
食欲を抑える魔法の薬?メトホルミンの効果と意外な副作用とは!
メトホルミンとは何か、どんな効果が期待できるのか、副作用や注意点について詳しく解説します。糖尿病治療薬としての役割やダイエット効果も紹介!
ドクターナウ編集部
2025.07.17
実は、糖尿病治療薬として有名な
メトホルミンは、食欲を抑える薬ともいわれています。本当にそんな効果があるのでしょうか? この記事では、メトホルミンの
効果や副作用、さらには
「若返り効果」まである?という気になる噂の真相に迫ります。
メトホルミンの正体とは?

歴史と開発背景
メトホルミンのルーツは、1920年代のフランスに遡ります。当時、医師たちはフランスリラ(Galega officinalis)という植物に含まれる化合物に血糖降下作用があることを発見しました。その後、1957年にフランスで初めて糖尿病治療薬として承認され、1994年にはアメリカ食品医薬品局(FDA)によって正式に認可されました。
メトホルミンの効果は?
メトホルミンは、もともと糖尿病の治療薬として開発された
ビグアナイド系の薬です。
主な作用は、
- 血糖値を下げる(肝臓での糖新生を抑える)
- インスリンの効きを良くする(細胞の感受性を向上)
- 腸での糖の吸収を減らす(カロリー吸収を抑制、代謝を改善)
このように血糖値を安定させる効果から糖尿病や肥満に対して活用されています。
メトホルミンは本当に食欲を抑えるの?
「メトホルミンで痩せる」「食欲を抑える効果がある」と言われる理由は、大きく分けて
2つあります。
腸から「満腹ホルモン」を増やす!
メトホルミンは、腸内で
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンの分泌を促します。このGLP-1は、
満腹感を高める作用を持ち、結果として「なんとなく食べたくなる衝動」が減るのです。
腸内細菌が変化し、食欲が安定する?
最近の研究では、メトホルミンが
腸内細菌のバランスを改善することで、食欲のコントロールを助ける可能性が指摘されています。「メトホルミンを飲んだら甘いものが欲しくなくなった」という声も。
メトホルミンを安全に使用するためのポイントと副作用

誰が使えるの?
- 2型糖尿病患者
- 肥満のある人(医師の指導のもと)
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療を受けている人
正しい服用方法
- 食後に服用 することで胃腸への負担を軽減。
- 1日2回または3回 に分けて服用するのが一般的。
- 徐々に増量 しながら、体が慣れるようにする。
メトホルミンの副作用:知らずに飲むと危険?
どんな薬にも副作用はつきもの。メトホルミンも例外ではありません。
- 胃腸障害 下痢/ 吐き気/ 腹痛の症状が良く見られますが、これらの症状は低用量から徐々に増量することで軽減 できる場合が多いです。
- ビタミンB12欠乏症 長期間使用すると、ビタミンB12の吸収が低下 し、貧血や神経障害のリスクが高まる可能性があります。そのため、定期的な血液検査を受けることが推奨されます。
- 乳酸アシドーシス(極めて稀) 腎機能が低下している人がメトホルミンを使用すると、乳酸アシドーシス(血液中の乳酸が過剰に増加する状態) を引き起こすリスクがあります。そのため、腎機能が低下している人は慎重に使用する必要があります。
メトホルミンを個人輸入しないほうがいい理由

最近、メトホルミンの通販サイトなどでメトホルミンを個人輸入して使用するケースが増えていますが、これは危険を伴います。その理由は以下の通りです。
- 偽造品のリスク:信頼できないルートで入手した薬には、有効成分の含有量が不適切なものや、不純物を含むものがある可能性があります。
- 品質管理の問題:海外の医薬品は、日本の基準とは異なるため、安全性が保証されません。
- 医師の管理下での使用が必要:適切な用量や副作用の管理が重要であり、自己判断での使用はリスクを高めます。
メトホルミンの価格と保険適用について
日本では医師の処方が必要な薬です。
- 保険適用:糖尿病患者の場合、健康保険が適用されるため、自己負担額は比較的低く抑えられます。
- 費用の目安:
- 1ヶ月分(250mg 1日2回):約500〜1000円(保険適用時)
- 自費診療の場合:約2000〜5000円(医療機関により異なる)
糖尿病やPCOSの治療目的で処方されることが一般的ですが、メトホルミンをダイエットやアンチエイジング目的での使用は、保険適用外となることが多いため、注意が必要です。
メトホルミンは「若返り効果」あるって本当?

メトホルミンと調べると、
若返るというキーワードが出てきますよね。メトホルミンには
アンチエイジング効果があるのでしょうか?これに関する研究結果が報告されているので少し紹介したいと思います。
メカニズムは以下の通りです。
- ミトコンドリアの活性化 → エネルギー代謝UP
- 酸化ストレスの軽減 → 細胞の老化を遅らせる
- 炎症の抑制 → 老化に伴う病気のリスク低減
実際、メトホルミンを長年使用している糖尿病患者の中には、
心血管疾患やがんの発症リスクが低いというデータもあり、科学者たちはこの「若返り効果」に大注目しているのです!
メトホルミンの正しい使い方と注意点
もしメトホルミンを試してみたいなら、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 服用のタイミングは「食後」(胃腸への負担を減らす)
- 最初は少量から開始し、徐々に増やす
- 定期的にビタミンB12のチェックをする
- 腎臓の健康状態を確認しながら使用する
特に「ダイエット目的だけでの自己判断使用」はNG!メトホルミンは糖尿病の治療薬でありダイエットのための薬ではありません。作用として減量にもつながるというだけです。
そのため、必ず医師の指導のもとで安全に使用することが大切です。
まとめ
メトホルミンは
糖尿病治療薬ですが、研究が進むにつれ、
- 食欲抑制
- 体重減少サポート
- アンチエイジング効果
など、さまざまなメリットが明らかになっています。
とはいえ、 副作用や使用上のリスクもあるため、安易に試すのは危険です。まずは
医師に相談しながら、安全に取り入れてみるのがベストでしょう。
参考資料:
- metformin-wikipedia
- metformin-pathways:-pharmacokinetics-and-pharmacodynamics-pmc
- mechanisms-of-action-of-metformin-in-type-2-diabetes:-effects-on-mitochondria-and-leukocyte-endothelium-interactions-sciencedirect
- effect-of-metformin-on-metabolic-improvement-and-gut-microbiota-|-applied-and-environmental-microbiology
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