと酸化ストレスの増加
- 睡眠不足: 成長ホルモンの分泌低下
- ストレス: コルチゾール増加による皮脂分泌促進
- 偏った食生活: 糖質・脂質の過剰摂取
- 運動不足: 血行不良による代謝低下
- 過度な洗顔: 必要な皮脂まで除去
- アルコール系化粧品: 肌の乾燥を促進
- 保湿不足: 水分補給の不備
- 間違った製品選択: 肌質に合わない製品の使用
水分油分バランス崩壊の要因は多岐にわたり、現代のライフスタイルにおいては複数の要因が同時に作用することが一般的です。環境的要因では、特に夏場の強い紫外線が肌の深部まで侵入し、コラーゲンやエラスチンを破壊することでバリア機能を著しく低下させます。室内外の温度差も肌にとって大きなストレスとなり、自律神経の乱れを通じて皮脂分泌のコントロールを困難にします。
生活習慣的要因では、現代社会特有のストレス過多状態が慢性的なコルチゾール分泌を引き起こし、これが皮脂腺を刺激して過剰な油分産生をもたらします。また、加工食品中心の食生活は肌の炎症を促進し、必要な栄養素の不足により肌の修復機能を低下させます。
スキンケア的要因においては、「清潔にしなければ」という思い込みから過度な洗顔を繰り返し、かえって肌の防御システムを破綻させるケースが非常に多く見られます。これらの要因を理解し、包括的にアプローチすることが根本的な改善への第一歩となります。
バランス崩壊時に現れる症状は?
症状カテゴリ | 具体的症状 | 発生メカニズム |
---|---|---|
皮脂系 | 過剰なテカリ、毛穴の開き | 水分不足による代償的皮脂分泌 |
乾燥系 | つっぱり感、粉吹き | バリア機能低下による水分蒸発 |
炎症系 | ニキビ、赤み、かゆみ | 皮脂詰まりと細菌増殖 |
質感系 | ごわつき、ザラつき | 角質肥厚と不均一な皮脂分布 |
水分油分バランス崩壊時の症状は、一つの根本原因から派生する連鎖反応として理解することが重要です。皮脂系症状では、肌の内部乾燥を感知した皮脂腺が「もっと油分を出さなければ」と誤った判断を下し、結果として過剰なテカリが生じます。この過剰な皮脂は毛穴を押し広げ、さらに大量の皮脂分泌を可能にするという悪循環を形成します。
乾燥系症状は皮脂があるにも関わらず内部の水分不足が続くことで現れ、特に洗顔後や朝起きた時のつっぱり感として実感されます。炎症系症状は過剰な皮脂が毛穴に詰まり、アクネ菌などの常在菌が異常増殖することで発生します。
質感系症状は上記すべての影響により角質層の構造が乱れ、本来なめらかであるべき肌表面がでこぼこの状態になることで生じます。これらの症状は個別に対処するのではなく、根本的な水分油分バランスの改善により総合的に解決することが可能です。
バランス崩壊の初期段階では、朝の洗顔後にすぐ肌がつっぱるのに、数時間後にはTゾーンがテカリ始めるという症状が典型的です。この状態を放置すると、慢性的なインナードライ肌へと進行していきます。
よくある間違ったオイリー肌管理習慣

オイリー肌のケアでやってはいけないことは?
多くの方が無意識に行っている間違ったケア方法が、実はオイリー肌を悪化させている可能性があります。
- 過度な洗顔とゴシゴシ洗い
- 1日に3回以上の洗顔
- 熱いお湯での洗顔
- スクラブの毎日使用
- タオルでの強い摩擦
- 保湿の省略
- 「ベタつくから」と乳液を使わない
- 化粧水だけで済ませる
- 油分を完全に避ける
- 夏場の保湿軽視
- 皮脂を取りすぎる行為
- あぶらとり紙の頻繁な使用
- アルコール系拭き取りシートの多用
- 収れん化粧水の過度な使用
- 皮脂除去を目的とした強力なクレンジング
- 刺激の強い製品の使用
- エタノール濃度の高い化粧品
- メントール配合製品の常用
- ピーリング剤の毎日使用
- 抗菌作用の強すぎる洗顔料
- 生活習慣の軽視
- 糖質中心の食生活
- 慢性的な睡眠不足
- ストレス発散方法がない
- 水分摂取量の不足
オイリー肌の方が陥りやすい間違ったケア習慣は、いずれも「皮脂は悪いもの」という誤った認識から生まれています。過度な洗顔は確かに一時的にさっぱり感をもたらしますが、肌が持つ天然の保護機能を破壊し、より深刻な皮脂過剰分泌を招きます。特に熱いお湯での洗顔は必要な皮脂膜まで溶かし去り、肌を無防備な状態にしてしまいます。
保湿の省略は最も致命的な間違いで、これによりインナードライ肌へと移行するケースが非常に多く見られます。皮脂を取りすぎる行為も同様に、肌の自然なバリア機能を混乱させ、かえって皮脂腺の活動を活発化させてしまいます。
刺激の強い製品の常用は肌の炎症を慢性化させ、敏感肌とオイリー肌の複合状態を作り出します。そして生活習慣の軽視は、どんなに優れたスキンケア製品を使用しても効果を半減させてしまう根本的な問題です。これらの習慣を見直すことが、真の肌質改善への第一歩となります。
これらの間違った習慣は、一時的には皮脂が減ったように感じても、長期的には肌のバリア機能を破壊し、より深刻なオイリー肌を招く結果となります。
効果的な脂性肌管理のコツ

正しい脂性肌ケアの手順ルーティン
脂性肌の改善には、段階的で継続的なケアアプローチが必要です。以下の手順に沿って、肌質改善を目指しましょう。
- ぬるま湯洗顔(32-34℃)
- 泡立てネットで十分に泡立てる
- 泡で包み込むように優しく洗顔
- すすぎは20回以上、髪の生え際まで丁寧に
- 化粧水での水分補給
- 手のひらで温めてから塗布
- 3回に分けて重ね付け
- パッティングではなくプレスで浸透
- 美容液での集中ケア
- ビタミンC誘導体配合のものを選択
- Tゾーンには薄く、乾燥部位には多めに
- 肌への浸透を待ってから次のステップへ
- 乳液での保湿とバリア形成
- オイルフリーまたは軽やかなテクスチャーを選択
- 顔全体に薄く均一に伸ばす
- 特に乾燥しやすい目元・口元は重点的に
- 日焼け止めでの紫外線対策
- SPF30-50、PA+++以上を選択
- ノンコメドジェニック処方を優先
- 2-3時間おきの塗り直し
朝のスキンケアは一日の肌状態を左右する重要な時間です。ぬるま湯洗顔では、熱すぎると必要な皮脂まで奪い、冷たすぎると毛穴の汚れが落ちにくくなるため、体温より少し低めの32-34℃が最適です。泡洗顔では、泡のクッション効果により摩擦を最小限に抑えながら、毛穴の奥の汚れまでしっかりと浮き上がらせることができます。
化粧水の重ね付けは、一度に大量の水分を与えるよりも、少量ずつ段階的に浸透させることで角質層の保水力を高める効果があります。美容液は肌質に応じた集中ケアを可能にし、特にビタミンC誘導体は皮脂酸化を防ぎ、毛穴の目立ちを軽減します。
乳液は「ベタつくから使わない」という方が多いですが、化粧水の水分を蒸発させないためには必須のステップです。軽やかなテクスチャーを選ぶことで、保湿効果を得ながらも快適な使用感を実現できます。日焼け止めは美肌維持の最重要アイテムで、こまめな塗り直しにより一日中紫外線から肌を保護します。
- クレンジング(メイクをした日)
- オイルタイプよりもジェルタイプを選択
- 1分以内で素早く、優しくなじませる
- 乳化をしっかり行ってから洗い流す
- 洗顔
- 朝よりもしっかりめの泡立て
- 皮脂の多いTゾーンから洗い始める
- 洗顔時間は1分以内を目安に
- 週2-3回の角質ケア
- AHA(フルーツ酸)配合の化粧水
- BHA(サリチル酸)配合の美容液
- 使用後は必ず保湿を徹底
- 保湿ケア
- 朝よりもしっとりタイプの化粧水
- セラミドやヒアルロン酸配合の美容液
- 軽めのクリームでフタをする
夜のスキンケアは一日の汚れをリセットし、睡眠中の肌再生をサポートする重要な時間です。クレンジングでは、オイルタイプは皮脂分泌を刺激する可能性があるため、オイリー肌にはジェルタイプがおすすめです。メイクとなじませる時間は1分以内に留め、長時間の摩擦による刺激を避けましょう。乳化の工程では、少量の水を加えて白く濁らせることで、メイクや皮脂汚れをより効果的に浮き上がらせることができます。
夜の洗顔は朝よりもしっかりと行い、一日に蓄積した皮脂や汚れを確実に除去します。皮脂の多いTゾーンから洗い始めることで、洗顔料の洗浄力を最も効果的に活用できます。
角質ケアは週2-3回の頻度で行い、蓄積した古い角質を取り除いて肌のターンオーバーを促進します。AHAは肌表面の角質を穏やかに除去し、BHAは毛穴の奥の汚れまで届きます。ただし使用後は必ず保湿を徹底し、角質除去により敏感になった肌をしっかりと保護することが重要です。夜の保湿ケアは朝よりもリッチに行い、睡眠中の肌修復をサポートします。
生活習慣の改善ポイント
- 低GI食品(玄米、全粒粉パンなど)の選択
- オメガ3脂肪酸(魚類、ナッツ類)の積極摂取
- ビタミンA、C、E豊富な緑黄色野菜
- 1日2リットル以上の水分摂取
- 22時-2時のゴールデンタイムを含む7-8時間睡眠
- 就寝前のスマートフォン使用を控える
- 定期的な運動習慣(週3回、30分以上)
- リラクゼーション法の実践
生活習慣の改善は、スキンケア以上に肌質に大きな影響を与える重要な要素です。食生活においては、高GI食品(白米、白パン、砂糖など)は血糖値を急激に上昇させ、インスリンの分泌を促進することで皮脂腺を刺激します。代わりに低GI食品を選択することで、血糖値の安定化と皮脂分泌のコントロールが可能になります。
オメガ3脂肪酸は抗炎症作用により肌の炎症を抑制し、ニキビや肌荒れの改善に効果的です。緑黄色野菜に豊富に含まれるビタミンA、C、Eは強力な抗酸化作用により、皮脂の酸化を防ぎ、肌の老化を遅らせます。
睡眠においては、22時から2時のゴールデンタイムに成長ホルモンが最も多く分泌され、この時間に深い睡眠を取ることで肌の修復と再生が促進されます。スマートフォンのブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を阻害するため、就寝前1時間は使用を控えることが重要です。定期的な運動は血行を促進し、肌への栄養供給を改善するとともに、ストレス発散効果により皮脂分泌の正常化にも寄与します。
皮脂過剰分泌に対するイソトレチノインの可能性
イソトレチノインとはどのような治療法ですか?
イソトレチノイン(13-cis-retinoic acid)は、ビタミンAの誘導体として開発された経口薬で、重度のニキビ治療における最も効果的な選択肢の一つとされています。
- 皮脂腺の縮小: 皮脂産生細胞の分化を調節
- 皮脂分泌量の減少: 最大90%の皮脂分泌抑制効果
- 毛穴角化の正常化: 角質の剥がれを促進
- 抗炎症作用: 炎症性サイトカインの産生抑制
イソトレチノインの作用メカニズムは非常に包括的で、オイリー肌の根本的な原因に多角的にアプローチします。皮脂腺の縮小効果は、皮脂産生細胞(セボサイト)のアポトーシス(細胞の自然死)を促進することで実現され、この効果により皮脂腺のサイズが最大で70%まで減少することが報告されています。
皮脂分泌量の減少は治療開始から2-4週間で実感でき、最大90%という劇的な抑制効果により、長年悩まされてきたテカリやベタつきが大幅に改善されます。毛穴角化の正常化により、皮脂や角質が毛穴に詰まりにくくなり、ニキビの根本的な予防効果を発揮します。
抗炎症作用は、炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-αなど)の産生を抑制し、既存のニキビの炎症を鎮静化させるとともに、新たな炎症の発生を防ぎます。これらすべての作用が相乗的に働くことで、従来の治療法では改善困難だった重度のオイリー肌やニキビに対しても、著明な改善効果をもたらします。
日本では、イソトレチノインは重度の座瘡(ニキビ)に対する治療薬として、皮膚科専門医による処方が可能です。ただし、その使用には十分な注意と監視が必要とされています。
イソトレチノイン治療の考慮点
- 従来の治療に反応しない重度のニキビ
- 炎症性皮疹が広範囲に及ぶ場合
- 瘢痕形成のリスクが高い症例
- 心理的影響が深刻な場合
- 肝機能検査(AST、ALT、ビリルビン)
- 脂質検査(総コレステロール、中性脂肪)
- 妊娠検査(女性の場合、治療開始前・治療中・治療後1か月)
- 精神状態の評価
イソトレチノイン治療の適応は慎重に判断される必要があり、単純に皮脂が多いだけでは適応となりません。従来の治療に反応しない重度のニキビとは、抗生物質やレチノイド外用薬を3-6か月間使用しても改善が見られない症例を指します。炎症性皮疹が広範囲に及ぶ場合は、顔面の50%以上にニキビが分布し、日常生活に支障をきたすレベルの症例が対象となります。
瘢痕形成のリスクが高い症例では、深い炎症性ニキビが繰り返し発生し、将来的に永続的な瘢痕を残す可能性が高い場合に、予防的な観点から治療が検討されます。心理的影響が深刻な場合は、ニキビによる外見の変化が患者の社会生活や精神状態に重大な影響を与えている症例です。
治療前検査は患者の安全性を確保するための必須項目です。肝機能検査では、イソトレチノインが肝臓で代謝されるため、治療開始前の肝機能を把握し、治療中の変化をモニタリングします。脂質検査は、イソトレチノインが脂質代謝に影響を与える可能性があるため、特に中性脂肪の上昇に注意が必要です。女性の場合の妊娠検査は催奇形性のリスクから絶対に欠かせない検査で、治療期間中および終了後1か月まで継続的に実施されます。
分類 | 主な副作用 | 発生頻度 | 対処法 |
---|---|---|---|
皮膚・粘膜 | 口唇炎、皮膚乾燥 | 90%以上 | 保湿剤の使用 |
消化器系 | 肝機能異常 | 10-15% | 定期的な血液検査 |
脂質代謝 | 高脂血症 | 20-25% | 食事指導、運動療法 |
精神神経系 | 抑うつ症状 | 1-5% | 定期的な問診 |
催奇形性 | 胎児奇形 | 高リスク | 確実な避妊の実施 |
イソトレチノイン治療における副作用は、その発生頻度と重篤度に応じて適切な管理が必要です。最も頻繁に見られる皮膚・粘膜系の副作用は、薬剤の皮脂抑制効果の表れでもあり、90%以上の患者で経験されます。口唇炎は特に初期に強く現れ、リップクリームや保湿剤の頻繁な使用により症状を軽減できます。
消化器系の副作用である肝機能異常は、多くの場合軽微で可逆性ですが、月1回の血液検査により早期発見と適切な対応が可能です。脂質代謝への影響は特に中性脂肪の上昇として現れ、食事内容の見直しや運動療法により管理されます。
精神神経系の副作用は発生頻度は低いものの、重篤な場合があるため、治療中は患者の精神状態を注意深く観察し、異常があれば速やかに専門医に相談する必要があります。催奇形性は最も重要な副作用で、妊娠可能な女性では確実な避妊が治療の絶対条件となります。これらの副作用情報を患者が十分に理解し、医師との密な連携により安全な治療を継続することが重要です。
- 治療開始後2-4週間で皮脂分泌の減少を実感
- 3-6か月の治療期間で大幅な改善
- 治療終了後も効果が数年間持続する症例が多数
イソトレチノイン治療の効果は段階的に現れ、多くの患者が治療開始から2-4週間で皮脂分泌の明らかな減少を実感します。この初期効果は治療継続の大きなモチベーションとなり、患者満足度の向上にも寄与します。3-6か月間の治療期間を通じて、皮脂分泌は最大90%まで抑制され、同時にニキビの新生も著明に減少します。
特筆すべきは治療終了後の持続効果で、多くの症例で治療終了後も数年間にわたって改善状態が維持されます。この長期持続効果は他の治療法では得られない大きな利点で、一時的な対症療法ではない根本的な改善を示しています。ただし、効果の持続期間には個人差があり、一部の患者では再発により追加治療が必要になる場合もあります。そのため、治療終了後も定期的な経過観察により、必要に応じて適切な維持療法を検討することが重要です。
ただし、イソトレチノイン治療は専門的な知識と経験を持つ皮膚科医による適切な管理のもとで行われるべき治療法です。治療を検討される場合は、必ず皮膚科専門医に相談し、十分な説明を受けた上で治療方針を決定することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 夏場だけオイリー肌になるのですが、これも脂性肌ですか?
A1: 夏場のみオイリーになる場合は「季節性脂性肌」の可能性が高いです。高温多湿環境で一時的に皮脂分泌が増加している状態で、秋冬になると自然に改善することが多いです。ただし、適切なケアを怠ると慢性的な脂性肌に移行する可能性があるため、夏場の集中ケアが重要です。
Q2: オイリー肌でも乳液やクリームは必要ですか?
A2: はい、オイリー肌でも乳液やクリームは必要です。化粧水だけでは水分が蒸発してしまい、かえって皮脂分泌が増加します。オイルフリーや軽やかなテクスチャーの乳液を選び、薄く塗布することで水分をしっかりと封じ込めましょう。
Q3: あぶらとり紙は使わない方がいいのですか?
A3: あぶらとり紙の使用は1日2-3回程度であれば問題ありません。ただし、頻繁に使用すると必要な皮脂まで取り除いてしまい、かえって皮脂分泌が増加する可能性があります。使用する際は軽く押さえる程度にとどめ、その後は保湿ケアを忘れずに行いましょう。
Q4: ニキビができやすい脂性肌におすすめの成分はありますか?
A4: ニキビができやすい脂性肌には、以下の成分がおすすめです:
サリチル酸(BHA): 毛穴詰まりを解消、
ナイアシンアミド: 皮脂分泌抑制と抗炎症作用、
ビタミンC誘導体: 抗酸化作用と美白効果、
アゼライン酸: 角質正常化と抗菌作用。これらの成分を含む製品を段階的に取り入れることで、ニキビの予防と改善が期待できます。
Q5: 食生活で気をつけるべきことはありますか?
A5: 脂性肌の改善には食生活の見直しも重要です。
避けるべき食品: 高GI食品(白米、白パン、お菓子)、乳製品の過剰摂取、揚げ物などの高脂肪食品。
積極的に摂取したい食品: 低GI食品(玄米、全粒粉パン)、オメガ3脂肪酸豊富な魚類、抗酸化作用のある緑黄色野菜、ビタミンB群を含むナッツ類。バランスの取れた食事と適切な水分摂取を心がけましょう。
Q6: イソトレチノイン治療はどのような人に向いていますか?
A6: イソトレチノイン治療は、従来の治療法で改善が見られない重度のニキビ患者に適しています。具体的には、
広範囲の炎症性ニキビ、
瘢痕形成のリスクが高い症例、
心理的影響が深刻な場合などです。ただし、副作用や注意事項も多いため、必ず皮膚科専門医による診察と十分な説明を受けた上で治療を検討してください。特に女性の場合は、催奇形性のリスクがあるため、確実な避妊が必要です。
参考文献
- Oily skin: MedlinePlus Medical Encyclopedia
- Oily skin: an overview - PubMed
- Physiology, Sebaceous Glands - PubMed
- EEMCO guidance for the in vivo assessment of skin greasiness - PubMed
- Changes in long-term sebum production from isotretinoin therapy - PubMed
- Efficacy and Safety of Low-dose Oral Isotretinoin for Seborrhea - ClinicalTrials.gov
- ドクターナウは特定の薬品の推薦および勧誘を目的としてコンテンツを制作していません。ドクターナウ会員の健康な生活をサポートすることを主な目的としています。 * コンテンツの内容は、ドクターナウ内の医師および看護師の医学的知識を参考にしています。
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