花粉症でだるい・眠い・倦怠感が続く原因は？

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2025.12.05

花粉症のシーズンになると、「なんとなく体がだるい」「いくら寝ても眠い」「やる気が起きない」といった症状に悩まされることはありませんか？実は、これらの倦怠感や眠気は、花粉症の症状の一つとして医学的にも説明がつくものです。この記事では、なぜ花粉症がだるさや眠気を引き起こすのか、そのメカニズムと具体的な対策について詳しく解説します。

花粉症によるだるさ・眠気の正体

花粉症によって引き起こされるだるさや眠気は、決して「気のせい」や「甘え」ではありません。これらは、

免疫反応によるエネルギー消費、睡眠の質の低下、そして薬の副作用

などが複合的に絡み合って発生する身体的な症状です。特に、体内で花粉という「異物」と戦うために常にエネルギーが使われている状態であるため、風邪をひいている時と同じような消耗状態にあると言えます。

花粉症でだるくなる4つの主な原因

花粉症で倦怠感や眠気が生じる原因は、大きく分けて以下の4つが考えられます。それぞれの原因を理解することで、適切な対策が見えてきます。

1. 過剰な免疫反応と炎症物質

花粉が体内に入ってくると、体はそれを排除しようとして免疫システムを働かせます。この時、

ヒスタミン

や

サイトカイン

といった炎症物質が大量に放出されます。

エネルギーの消耗: 体が常に「戦闘状態」にあるため、基礎代謝以上のエネルギーを消費し続け、疲労感につながります。
サイトカインの影響: サイトカインには脳に働きかけて休息を促す（眠気を誘発する）作用があるため、強い倦怠感を感じさせます。これは風邪をひいた時にだるくなるのと同じ原理です。
自律神経の乱れ: アレルギー反応は自律神経にもストレスを与え、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、だるさやめまいを引き起こすことがあります。

2. 鼻づまりによる睡眠の質の低下と酸欠

鼻づまりは、日中のパフォーマンスだけでなく、夜間の睡眠にも深刻な悪影響を及ぼします。

睡眠時無呼吸・低呼吸: 鼻が詰まると口呼吸になり、いびきをかきやすくなったり、一時的に呼吸が止まったりすることがあります。これにより深い睡眠（ノンレム睡眠）が妨げられます。
分断される睡眠: 鼻水や咳、かゆみで夜中に何度も目が覚めてしまい、睡眠時間は足りていても「質の良い睡眠」がとれていない状態になります。
脳の酸欠状態: 鼻呼吸に比べて口呼吸は酸素の取り込み効率が悪く、脳への酸素供給量が低下します。これが日中の「ボーッとする感じ（ブレインフォグ）」や集中力低下の直接的な原因となります。

3. 抗ヒスタミン薬の副作用

花粉症治療に使われる「抗ヒスタミン薬」の多くは、脳内のヒスタミンの働きも抑制してしまうことがあります。脳内のヒスタミンは、覚醒状態を維持したり、集中力を高めたりする重要な役割を担っています。

鎮静作用: 薬が脳に移行し、ヒスタミンの働きをブロックすることで、強い眠気や活動性の低下（インペアード・パフォーマンス）を引き起こします。
個人差: 薬の効き目や副作用の出方には個人差があり、市販薬などで自分に合わない強い薬を服用している場合に顕著に現れます。

4. ストレスと精神的疲労

終わりの見えない花粉症シーズンに対するストレスも、倦怠感を増幅させます。

不快感の持続: 常に鼻をかんだり、目をこすったりする身体的ストレスは、精神的な疲労を蓄積させます。
QOLの低下: 外出を控えたり、好きなことができなかったりする制限が、気分の落ち込み（抑うつ状態）に繋がり、それが「だるさ」として自覚されることがあります。

だるさと眠気を解消するための具体的対策

原因が分かったところで、実際にどのように対処すれば良いのか、効果的な方法を紹介します。

薬の選び方と見直し

最も即効性があるのは、服用している薬を見直すことです。

薬の種類	特徴	眠気のリスク	おすすめのケース
第1世代抗ヒスタミン薬	効果は早いが持続時間が短く、脳への移行が多い	非常に高い	とにかく症状を今すぐ止めたい時（運転等は不可）
第2世代抗ヒスタミン薬	持続時間が長く、脳への移行が少ない（眠くなりにくい）	低い〜中程度	日常生活のパフォーマンスを落としたくない時
点鼻薬（ステロイド）	患部（鼻の粘膜）に直接作用し、全身への影響が少ない	ほぼ無し	鼻づまりが強く、飲み薬で眠くなる人
漢方薬	体質改善を目的とし、眠くなる成分を含まないものが多い	無し	西洋薬が合わない人、妊娠中・授乳中の人

上記の表は、花粉症治療薬の一般的な特徴をまとめたものです。「第2世代抗ヒスタミン薬」の中でも、特に「フェキソフェナジン（アレグラなど）」や「ロラタジン（クラリチンなど）」は眠気が少ないとされています。一方で、効果が強い薬ほど眠気が出やすい傾向もあるため、医師や薬剤師と相談して、自分の生活スタイル（運転をするか、受験生かなど）に合った薬を選ぶことが重要です。

質の高い睡眠を確保するテクニック

花粉症シーズンの睡眠不足を解消するための「ナイトケア」を徹底しましょう。

就寝前の入浴: 湯船に浸かって蒸気を吸うことで、一時的に鼻の通りが良くなります。また、体温を上げることで入眠しやすくなります。
鼻洗浄（鼻うがい）: 寝る前に鼻腔内の花粉や粘液を洗い流すことで、就寝中の鼻づまりや炎症を軽減できます。
室内環境の整備:
- 空気清浄機を寝室で稼働させる。
- 加湿器で湿度を50〜60%に保ち、鼻粘膜の乾燥を防ぐ。
- 枕元の花粉を拭き取る。
鼻拡張テープの使用: 物理的に鼻腔を広げるテープを使用することで、鼻呼吸を助け、いびきや口呼吸を軽減できます。

生活習慣でのケア

日中の過ごし方でも、倦怠感を軽減することができます。

こまめな水分補給: 粘膜の乾燥を防ぎ、代謝を促すために、常温の水やノンカフェインのお茶をこまめ摂取しましょう。
体を冷やさない: 体が冷えると免疫機能が低下し、アレルギー症状が悪化しやすくなります。特に首、手首、足首を温めることが有効です。
バランスの良い食事: 免疫力を正常に保つため、ビタミンやミネラル、食物繊維（腸内環境改善）を意識して摂りましょう。アルコールは鼻づまりを悪化させ、睡眠の質を下げるため、シーズン中は控えるのが無難です。

このだるさは病院に行くべき？危険なサイン

花粉症によるだるさだと思っていても、別の病気が隠れている可能性があります。以下の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

微熱が長期間続く: 花粉症でも微熱が出ることはありますが、37.5度以上の熱が続く場合は感染症などの可能性があります。
日常生活に支障が出るほどの強い眠気: 睡眠時無呼吸症候群が悪化している可能性があります。
関節痛や筋肉痛がひどい: インフルエンザや他のウイルス感染症の疑いがあります。
気分の落ち込みが激しい: 「季節性うつ病」の可能性があります。

まとめ

花粉症によるだるさや眠気は、アレルギー反応による体の防衛反応であり、薬の副作用や睡眠不足も大きく関係しています。「たかが花粉症」と我慢せず、以下の対策を積極的に取り入れてみてください。

眠くなりにくい薬（第2世代抗ヒスタミン薬や点鼻薬）への切り替えを検討する。
寝室の環境を整え、鼻呼吸で眠れる工夫をする。
無理をせず、体が戦っていることを認めて十分な休息をとる。

適切なケアを行うことで、辛い花粉症シーズンでも、パフォーマンスを落とさずに快適に過ごすことができます。

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