
ハイドロキノン vs ハイチオール、シミ・色素沈着改善にはどっち?
シミ治療の2大選択肢、ハイドロキノンとハイチオールを徹底比較。皮膚科医監修のもと、あなたの症状に最適な選択ができるよう、効果・使用法・副作用まで詳しく解説します。外用薬と内服薬、どちらがあなたに適している?
ドクターナウ編集部
2025.08.05
シミや色素沈着に悩む方なら、一度は「ハイドロキノン」と「ハイチオール」という名前を聞いたことがあるでしょう。どちらもシミ改善に効果があるとされていますが、その作用メカニズムや適応症は大きく異なります。この記事では、皮膚科医監修のもと、あなたの症状に最適な選択ができるよう、両者の違いを詳しく解説します。
シミができる原因とは?

シミの根本的な原因を理解することで、より効果的な治療法を選択できます。
主なシミの原因
原因 | 詳細 | 発生しやすい年齢 |
---|---|---|
紫外線 | メラニン色素の過剰生成 | 30代以降 |
ホルモンバランス | 妊娠・更年期による影響 | 20-40代女性 |
炎症後色素沈着 | ニキビ・外傷後の色素残存 | 全年齢 |
加齢 | ターンオーバーの遅れ | 40代以降 |
上記の表は、シミができる主な原因をまとめたものです。
最も多いのは紫外線による影響で、全体の約8割を占めています。特に30代以降は、今まで蓄積された紫外線ダメージが表面化しやすくなります。女性特有の原因として、
妊娠や更年期などのホルモンバランスの変化があり、これが肝斑と呼ばれるシミの主な原因となります。
また、ニキビや傷跡による炎症後色素沈着は年齢に関係なく発生し、適切なケアを行わないと長期間残存することがあります。40代以降では加齢によるターンオーバーの遅れが顕著になり、メラニンの排出が困難になることでシミが濃くなったり増えたりする傾向があります。
シミの原因は複合的であり、紫外線による影響が最も大きな要因となっています。肌が紫外線などの刺激を受けると、メラノサイト(色素細胞)が活性化し、チロシナーゼという酵素の働きでメラニン色素が生成されます。通常はターンオーバーにより排出されますが、加齢や生活習慣の乱れでこの機能が低下すると、メラニンが蓄積してシミとなるのです。
色素沈着のメカニズム

色素沈着は、メラニン色素が表皮や真皮に過剰に蓄積した状態です。
メラニン生成のプロセス
- 刺激の受容: 紫外線や炎症により肌が刺激を受ける
- メラノサイト活性化: 色素細胞が防御反応として活性化
- チロシナーゼ活性: アミノ酸のチロシンがメラニンに変換
- メラニン蓄積: 正常なターンオーバーで排出されず残存
色素沈着の種類
- 表皮性色素沈着: 表皮にメラニンが蓄積(比較的改善しやすい)
- 真皮性色素沈着: 真皮まで色素が沈着(改善に時間を要する)
- 混合性色素沈着: 表皮と真皮両方に色素が存在
色素沈着の深さや範囲により、適切な治療法が異なるため、皮膚科での正確な診断が重要です。表皮性の色素沈着は外用薬で改善しやすく、真皮性の場合は内服薬との併用が効果的とされています。
ハイドロキノンとは?

ハイドロキノンは「肌の漂白剤」とも呼ばれる強力な美白成分です。
ハイドロキノンの基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
分類 | 外用美白剤 |
主な効果 | メラニン生成抑制・既存メラニン淡色化 |
濃度 | 市販品:2%以下、処方薬:4-5% |
使用方法 | 1日1-2回、気になる部分にスポット使用 |
ハイドロキノンは、イチゴやコーヒー、紅茶にも含まれる天然成分です。日本では2001年の薬事法改正により化粧品への配合が可能となり、現在では多くの美白化粧品に使用されています。その美白効果は、アルブチンやコウジ酸の10~100倍とされ、既にできてしまったシミにも効果を発揮します。
ハイドロキノンの効果
ハイドロキノンは、シミ治療において2つの重要な作用を持ちます。
主な作用メカニズム
- チロシナーゼ阻害作用
- メラニン合成酵素の活性を抑制
- 新しいメラニンの生成を防ぐ
- メラノサイト減少作用
- メラニンを作る細胞そのものを減少
- 既存のメラニンを淡色化
- 還元作用
- 黒色メラニンを無色化
- 既にあるシミを薄くする
効果が期待できるシミの種類
- 老人性色素斑: 最も一般的な日光性のシミ
- 炎症後色素沈着: ニキビ跡や傷跡の色素沈着
- 肝斑: ホルモン性のシミ(トラネキサム酸との併用推奨)
ハイドロキノンの効果は通常、使用開始から2-3ヶ月で実感できることが多く、継続使用により更なる改善が期待できます。ただし、効果の現れ方には個人差があり、シミの種類や深さによっても異なります。
ハイチオールとは?

ハイチオールは、L-システインを主成分とする内服薬です。
ハイチオールの基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
分類 | 内服美白剤・代謝改善薬 |
主成分 | L-システイン(アミノ酸) |
主な効果 | ターンオーバー促進・抗酸化作用 |
使用方法 | 1日2-3回、食後に経口服用 |
L-システインは、皮膚や髪、爪の構成成分であり、体内でも生成される含硫アミノ酸です。美白効果以外にも、疲労回復や二日酔い改善、肌荒れ改善など幅広い効果があります。市販薬と処方薬があり、処方薬の方がL-システインの配合量が多く、より高い効果が期待できます。
ハイチオールの効果
ハイチオールは、体の内側からシミにアプローチします。
主な作用メカニズム
- メラニン生成抑制
- チロシナーゼ酵素の活性阻害
- 黒色メラニンから黄色メラニンへの誘導
- ターンオーバー促進
- 皮膚の新陳代謝を活性化
- メラニンの排出を促進
- 抗酸化作用
- 活性酸素の除去
- 肌の老化防止
期待できる効果
- シミ・そばかすの改善: 既存のメラニンを無色化
- 肌荒れ改善: ターンオーバー正常化による肌質改善
- 疲労回復: エネルギー代謝の促進
- 二日酔い改善: アルコール代謝の促進
ハイチオールの効果は全身に及ぶため、顔だけでなく体のシミにも効果があります。また、継続服用により肌質そのものの改善も期待でき、シミ予防効果も高いとされています。
状況別選択ガイド:ハイドロキノン vs ハイチオール
あなたの症状や希望に応じて、最適な選択肢を見つけましょう。
ハイドロキノンがおすすめの方
条件 | 理由 |
---|---|
局所的なシミが気になる | スポット使用で集中ケア可能 |
早く効果を実感したい | 2-3ヶ月で効果が現れやすい |
既にあるシミを薄くしたい | 還元作用により既存メラニンを淡色化 |
炎症後色素沈着がある | ニキビ跡などの色素沈着に効果的 |
- 日中の紫外線対策は必須
- 刺激を感じた場合は使用を中止
- 妊娠中・授乳中は医師に相談
ハイチオールがおすすめの方
条件 | 理由 |
---|---|
全身のシミが気になる | 内服薬のため全身に効果 |
肌質そのものを改善したい | ターンオーバー促進で肌質改善 |
敏感肌で外用薬が使えない | 内服のため肌への直接刺激なし |
疲労や二日酔いも改善したい | 美白以外の効果も期待できる |
ハイドロキノンとハイチオールは併用可能で、外側と内側からのアプローチにより、より高い効果が期待できます。
症状別推奨治療法
シミの種類 | 第一選択 | 併用推奨 | 効果期間 |
---|---|---|---|
老人性色素斑 | ハイドロキノン | ハイチオール | 2-6ヶ月 |
肝斑 | トラネキサム酸 + ハイチオール | ハイドロキノン | 3-6ヶ月 |
炎症後色素沈着 | ハイドロキノン | ハイチオール | 1-3ヶ月 |
そばかす | ハイチオール | ハイドロキノン | 3-6ヶ月 |
肝斑の場合は、ハイドロキノン単独使用で悪化することがあるため、必ずトラネキサム酸との併用が推奨されます。また、どのシミの種類でも、継続的な紫外線対策が治療効果の維持には不可欠です。
FAQ
Q1: ハイドロキノンとハイチオールは併用できますか?
はい、併用可能です。外用薬のハイドロキノンと内服薬のハイチオールは作用メカニズムが異なるため、併用により相乗効果が期待できます。ただし、初めて使用する場合は、まず一方から始めて肌の状態を確認することをおすすめします。
Q2: 効果が現れるまでにどのくらいかかりますか?
ハイドロキノンは2-3ヶ月、ハイチオールは1-2ヶ月で効果を実感される方が多いです。ただし、シミの種類や深さ、個人の肌質により異なります。最低でも3ヶ月は継続使用することが推奨されています。
Q3: 妊娠中・授乳中でも使用できますか?
ハイドロキノンは妊娠中・授乳中の安全性が十分に確立されていないため、使用を控えることが推奨されます。ハイチオールは比較的安全とされていますが、必ず医師に相談してから使用してください。
Q4: 副作用はありますか?
ハイドロキノンは皮膚刺激(赤み、かゆみ、かぶれ)が起こることがあります。ハイチオールは内服薬のため重篤な副作用は稀ですが、まれに胃腸症状が現れることがあります。異常を感じた場合は使用を中止し、医師に相談してください。
Q5: 市販品と処方薬の違いは何ですか?
主な違いは配合量です。ハイドロキノンは市販品が2%以下、処方薬が4-5%まで配合可能です。ハイチオールも処方薬の方がL-システインの配合量が多く、より高い効果が期待できます。効果を重視する場合は皮膚科での処方をおすすめします。
Q6: シミが完全に消えることはありますか?
シミの種類や深さにより異なります。表皮性の浅いシミは完全に消えることもありますが、真皮まで達した深いシミは薄くなっても完全に消えないことが多いです。現実的な目標として、50-80%の改善を目指すことが適切です。
参考文献
- 色素沈着 - Wikipedia
- 肝斑 - Wikipedia
- メラニン - Wikipedia
- Abnormally dark or light skin: MedlinePlus Medical Encyclopedia
- Skin Pigmentation Disorders | Hyperpigmentation | MedlinePlus
- Melanogenesis in cultured melanocytes can be substantially influenced by L-tyrosine and L-cysteine - PubMed
- The effects of the oral supplementation of L-Cystine associated with reduced L-Glutathione-GSH on human skin pigmentation - PubMed
- Topical hypopigmenting agents for pigmentary disorders and their mechanisms of action - PubMed
- ドクターナウは特定の薬品の推薦および勧誘を目的としてコンテンツを制作していません。ドクターナウ会員の健康な生活をサポートすることを主な目的としています。 * コンテンツの内容は、ドクターナウ内の医師および看護師の医学的知識を参考にしています。
メディカルスキンケアで話題の方法を解説!