アトピーの薬物治療中に妊娠した場合の対処法
2025.09.17
アトピー性皮膚炎の治療中に妊娠がわかった時、薬の安全性について心配になられる方が多いでしょう。現在使用している治療薬が赤ちゃんに影響しないか不安になるのは自然なことです。妊娠中のアトピー治療では、母体の症状管理と胎児の安全性を両立させる適切な対処法を知ることが重要です。この記事では、妊娠中のアトピー薬物治療の安全性と対処法について詳しくご説明します。
妊娠判明後の基本対応
妊娠が判明した場合、まず現在の治療薬について医師と相談することが重要です。多くのアトピー治療薬には妊娠中でも安全に使用できるものがあり、治療を続けることができます。しかし、一部の薬剤は使用を避ける必要があるため、適切な治療変更が必要な場合があります。
妊娠中に使用可能な治療薬
安全に使用できる薬剤
外用薬は妊娠中のアトピー治療の基本となります。適切に使用すれば全身への影響は最小限に抑えられ、母体と胎児の安全性が確認されています。
薬剤分類 | 安全性 | 使用上の注意 |
---|---|---|
保湿剤(ヘパリン類似物質等) | 安全 | 制限なく使用可能 |
弱いステロイド軟膏 | 安全 | 短期間・局所使用で問題なし |
中程度ステロイド軟膏 | 注意して使用可能 | 医師の指導下で必要最小限 |
外用薬は皮膚からの吸収が少ないため、適切な量と期間を守れば妊娠中でも安全に使用できます。特に保湿剤については制限なく使用でき、症状の悪化予防に重要な役割を果たします。
薬剤名 | 妊娠中の安全性 | 使用条件 |
---|---|---|
抗ヒスタミン薬(第一世代) | 比較的安全 | 必要時のみ短期使用 |
シクロスポリンA | 使用可能 | 重症例で医師判断により |
経口ステロイド | 慎重使用 | 短期間・最小有効量 |
内服薬については、症状が重篤な場合に限り医師の厳重な管理下で使用されます。抗ヒスタミン薬は比較的安全性が高く、激しいかゆみの緩和に使用される場合があります。
妊娠中に避けるべき薬剤
薬剤分類 | 理由 | 代替治療 |
---|---|---|
JAK阻害薬 | 胎児への影響が不明 | 外用薬への変更 |
メトトレキサート | 催奇形性リスク | 使用中止、他剤への変更 |
タクロリムス軟膏 | 妊娠・授乳中禁忌 | ステロイド軟膏への変更 |
これらの薬剤は妊娠中の使用が禁忌とされているため、妊娠判明後は速やかに使用を中止し、安全な代替治療への変更が必要です。
妊娠時期別の対応策
妊娠初期(妊娠4-12週)
妊娠初期は胎児の器官形成期にあたるため、薬剤の影響を最も慎重に考慮する必要があります。この時期は症状管理よりも胎児の安全性を最優先に考え、必要最小限の治療に留めることが推奨されます。
- 催奇形性のある薬剤の即座な中止
- 保湿剤を中心としたスキンケアの強化
- 軽度のステロイド軟膏による局所治療
- 環境要因(ストレス、アレルゲン)の除去
妊娠中期(妊娠13-27週)
妊娠中期は胎児の器官形成が完了し、相対的に薬剤の影響を受けにくい時期です。この時期には症状の適切な管理が可能となり、必要に応じて治療選択肢を広げることができます。
- ステロイド軟膏の適切な使用
- 必要に応じた抗ヒスタミン薬の短期使用
- 光線療法(紫外線治療)の検討
- 重症例でのシクロスポリンA使用
妊娠後期(妊娠28週以降)
妊娠後期では出産後の母乳育児も考慮した治療選択が重要になります。この時期の症状悪化は分娩や産後の回復に影響する可能性があるため、適切な症状管理が必要です。
- 授乳期に安全な薬剤への事前変更
- 分娩時の症状コントロール
- 産後の症状変化への準備
- 新生児への影響を考慮した薬剤選択
新しい生物学的製剤の安全性
デュピルマブ(デュピクセント)の妊娠中使用
デュピルマブは重症アトピー性皮膚炎に使用される生物学的製剤で、妊娠中の安全性についても多くの研究が行われています。現在までの研究では、妊娠中の使用で明らかな胎児への悪影響は報告されていません。
- 妊娠初期の曝露で先天異常のリスク増加は認められず
- 分娩や新生児への明らかな悪影響なし
- WHO(世界保健機関)の薬物安全性データベースでも安全性に問題なし
- 妊娠中に継続使用した症例での良好な治療成果
使用の判断基準
妊娠中のデュピルマブ使用については、以下の条件を満たす場合に検討されます。
- 重症アトピー性皮膚炎で従来治療では効果不十分
- 妊娠による症状悪化が母体の健康に重大な影響を与える可能性
- 他の安全な治療選択肢で十分な効果が得られない
- 患者が十分な説明を受け、治療継続を希望する場合
妊娠中の症状管理と生活指導
スキンケアの重要性
妊娠中は薬物治療に制限があるため、適切なスキンケアがより重要になります。保湿剤による皮膚バリア機能の維持は、症状の悪化予防と薬剤使用量の減少につながります。
- 1日2-3回の定期的な保湿剤使用
- 入浴時の温度管理(38-39℃の微温湯)
- 刺激の少ない洗浄剤の選択
- 入浴後5分以内の保湿剤塗布
環境要因の管理
妊娠中は免疫状態の変化により、普段は問題ないアレルゲンにも反応しやすくなる場合があります。
- ダニ・ハウスダスト対策の徹底
- 室内湿度の適切な管理(45-55%)
- ストレス軽減のための規則正しい生活
- 適度な運動と十分な睡眠の確保
注意すべき症状と緊急対応
妊娠中のアトピー治療では、以下の症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。
- 全身の皮膚炎症の急激な悪化
- 発熱を伴う皮膚感染症の症状
- 激しいかゆみによる睡眠障害の継続
- 皮膚からの浸出液や出血の増加
- 妊娠に関連した異常症状(腹痛、出血等)
- 軽度の症状悪化:保湿剤の使用頻度増加、環境要因の見直し
- 中程度の悪化:医師への相談、安全な外用薬の追加
- 重度の悪化:緊急受診、入院治療の検討
出産後の治療移行
授乳期への配慮
出産後に母乳育児を予定している場合は、授乳期にも安全な治療薬への事前変更が推奨されます。多くのアトピー治療薬は母乳中への移行が少ないため、適切な選択により安全に治療を継続できます。
- 外用ステロイド薬(局所使用)
- 保湿剤・軟膏基剤
- 一部の抗ヒスタミン薬
- 必要に応じたデュピルマブの継続
産後の症状変化への対応
妊娠・出産に伴うホルモン変化により、産後にアトピー症状が変化する場合があります。
- 妊娠中に改善していた症状の再燃
- 授乳によるホルモン変化に伴う症状変動
- 育児ストレスによる症状悪化
- 睡眠不足による免疫機能への影響
全体的な治療方針とまとめ
アトピー性皮膚炎の薬物治療中に妊娠した場合は、
母体の症状管理と胎児の安全性のバランスを考慮した個別の治療計画が必要です。現在では妊娠中でも安全に使用できる治療選択肢が多数あり、適切な医師の管理下で症状をコントロールすることができます。
重要なことは、妊娠判明後に自己判断で治療を中止するのではなく、必ず医師と相談して最適な治療方針を決定することです。特に重症のアトピー性皮膚炎の場合、治療の中断により症状が悪化し、妊娠経過や胎児に悪影響を与える可能性もあります。
定期的な医師との相談により、妊娠の各時期に応じた適切な治療を受け、安全で快適な妊娠期間を過ごしてください。
どこでもアトピー薬を受け取る方法
いつでもどこでも
オンライン診療アプリドクターナウでオンライン診療を通じて アトピー薬を希望の場所に配送してもらえます。
オンライン診療をおすすめする方
- アトピー薬が必要な方
- すぐに病院に行くのが難しい方
- 体調が悪くて病院に行けない方
- 服用中の薬を再度受け取りたい方
- 病院に頻繁に通う方
オンライン診療が可能な疾患
風邪、鼻炎、花粉症、腹痛、内科、眼科、皮膚疾患、精神疾患、慢性疾患など、さまざまな症状に対してオンライン診療を受け、薬を配送してもらうことができます。
ドクターナウでオンライン診療を受ける方法
- ドクターナウアプリをダウンロード
- 会員登録をしてください
- 診療を希望する症状を選択してください
- ご希望の医師・時間を選択してください
- 診療申込後、時間になったらオンライン診療を受けてください
- ドクターナウは特定の薬品の推薦および勧誘を目的としてコンテンツを制作していません\n- ドクターナウ会員の健康な生活をサポートすることを主な目的としています。
風邪や目の乾きなど、自宅でお薬を受け取れる