
ヒルドイドはお薬?それとも化粧品?ヘパリン類似物質の基礎知識
ヒルドイドの保湿・美容効果を徹底解説!美肌を目指すための使い方や副作用のリスク、選び方のポイントを詳しくご紹介します。
ドクターナウ編集部
2025.07.17
2024年、保湿のため
ヒルドイド
(ヘパリン類似物質)を美容目的で利用することについて物議をかもしていました。今回は、ヘパリンを美容目的で使用して良いのか?またヘパリンの基本情報と美容効果、使い方、そして副作用について総合的に解説していきます。
ヒルドイドの本来の使い方

ヒルドイドの成分と特徴
ヒルドイドは「
ヘパリン類似物質
」を主成分とする外用薬です。ヘパリン類似物質には以下のような働きがあり、血行促進や保湿効果、軽い抗炎症効果などが期待されます。
- 血行促進:皮膚表面の血流を増やし、組織の回復をサポート
- 保湿:角質層に水分を保持し、乾燥やかゆみを軽減
- 抗炎症(軽度):赤みや刺激を抑え、肌荒れを防ぐ手助け
通常はこの成分の薬学的特性を活かし、
皮膚の乾燥症状や角化症、外傷後の硬化や血行障害をケア
する目的などで活用されます。
しかし最近では、その働きをスキンケアに応用し、保湿や肌荒れ防止を目指す流れが広まりました。具体的には、皮膚のうるおいを逃がしにくくし、バリア機能をサポートするという点が、乾燥肌や敏感肌のケアで評価されているようです。
ヒルドイドが利用される代表的な症状

- 乾燥皮膚やアトピー性皮膚炎
- 保湿効果: 肌バリアが乱れがちなアトピー性皮膚炎では、外用ステロイドと併用する形でヒルドイドが処方されることがあります。炎症を抑えるステロイドの効果をサポートしつつ、皮膚がめくれたり、粉を吹いたりする乾燥を軽減するのが目的です。
- 長期管理: 症状が落ち着いてきたら、ステロイドを減らしながらヒルドイドのみ継続し、日々の保湿管理に役立てるケースが多いです。
- 傷跡(瘢痕)や凍瘡の治療補助
- 瘢痕ケア: 手術後の傷跡やケガの瘢痕部分に、皮膚の柔軟性や血行を保つ目的で塗布されることがあります。新しい瘢痕の肥厚や引きつりを抑える効果が期待され、患部が乾燥しないように守ります。
- 凍瘡(とうそう): 血行が滞りやすい指先や足先などの凍瘡ケアとしてもヒルドイドは処方されることがあります。血流促進と保湿により症状の悪化を防ぐ狙いです。
- 糖尿病患者の皮膚トラブル
- 抹消循環のサポート: 糖尿病では細小血管の障害により皮膚が乾燥しやすく、傷の治りが遅くなる傾向があります。ヒルドイドで保湿を強化し、微小循環を良好に保つことで、二次感染や潰瘍の進行を防ぐサポートが可能です。
ヒルドイドの美容効果:肌のバリアを守り、炎症を抑える

続いては美容目的として高く評価されているその特性と効果について紹介します。
乾燥による肌荒れや小じわへの効果
- 症状の特徴
肌が粉吹き状態になったり、表面がかさついて小じわが目立ったりする軽度の乾燥トラブル
- ヒルドイドの作用
高い保湿力で角質層の水分を保持し、バリア機能をサポートするため、小じわが目立ちにくくなる可能性が見込めます。
- 注意点
深刻な乾燥(ひび割れや強いかゆみがある場合)には、他の治療薬や医師の診断が必要な場合もあるので、自己判断での使用は避けましょう。
軽度の敏感肌や肌の赤み
- 症状の特徴
顔全体がピリピリしたり、洗顔後すぐ赤くなってしまうなど、敏感肌傾向があるが、アトピーや炎症が重度ではない場合。
- ヒルドイドの作用
ヘパリン類似物質による保湿・血行促進が、肌荒れやほてり感を穏やかにすることが期待されます。
- 注意点
もともとアレルギー体質やアトピーがある人は医者と相談しつつ使用し、他の薬剤との組み合わせにも注意しましょう。
軽い炎症やかゆみを伴う肌トラブル

- 症状の特徴
ごく軽度の赤み・かゆみがあり、乾燥や外部刺激が主な原因と見られる場合。湿疹などの症状がまだ初期段階で重度ではないとき。
- ヒルドイドの作用
炎症を軽減しつつ保湿をサポートし、かゆみや赤みを抑える補助として機能します。
- 注意点
炎症が悪化している場合や、ジュクジュクとした湿疹には別の治療が必要となることが多いため、早めに医師の診断を受けることが重要です。
軽度のニキビ跡や小さな傷跡
- 症状の特徴
比較的浅いニキビ跡や、薄い傷跡がまだ赤みを伴うような状態。
- ヒルドイドの作用
血行を促進しながら肌の潤いを維持することで、跡が硬くなりにくく、肌の再生をサポートします。
- 注意点
炎症性ニキビが活発な段階にはヒルドイドよりも抗炎症薬などが適切な場合もあります。ニキビ治療薬との併用の際は専門家に確認しましょう。
軽度のくすみやトーンダウン
- 症状の特徴
くすみが生じて肌がどんより見えるが、特に大きな炎症や重症状はない場合。
- ヒルドイドの作用
角質層に潤いを与え、キメを整えることで、肌の透明感が出やすくなります。
- 注意点
くすみの原因が色素沈着や日焼けによるシミの場合、ヒルドイドだけでは効果が限定的なことが多くなるため、美白成分との併用が美白への近道です。
ヒルドイドの美容的使い方

美容的に使用する場合、下記の点を意識すると効果を実感しやすいでしょう。
- 洗顔後に塗る
皮脂や汚れを落とした直後の肌に塗布すると、成分が浸透しやすく、余分な刺激を防ぎやすくなります。
- 適量を薄く伸ばす
塗りすぎるとベタつきや毛穴の詰まりにつながる可能性もあるため、薄く均一に伸ばすのが基本です。
- 保湿剤のひとつと考える
とくに乾燥がひどい季節や夜間のケアで、化粧水のあとに重ねると潤い効果を感じやすくなります。
美容に使う際の注意点:副作用や相性を確認しましょう
比較的安全な薬剤に区分されていますが、個人差によるヒルドイドの副作用リスクは完全には排除できません。使用時に以下のような症状が出る場合は注意が必要です。
- かゆみ・赤み:血行促進や肌の反応で一時的に赤みが強まることがあります。
- 腫れや痛み:まれにアレルギー反応が疑われる場合があるので、重い症状が続くときは使用を中止し専門医に相談しましょう。
また、他の薬剤と重ね塗りしている場合は、成分同士の相互作用で肌が過敏になるケースも考えられます。たとえば、強めのピーリング剤やステロイド外用薬を同時に使うときは、事前に医師や薬剤師に確認するのが賢明です。
ヘパリン類似物質配合製品の選び方と使いこなし
ニキビや肌荒れなどの場合はニキビ治療薬と一緒に処方されることが多くなります。保湿を目的としている場合は市販の製品でも十分な効果を得られるので、成分をしっかり確認してみましょう。 美容的にヘパリン類似物質を取り入れるには、下記のポイントを意識すると安心かつ効率的です。
- 製品の種類をチェック
ヒルドイドにはクリームタイプ、ローションタイプ、ジェルタイプなど複数あり、肌質や目的に合わせて選択。敏感肌やアトピー肌なら添加物の少ないものが望ましいでしょう。
- 適度な量をコツコツ使う
一度に大量に使っても効果が急激に高まるわけではなく、むしろ肌荒れを引き起こす恐れがある。説明書や医師の指示を守ることが重要です。
- 口コミや医師の意見を参考に
ユーザーの実体験はあくまで参考程度ですが、製品選びの指針になります。医師の処方があるなら用法を優先し、アレンジしすぎないことも重要です。
まとめ:ヘパリン類似物質を上手に活用して“うるツヤ美肌”へ

ヘパリン類似物質が配合されたヒルドイドを活用することで、日頃の乾燥対策や敏感肌ケアに一歩進んだアプローチができます。高い保湿力や血行促進、炎症抑制など多面的なメリットがある一方、かゆみや赤みなどの副作用がゼロではない点にも留意が必要です。適切な商品選びと正しい使い方、そして自分の肌状態をよく観察することが、トラブルを避けながら最大限の効果を得るコツだといえるでしょう。 特に処方薬としてのヒルドイドは医師の診断を踏まえて使うことが前提なので、専門家と相談しながら安全に取り入れるのが理想です。セルフケアとして導入したい場合も、一度パッチテストを行ったり、ほかのスキンケア製品との相性を確認したりといった工夫が欠かせません。ぜひ本記事を参考に、自分の肌に合うヘパリン系アイテムを見つけて、“うるツヤ美肌”を目指してみてはいかがでしょうか。
参考資料
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