防風通聖散・大柴胡湯・防已黄耆湯…どれがいい？ダイエット漢方の選び方を徹底解説！
防風通聖散や大柴胡湯、防已黄耆湯などのダイエット漢方の特徴や効果を徹底解説！体質改善のコツや選び方、注意点も詳しく紹介します。
ドクターナウ編集部
2025.07.17
漢方は単に体重を落とすだけでなく、
体質改善をとおして健康的に痩せることを目指せます。身体全体のバランスを整えながら、無理のない範囲でダイエットを進められるため、人気がありますが、「漢方薬」と一口に言ってもたくさんの種類があります。そこで本記事では、ダイエットによく使われる
防風通聖散・大柴胡湯・防已黄耆湯・五苓散・桂枝茯苓丸などの特徴を整理し、選び方や使い方のコツを解説していきます。
漢方ならではの“証（しょう）”と体質の考え方
漢方では、個人の体質や症状を「証（しょう）」と呼ばれる概念で捉えます。簡単に言うと、「この人の身体はどういう状態になっていて、何が原因でバランスを崩しているか」を見極めるための指標です。証には**「実証」と「虚証」、あるいは「寒証」と「熱証」**など複数の分類が存在し、以下のように考えます。
- 実証：体力があり、がっしりした体格。肩こり・便秘になりやすい傾向
- 虚証：体力があまりなく、疲れやすい。冷え性やむくみになりやすい傾向
- 寒証：身体が冷えやすく、血行不良や冷えによる痛みが起こりやすい
- 熱証：のぼせやすく、炎症や赤みが生じやすい
こうした証は、実際には複合していることが多いため、専門家の診断を受けて判断するのが理想的です。
代表的なダイエット漢方薬の特徴
(1) 防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）
- 主な成分：防風、麻黄、大黄など
- おすすめタイプ：
- 実証寄りで体力がある
- 便秘気味で、脂肪の蓄積が気になる
- 効果：便通改善・脂肪燃焼サポート・新陳代謝の活性化
- 注意点：体力があまりない（虚証寄り）場合、成分が強すぎる可能性があります。飲用開始は慎重に。
肥満の漢方で有名な「ツムラ20」「ツムラ25」など市販品もこの漢方です。防風通聖散はダイエット漢方でとても有名ですが、飲んですぐ劇的に減量するわけではありません。
便通改善や代謝アップによる体重減少が中心になるので、生活習慣の改善を平行して行うとより効果を感じることができます。
(2) 大柴胡湯（だいさいことう）
- 主な成分：柴胡、黄芩、大黄など
- おすすめタイプ：
- ストレスで過食してしまう
- 便秘がちで胃腸がもたれやすい
- 効果：ストレス緩和・食欲抑制・脂肪蓄積の抑止
- 注意点：こちらも実証向け。体力が低い人には合わない場合があるので注意。
大柴胡湯は、食欲を抑える漢方と誤解されていますが、精神面（イライラやストレス）からくる食欲増進を抑える効果があります。大柴胡湯の効果としては、胃腸の動きが整って脂肪が蓄積しにくくなることが期待されます。
(3) 防已黄耆湯（ぼういおうぎとう）
- 主な成分：防已、黄耆、白朮など
- おすすめタイプ：
- 虚証寄りで疲れやすく、筋肉量が少ない
- むくみやすい・水太りタイプ
- 効果：余分な水分の排出・むくみ軽減・基礎代謝アップ
- 注意点：がっしり体型で体力がある人（実証）は、効果が薄いケースも。
「防已黄耆湯でやせた」という口コミが多いのは、水分代謝の改善によって見た目や体重が変わりやすいからです。足のむくみや体のだるさを感じる方は、一度試してみると良いかもしれません。
(4) 五苓散（ごれいさん）
- 主な成分：沢瀉、猪苓、茯苓など
- おすすめタイプ：
- むくみやすく、体内の水分バランスが乱れがち
- 頭痛やめまい、吐き気など「水滞」症状が多い
- 効果：水分代謝の改善・利尿作用・むくみ解消
- 注意点：急激な体重減少は狙いにくい。水太りに悩む方向け。
五苓散で体重減少する理由は「体の水分コントロール」が改善されるからです。水をガブ飲みしやすい人やむくみ体質の人に特に向いています。
(5) 桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）
- 主な成分：桂皮、茯苓、牡丹皮など
- おすすめタイプ：
- 冷え性で血行不良がある
- 生理痛や生理不順など、女性特有の不調が気になる
- 効果：血行促進・ホルモンバランス調整・代謝アップ
- 注意点：熱感が強い人（熱証）はかえって不調を招く可能性あり。
「桂枝茯苓丸で痩せた！」という口コミは、冷え改善による基礎代謝の向上が大きな理由です。女性のPMS（月経前症候群）対策としても処方されることがあります。
結局、漢方ダイエットはどれがいいの？ダイエット漢方診断！
自分に合った漢方薬を選ぶには、まずは大まかな体質を把握することが大切です。各タイプの特徴を見て、どのタイプが近いか簡単にセルフ診断してみましょう。
- [実証寄り] がっしり体型で肩こりや便秘が多い／暑がり／ストレスがたまると暴飲暴食しがち
- [虚証寄り] 疲れやすく、少し運動しただけで疲労感が強い／冷え性／むくみがち
- [寒証] 夏でも手足が冷える／食事や入浴で温まると調子が良い／のぼせやほてりはあまり感じない
- [熱証] 顔が赤くなりやすい／のぼせ感がある／汗をかきやすい
もちろん、複数の特徴をあわせ持つ人が多いため、専門家に相談するのがおすすめです。
処方薬の漢方と市販漢方の違い
漢方薬には、大きく分けて「医師の診断を経て処方される処方薬」と「ドラッグストアなどで買える市販の漢方薬」があります。どちらも有用ですが、それぞれメリット・デメリットが異なります。
- 成分量・配合バランスの違い
- 処方薬の漢方：患者の体質や症状に合わせて処方されるため、成分量・配合がより個別最適化されやすい。
- 市販の漢方薬：一般的な症状に幅広く対応できるよう設計。誰でも手軽に入手できる反面、体質に合うとは限らない。
- 専門家のサポートの有無
- 処方薬の漢方：医師や漢方専門の薬剤師から服用のアドバイスが受けられ、副作用や用量調整もこまめに対応できる。
- 市販薬：気軽に購入できるが、自己判断で始めるケースが多い。十分な知識がないまま使うと、体に合わない可能性もあるので注意が必要。
- 費用と保険適用
- 処方薬：保険適用になる場合が多く、自己負担が抑えられることも。
- 市販薬：保険適用外なので全額自己負担。ただし、軽い症状なら病院に行かずに試せるというメリットも。
どちらを選ぶにしても、「漢方は体質改善を目指す長期的アプローチ」という点を意識し、
無理のない範囲で続けることが大切です。とくに、妊娠中・持病がある方は医師の診断を経て処方薬を利用するほうが安全です。
注意！漢方ダイエットの副作用・リスク
漢方薬も薬である以上、正しい使い方をしないと思わぬ副作用が起きる可能性があります。たとえば、
- 防風通聖散や大柴胡湯などは、体力が低い人が飲むと下痢や脱力感に悩むことがある
- 防已黄耆湯は、実証タイプには効きにくいことが多い
- 長期連用による肝機能や腎機能への影響
少しでも異常を感じたら、すぐに服用を中止し、専門家へ相談しましょう。特に、
妊娠中や持病がある方は必ず医師に確認することが大切です。
漢方ダイエットをより効果的にするポイント
食事と運動のバランスを意識する
- 食事：タンパク質や食物繊維をしっかり摂取し、炭水化物は腹八分目を心がける
- 運動：ウォーキングや軽めのストレッチなど、有酸素運動で基礎代謝をアップ
- 生活習慣：早寝早起きを意識し、寝不足やストレスを溜めないようにする
漢方は、体全体のバランスを整えることでダイエットをサポートします。暴飲暴食や極端な制限を続けていては、どんな漢方も効果が半減するため、
生活習慣の改善は欠かせません。
効果が出るまでの期間を理解する
- 漢方は即効性が低い：数日で劇的に変わることはまれ
- 数週間～数カ月単位：体質がじわじわ変わるプロセスを楽しむ気持ちを持つ
- 途中でやめない：一時的に効果が感じにくくても、専門家と相談しながら根気よく続ける
「すぐに結果が欲しい！」と焦ると、漢方ダイエットはかえって挫折しやすくなります。長期的視点で取り組むことで、
リバウンドしにくい体質を手に入れましょう。
Q&A：よくある疑問に答えます
A. 漢方自体が直接体重を減らすわけではありませんが、
代謝や排泄を整えることで、肥満の原因を根本から改善しやすくなります。適度な食事・運動とあわせれば効果的です。
A. 市販薬は手軽に購入できる一方で、
成分量が処方薬より少ない場合が多く、個人の体質にぴったり合わない可能性があります。専門家の診断を受けて処方薬を使うほうが、より安全かつ効果的です。
A. 「
便秘や皮下脂肪が多い実証タイプなら防風通聖散」「
ストレス過多で胃腸が弱り気味なら大柴胡湯」が目安です。ただし個人差が大きいため、必ず体調や体質を確認したうえで選びましょう。
A. まずは
少量から始めるのが基本。具合が悪くなったらすぐに服用を止めて医師に相談し、他の処方に切り替えてもらうなど臨機応変に対応しましょう。
参考資料
- ドクターナウは特定の薬品の推薦および勧誘を目的としてコンテンツを制作していません。ドクターナウ会員の健康な生活をサポートすることを主な目的としています。
- コンテンツの内容は、ドクターナウ内の医師および看護師の医学的知識を参考にしています。
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